兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第219回[2026年10月前半・空気階段、rockin’star Carnival、ウルフルズ、家主、TOKYO ISLAND×3日、などの9本を観ました]編

コラム | 2026.10.28 16:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライター兵庫慎司が、基本的に生で・たまに配信で観た、音楽も音楽以外のものも含むすべてのライブのレポを、月に二回ペースでアップする連載の、219回目=2026年10月前半編です。
通常のライブあり、フェスあり、演劇あり、プロレスあり、(配信だけど)お笑いあり、という、普段自分が観に行くジャンルすべてを網羅した半月になりました、今回は。花火もあるし。

観たのが10月2日(金)、公演は9月20日(日)18:00 空気階段@天王洲 銀河劇場/PIA LIVE STREAM

いつも東京公演のチケットが取れなくて、配信を買って観る。ただし、2025年は、ツアーの最後にKAAT神奈川芸術劇場6デイズ7公演という、「それはいくらなんでも売り切れないだろう」としか思えないスケジュールが切られていたので、チケットが買えて、生で観れた。
そんな空気階段、毎年恒例の単独公演、今年は去年みたいなむちゃなハコの押さえ方がされていなかったので、順当にチケットが取れず、配信で観た。配信されたのは公演の千秋楽=9月20日の二回目だけど、自分が観たのは配信期間の最終日である10月4日の2日前だったので、この連載の今回に入りました。
オープニング的な短いコントを入れると、全部で7本。どれもおもしろかったが、特に「キッチンへい」のコントに、腹筋が痛くなるほど笑った。水川かたまりが、食べ物の宅配を頼んだら、おっさん(鈴木もぐら)が家に来て、その場で料理を始めてしまう、というネタ。あと、若手のエリート刑事(水川かたまり)と、年配の叩き上げの刑事(鈴木もぐら)が、コンビを組まされて、反発し合いながら捜査をするが、実はふたりにはこんな共通点が……ということが、次々と明かされていくコントも、めちゃくちゃ笑った。
それから。今年の空気階段の単独公演は、『●●●(まるまるまる)』というタイトルが付いている。これは伏字で、なんの文字が入るのかは千秋楽に発表する、ということが、前もってアナウンスされていた。というわけで、この公演の最後に発表されて、「今後も配信があるので、その期間が終わるまでは、ネタバレしないでください」と、ふたりがお客さんたちにお願いしていた。
そうか、じゃあ、配信期間が終わったら、書いてもいいのか。と思ったのだが、今、これを書くにあたって、いろいろ調べてみたのだが、公式な場でその答えを書いている人、見当たらないのだ。個人が勝手に書いているやつは、あったけど。
TBSラジオの『空気階段の踊り場』、毎週聴いているけど、その中で正解、言ってたっけなあ、言ってなかったっけなあ……(覚えとけよ)……あ、でも、空気階段の単独公演は、必ず翌年にDVDになるので、そこで初めて観る人のために、ばらさない方がいいのかな。でも、DVDを買うくらい熱心なファンなら、生か配信で観た上で、DVDも買うんだと思うけどなあ……などと、迷ったが、とりあえず、書かないでおきます。

