
KAORI KISHITANI / Unlock the girls LIVE TOUR 2026
“59th SHOUT!”~A面に恋をしたあなたへ~
2026年7月26日(日)豊洲PIT
【MEMBER】KAORI(Vo/EG/Pf) / Yuko(Gt/Cho) / Yuumi(Dr/Cho) / MEIKO(Ba/Cho)
※MANIPULATION : HALNA
連日の酷暑、そしてゲリラ豪雨。出かけるのが躊躇われる天候が続き、この日も昼頃までは岸谷の表現を借りれば「クルマが凹むんじゃないかと思うくらい」の雨だったが、開演間近の東京ベイエリアは気持ちよく晴れ上がり、爽やかな海風が吹き抜けて、早くもツアー・ファイナルの成功を祝っているかのよう。岸谷が最初の MCで話した通り、「何もかも条件が揃いましたね。あとは楽しむだけだ!」という状況の中でのライブとなった。
もっとも、そのライブ自体はマイナー調の切ないメロディからジワジワ盛り上がっていく「ムーンライト ストーリー」でスタート。2曲目「ROCK ME」でガツンとくるという展開だったが、後になって考えてみると「ムーンライト ストーリー」はプリンセス プリンセスが初めてアルバム・チャートで1位を獲得したアルバム『LOVERS』のA面1曲目。オープニングからちゃんと“A面に恋をしたあなたへ”というツアーのサブタイトル通りの展開というべきなのかもしれない。
それはともかく、「ROCK ME」の1コーラス目が終わったところでドラムのYuumiが立ち上がってオーディエンスを煽ったかと思えば、産休に入ったベースのHALNAに代わって参加したメイ子も含めバンドのアンサンブルはグッと引き締まって下から攻めてくる感じ。ツアー・ファイナルらしく、十分に気合いは入っている上に、その熱量がちゃんと演奏に真っ直ぐ注入されているスタートだ。そして、MCを挟んでの3曲は、「ボディガード」が赤、「LOVE FLIGHT」が緑、そして「あいのうた」が白という具合にそれぞれの演奏に合わせた照明の色が象徴していた通り、楽曲ごとの色彩感を鮮やかに表現し分けて、ここまでの5曲で充実したツアーをまわってきたことをしっかりアピールしてみせた。
そして、今回のツアーのセットリストの、おそらくは最初の、もしかしたら一番の注目ポイントだったかもしれないプリンセス プリンセス最初のA面曲「恋はバランス」のUnlock the girlsバージョンだ。マニアックな思い出はB面にもあるけれど、印象深いドラマはやはりA面にこそ付き物。この曲に関しては、岸谷は「黒歴史」と面白おかしく話したり、メンバーそれぞれのバンドにまつわる「黒歴史」を聞いてはしゃいだりして、すっかり楽しいリベンジ・ストーリーにしてしまったが、そのニュー・アレンジ・バージョン、題して「恋はバカンス」は、ハワイの海辺でアレンジしたという話の通りのリゾーティーなサウンドで、特にYukoのトロピカルなギター・ソロが印象的だった。
続く「ソーロング、ドリーマー」にまつわる思い出として話した、完成バージョンのスタジオの大きなスピーカーで初めて聴いた時の感激、「もっといっぱい曲を書きたい!」という思いに今も変わらず駆られているのが素敵で、しかも今回のツアーのために書き下ろされた新曲「コンテンポラリーKAGUYAHIME」には、間奏にプリプリの楽曲に対するオマージュが仕込まれているとのこと。Yukoの提案に触発されて、アイデアがどんどん沸き起こってきたと話す岸谷の無邪気な興奮は、そういうアイデアを共有して形にできるバンド仲間がいる現在の幸福の反映でもあるだろう。ちなみに、ヘヴィなロック・チューンだったその新曲に続いて披露された「BOY」がむしろかぐや姫的な世界観を感じさせて、その幻想的なイメージのエンディングから、あのあまりにも有名な「M」のイントロにつながる展開はこの日のクライマックスのひとつだった。
次のパートは、岸谷の言葉を再び借りれば「メイ子を楽しもう。メイ子で踊ろう」ということで、彼女のベース・プレイの推しポイントでもあるスラップ・ベースをフィーチャーした曲を続けて盛り上がろうというコーナー。ファンもよく心得ていて、特に2曲目の「くいしんぼ天国」ではスリー・ツーのリズムに合わせた手拍子で会場が一体となり、10本のツアーですっかり馴染んだピンチヒッター・ベーシストの活躍を強くフォローアップした。
さて、最後のMCパート。一転して、岸谷が落ち着いた調子で話したのは、人生の往路/復路という話。数日前に届いたプリプリ時代から世話になっていたスタッフの訃報にも触れつつ、おそらくは人生の折り返して点を過ぎて復路に入っている自分だが、往路時代には気づかなかったことに気づいたり、復路だからこそ得るもの、出会う人がいるということを、実感を込めて語った。そして、まさしくその実感を込めたラブソング「marble」から始まった最後のパートは、長い音楽との関わりの積み重ねの果ての現在の充実と、それをともに喜び合えるファンの存在への感謝を、時に重厚に、時に軽快に表現し、だからこそ♪限りある時に確かに愛したしるしを残したいの♪という「Signs」の歌詞があらためて印象深く響くステージになった。
その上で、「この曲がこのバンドを象徴していると思います」と話して、♪全速力で駆け抜けて行く♪と歌う「STAY BLUE」で最後を締め括った。
アンコールは、誰よりもツアーの終了を名残り惜しむメンバーの気持ちも反映してダブル・アンコールになった。最後に披露した「HIGHWAY STAR」はシングル曲ではなく、アルバム『PRINCESS PRINCESS』の最後から2番目に収められている、レコード時代ならいわゆるB面曲だ。が、人生の復路ならぬB面、レコードをひっくり返して聴き始めるSIDE-Bにこそ煌めきがあるよ、という岸谷からのメッセージだったかもしれない。
岸谷をはじめとするガールズたちの、音楽に向き合う喜びと愛をたっぷり味わえた一夜だった。
SET LIST
01. ムーンライト ストーリー
02. ROCK ME
03. ボディガード
04. LOVE FLIGHT
05. あいのうた
06. 恋はバランス(バカンス)
07. ソーロング、ドリーマー
08. コンテンポラリーKAGUYAHIME
09. BOY
10. M
11. リアルファンタジー
12. くいしんぼ天国
13. marble
14. バタフライ
15. GUITAR MAN
16. Diamonds<ダイアモンド>
17. Signs
18. STAY BLUE
ENCORE
EN01. 世界でいちばん熱い夏
EN02. Unlocked
W ENCORE
EN03. HIGHWAY STAR