10月3日(土)12:30 rockin'star Carnival @ 国営ひたち海浜公園

ロッキング・オンが……いや、今は会社が分かれていて、正式な社名は、雑誌等のメディア事業の会社がロッキング・オン、フェス事業やマネージメント事業の会社はロッキング・オン・ジャパンなので、この場合、正しくはロッキング・オン・ジャパンか。そのロッキング・オン・ジャパンが、かつてROCK IN JAPAN FESTIVALを行っていた国営ひたち海浜公園で、昨年から始めた音楽と花火のフェスが、rockin'star Carvivalである。去年行って書いたこの連載は、こちら。
≫兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第195回[2025年10月前半・粗品、ユニコーン、宮本浩次、羊文学、『TOKYO ISLAND』等の9本に行きました]編
で、今年も行った。12:30開演で、このイベントのホスト役であるDJ和のプレイ(二回)や、地元の中学校の吹奏楽部の演奏(二校)や、水戸ホーリーホックの公式キッズチアスクールMito Holy Kidsのパフォーマンスを経て、18時から音楽花火の時間。
あいみょん「空の青さを知る人よ」と見事にシンクロした花火でスタートし、以降、何曲が音楽花火が続く→DJ和のプレイ数曲をはさむ→また音楽花火の時間→またDJ和のプレイ→また音楽花火の時間、というふうに続いていく。全部で約1時間15分、音楽花火もDJもプレイも合わせると、27曲とかそれくらい。ラストはBUMP OF CHICKENの「ray」で、感動的に終わった。
シートゾーン、イスゾーン、テントゾーンも設けられている、つまりゆっくり座って花火を楽しむことができるのに、参加者の多くが前方のスタンディング・ゾーンに行って、立って、音楽を浴びながら花火を観ている、その光景がおもしろい。花火大会でもあるけど音楽フェスでもある、ということをわかっている参加者が、というか「だからこそ来た」参加者が多いんだな、と実感する。
僕はシートゾーンで観たが、新たにシートを敷ける余地がないくらい混んでいたのが、花火直前の時間にはけっこうスカスカになって、そうか、シートを片付けて前に行って花火を観て、終わったらそのまま帰る人が多いんだな、ということがわかった。
にしても、合計約20,000発(!)だという花火、その音楽とのぴったり合いっぷりが、もう魔法のよう。色や形もそうなんだけど、特に、花火が飛ぶタイミングが、曲のリズムと合っていることに驚く。
で、それ、歌詞にまで合わせていたりするのだ。クリープハイプの「HE IS MINE」の時、下から上へ飛ぶ流れ星みたいな形状の花火が、「みっつ数えて彼女になって」で3本、「よっつ数えて大人になったよ」で4本、飛ぶのである。「みっつ数えて冷たくなって」「みっつ数えて何が始まる」「みっつ数えて何が始まる」のところでも、同様に飛んだ。驚嘆した、を超えて、爆笑した。

10月4日(日)17:00 ウルフルズ @ カルッツかわさき(川崎市スポーツ・文化総合センター)ホール

『ウルフルズ ライブツアー2026-2027 ツーツーウラウラツー シーズン3』の5本目。トータス松本、MCで何度か「おっさんのお客さんが増えた」と口にする。「それがうれしい」とも。
「あと、若い子も増えてるのよね」。確かに、ウルフルズを追って30年、みたいな筋金入りのファンのみなさんに加えて、そんな若い世代や、「昔来ていました、久々に来ました」みたいな人も多いように、お見受けしました。今のバンドのコンディションの好調さから来る、ライブ・パフォーマンスの良さが、そういう効果を生んでいるんだと思う。
このツアー、10月25日の愛知でいったん終わって、来年2月10日の京都から続きが始まる。セットリストは、そのタイミングでガラッと変わるのか、そのままなのかは知らないので、具体的に触れるのはやめておくが、昔懐かしい曲も、つい最近の曲も、同じようにウケているし、同じように盛り上がっている光景に、ああ、今のこのバンド、本当にいいんだなあ、と、改めて感じた。こんなに調子いいんなら、近々、新しいヒット曲が出たりするかも。

10月9日(金)19:00 家主 @ LINE CUBE SHIBUYA

8月9日には渋谷クラブクアトロで、フラワーカンパニーズと対バンした(詳しくはこちら ≫兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第215回[2026年8月前半・ 爆風スランプ35年ぶりの日本武道館、「大人計画 別邸」のプレオープン公演、サマソニの2日目、ホフディランの玉入れライブなどの10本を観ました]編)ツアーの最終日で、家主にとって初めてのホールでのワンマン。
セットは何もなくて、アンプや楽器を置いただけ。普通は床に敷くパンチカーペットもなくて、木目の床がむきだし。照明も、ステージ上のメンバーを照らす、いわゆるピンスポットはなしで、ステージから客席に向けて放たれる、つまり逆光が多用される演出で、メンバーの姿がはっきりと見える瞬間は、少ない。
そんな中で、家主は、本編19曲・アンコール1曲、約1時間50分にわたって、集まったオーディエンスを魅了し続けた。そう、「魅了」という言葉がいちばんぴったりくる、と思う。
1曲目の「The Flutter」をやる前に、けっこうな尺でしゃべっていたが、田中ヤコブのMCは、基本的に平熱でダラッとしている。で、曲に入るとガラッと変わってアツくなる、激しくなる、わけではない。しゃべっているのも歌っているのも演奏しているのもおんなじ、みたいな按配で、そのままの温度で始まって、それが何曲も連なっていく、そしてじわじわテンションが上がっていったり、じわじわクールダウンしていったりする、そのさまがとても豊かなのである。で、「陽気者」(2曲目)みたいな、ハードエッジでかっこいい曲が、ところどころに入ってきたりするのも、たまらないのである。ベースの田中悠平が歌う曲や、ギターの谷江俊岳が歌う曲も、ライブ全体の流れの中において「いい彩り」みたいな役割を超えた、大事なポイントになっているし。
そうか、しゃべっているのも歌っているのも演奏しているのもおんなじ、というのは、逆に言うと、しゃべるみたいに歌えるし、演奏できる、ということなんだな、などということを、観ながら考えた。

10月10日(土)10:10 TOKYO ISLAND 2026の1日目 @ 東京・海の森公園

このフェスが始まって、そして僕がDI:GA ONLINEにレポを書くようになって、今年で5年目の、東京の無人島で行われる野外フェス『TOKYO ISLAND 2026』の初日。
3日間、オープニング・アクトからクロージング・アクトまで観て、DI:GA ONLINEにレポを書きました。入稿ずみです。アップされたらリンクを貼ります。

10月11日(日)10:10 TOKYO ISLAND 2026の2日目 @ 東京・海の森公園

前日と同じく、レポは入稿ずみ、アップされたらリンクを貼ります。
なお、これまで毎年、テントを張って少なくとも一泊はしていて、会場まではバイクかクルマで行っていたが、今回初めて「3日とも通いで泊まりなし」「東京テレポート駅までは電車、そこからシャトルバス」にしてみた。
めちゃくちゃラクだった。連日、クロージング・アクトの終わる21:30ぐらいまで会場にいて、翌朝オープニング・アクトが始まる10:10の前に会場に着くスケジュールだったんだけど、余裕でした。このアクセスのよさが、もっと広まるといいなあと思う。

10月12日(月祝)10:10 TOKYO ISLAND 2026の3日目 @ 東京・海の森公園

前日&前々日と同じく、レポは入稿ずみ、アップされたら貼ります。
今年のTOKYO ISLANDの何がよかったって、3日間好天に恵まれたこと。というのは、本文中でもくどいくらい書いた。過去5回で2回目である、一度も雨風を食らわなかったのは。
毎年出ているBase Ball Bearの小出祐介は、去年のステージで、「来年も出してくれ!あと、晴れてくれ! 4回出て3回が雨!」と、言っておられた。で、今年はこの3日目に出演して、「晴れたらこんなすばらしいフェス!すがすがしすぎる!これが正解だったんだね、TOKYO ISLANDの!みんな、晴れさせてくれてありがとう!」と叫んでおられた。

10月13日(火)13:00『僕らの時代じゃない』 @ 紀伊國屋ホール

作・演出=三浦大輔で、峯田和伸が出演。という作品は、映画『ボーイズ・オン・ザ・ラン』(2010年)、演劇『母に欲す』(2014年)と『物語なき、この世界。』(2021年)に続いて、これで4作目。今回は、森田剛・鈴木杏・峯田和伸の3人芝居で……いや、もうひとり出る。物語の舞台が最初から最後まで居酒屋なので、その店員役もたまに出て来るが、基本は3人だけで話が進んでいく。高校の同級生だった3人が、同級生同士の結婚式と二次会に出席した後、この居酒屋に入って、飲み直す。その結婚式の新郎と新婦は、今はどちらも有名芸能人で、その関係で、この3人とも、なんやかんやあって……というストーリー。東京公演が10月27日で終わって、そのあと愛知と京都もあるので、これ以上は詳しく書かないでおきます。
物語が進んで、登場人物3人それぞれのキャラクターや、バックボーンや、過去にやってきたことなどがあきらかになっていくにつれ、それぞれの「だらしなさ」や「ダメさ」や「ひどさ」もしくは「非道さ」などが、どんどん露わになっていく。という話であることは、三浦大輔作品の王道だと思う。
ただ、峯田が出演した4作も、それ以外も含めて、あと演劇も映画も含めて、自分が観て来た三浦大輔作品の中で、声を出して笑った回数がいちばん多かったのは、今回だった。
それから、観終わると、どよーんとした気持ちになって、劇場もしくは映画館を出るのが三浦大輔作品だ、と、僕は思っていたが、今回はそんなことなかった。むしろ、ちょっと逆だった。ということも、とても新鮮に感じた。

10月15日(木)18:30 全日本プロレス @ 新木場1stRING

『旗揚げ記念シリーズ』全5本の中の1本で、場所は東京エリアでもっとも全日の試合を至近距離で観ることができる、新木場1stRING(キャパ約300)。
以下の6試合が行われた。名前の横の◯×が勝敗です。
◯安齊勇馬 vs MUSASHI×
◯オデッセイ&芦野祥太郎 vs 綾部蓮&大森北斗×
◯斉藤ジュン&斉藤レイ&吉岡世起 vs 立花誠吾&小河彪&木村伸彦×
×鈴木秀樹&小藤将太&真霜拳號 vs 潮﨑豪&矢野安崇&青木優也◯
◯青柳優馬 vs 河野真幸×
×宮原健斗&田村男児 vs 本田竜輝&ライジングHAYATO◯
どの試合もとても良かったが、特に自分的に印象に残ったのは、以下のふたつでした。
3試合目。小河彪が得意技のハンマー投げ(ジャイアントスイングという技だが、彼は高校1年の時ハンマー投げで全国インターハイ男子のチャンピオンになっている、ということから、この技をそう呼んでいる)で、斉藤レイを持ち上げようとするが、重くて全然無理。その後、体重の軽い吉岡世起にこの技を食らわせたら、心配になるくらいすごい勢いで、速く、高く回り、場内、「おおおっ」と、どよめく。
6試合目。10月22日に後楽園ホールで行われる三冠ヘビー級のタイトルマッチ=宮原健斗vs本田竜輝と、11月3日アパホテル&リゾート札幌で行われる世界ジュニアヘビー級のタイトルマッチ=田村男児 vs ライジングHAYATOの、ダブル前哨戦。
本田竜輝は、これより前の試合、二回続けて宮原健斗にフォール負けしている。もし今日もフォール負けしたら、「3回続けて負けたが、タイトルマッチでは勝つ」という展開も、ありうるかもしれない。と思ったが、結果は、本田竜輝が宮原健斗から3カウント取って勝利。むしろホッとした、これなら、後楽園でのタイトルマッチは、宮原健斗が勝ちそうだな、と。健斗、あと二回防衛すれば、自分と川田利明が持っている、三冠ヘビー級王座の最多連続防衛記録(10回)を、抜くことになるので。
追記:10月22日の後楽園ホールのメインイベントで、宮原健斗が本田竜輝を下し、最多連続防衛記録のタイに並びました。次は12月31日国立代々木競技場第二体育館、相手は青柳優馬。勝って新記録達成なるか。「なる」と私は読んでいます。青柳優馬、大好きなので、そっちに勝ってほしい気持ちはあるんだけど。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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