
「#筋少の日」
2026年6月21日(日)KT Zepp Yokohama
【Support Member】Pf.三柴理 / Dr.長谷川浩二
ということで、この日の舞台上方には、「38周年」とあしらわれた筋肉少女帯のロゴが鎮座。客電の降りたステージが真っ赤なライトで染まると、客席がカラフルなペンライトの灯りで埋め尽くされていく。軽快なギター・カッティングに導かれて場内が一斉に「Future!」と声を上げるなか、ド派手なファンク・チューン「オーケントレイン」をバックに大槻ケンヂ(Vo) 、内田雄一郎(Ba)、橘高文彦(Gt)、本城聡章(Gt)の4人と、お馴染みのサポート・メンバーである三柴理(Key)、長谷川浩二(Dr)がステージに現れる。各々が定位置につき、高らかに鳴るドラムと橘高によるギター・ソロ(と華麗なピック投げ)を合図にSEから生プレイへ滑らかに移行すると、重低音のバスドラと煌びやかなシンセを従えて大槻がシャウト。
「デビュー38周年!5 LIVEファイナル!」
オープニングは「サンフランシスコ」。プログレッシヴなテンポチェンジと野太いユニゾン・コーラスを交えながらの激走で、のっけから会場を圧倒……したかと思えば、ゆるゆると大槻がしゃべり出す。
「いま気づいたんだけど、内田君、有線ケーブルだった?いつから?」と尋ねる大槻に対し、内田の回答はなんと「88年から」。「38年間、気づいてなかったの!?」というオーディエンス全員の心の声が温かい笑い声に変わるなか、「マジか〜。オーケンの目は節穴!?」「節が詰まってるね」……と、大槻と内田はおっとりとトークを続けていく。
ライブの趣旨もあってか、この日のMCは38年を振り返る内容が多め。「38年間いろんなことがあったけど、最近またいろんなことがあって……」と、所属レーベルである徳間ジャパンの担当A&R・田中(亮)さんが辞めたことを報告。「辞めたあとはバンドの暴露系YouTuberになったらバズりますよ」と勧めたところ、「さっそく大槻さんの暴露をしますよ!大槻さんはアドリブで喋ってるように見えるけど、本番前にMCを細かく表に書き出して、プロンプターに映してて……勉強家なんですよね?」と返されたらしい。「いい人なのがバレる!」と大槻は嘆いていたが、恐らく会場のほとんどは「とっくにバレてる」と思っていたような……。
振り返りはさらに続き、大槻が〈38年前のデビュー時から来てくれている人〉〈比較的に新参の人〉とフロアに向かって挙手を求めると、どちらも相応の数の反応が。前者には一緒に歳を重ねてきたことに対する感謝を伝え、後者には「伸び代があるね!」と歓迎の声をかける大槻。そして、「最近、筋肉少女帯のライブに来はじめた人には意外かもしれないけど……」と話を続ける。
「普段は〈俺にカレーを食わせろ〉とか〈高木ブー〉とかやってないんですよ。もう飽きてるんで。なんだけども、38年のお祝いで何をやろうかと考えたときに、この2曲が筋肉少女帯をメジャーのフィールドに引き上げてくれたんだなと思って。だから、今日は感謝の気持ちを込めてやりますよ!」
「いくよ!日本を印度に!」「しーてしまえ!」という観客との息の合った歌い出しで雪崩れ込んだのは、バンドの代表曲である「日本印度化計画」と「元祖高木ブー伝説」だ。モンキーダンスしまくる観客、「学園天国」的なコール&レスポンス、大量のピック投げから猛スピードの速弾きに転じる橘高のギター・ソロと、エンタメ要素がてんこ盛りの「日本印度化計画」、終始ハイヴォルテージなプログレ展開に巻き込まれずにはいられない「元祖高木ブー伝説」を立て続けたかと思えば、そこから美しいハーモニーとポエトリーが絡み合うポップ・チューン「生きてあげようかな」へと接続。キャッチーさの博覧会のような振り幅に釘付けになったところで、またまたMCへ。
「いま、世間様はサッカーで大変なんですよ。ロックのライブに来てる暇はないんですよ。それにも関わらず横浜まで筋肉少女帯を見に来たあなたたちは反社ですよ!最高!」
……と、観客を斜め方向から褒め称えると、話題は今回のツアーの話へ移行。打首獄門同好会、バックドロップシンデレラとのライブで「香菜、頭をよくしてあげよう」の〈香菜〉を〈キャナ〉に変えて歌ったら、バックドロップの(アサヒ)キャナコから号泣でお礼を言われたといういい話(から「〈香菜〉の部分をお客さんの名前に変えて1口いくらで売ったら儲かるぞ!」というアイデアを思いついたという下衆な話)のあとは、2本のアルバムの完全再現ライブについてのトピックも。
「これからはどんどん完全再現ライブをやっていったらいいと思うんですよ。どのアルバムがいい?」と観客に尋ねつつ、「僕は『服部』がいいと思うんですよ」と唐突にボケる大槻。えっ……『服部』ってユニコーンの……?と筆者が戸惑っていると、「『全部このままで』は?」と橘高。さらに、「俺も『全部このままで』って言おうと思ってた」と本城。
「ジュンスカ?短いしね!〈(元気いっぱいに歌い出す)なーにーもかもー♪きのーうまでーのー♪〉……頭がおかしいよ。筋少のをやるよ!」
ということで、ここからは『サーカス団パノラマ島へ帰る』から「ビッキー・ホリディの唄」、『月光蟲』から「サボテンとバントライン」とド派手なギター・リフが印象に残るハード・ロック・チューンを2連打。場内の昂揚感をマックスまで高めたところで、ふと三柴にスポットが当たる。可憐なピアノの音色が響くなか、内田がステージ中央へ移動して披露されたのは「北極星の二人」だ。バラの花を手に甘く熱唱する内田と、橘高による咽び泣くギターが立ち上げるのは、完全に昭和歌謡の世界。あまりの〈歌謡ショー〉然とした光景に、いまにも舞台袖から司会者が出てきそうだ……などと思っていると、一旦ステージから引き上げていた大槻が代わりに(?)登場。
「このあいだ氏神一番さんに会ったんだけど、氏神一番さんは元禄3年から300年タイムスリップして〈イカ天〉に出たんだって。打首のjunkoさんも60代だって。筋肉少女帯も全員、還暦超えたけど、そういう話を聞くとまだまだだよね!全然まだまだロック・バンドですよ!夢はまだまだある!『服部』の完全再現とかね!」
そこから「フォーエバーヤング!」に「フォーエバーヤング!」と応えるという無茶振り気味のコール&レスポンスを展開すると、まずは、往年のアイドル・ポップ風(だが、速弾きのギター・ソロとツーバスはしっかりと組み込まれている)の「60を過ぎてもバンドはアイドル」。そこから、高速ハードコアと壮大なサビを交互に繰り返しながら大団円へと突き進む「ディオネア・フューチャー」を滑らかに繋ぎ、大槻が左右へゆっくりと振るペンライトと客席のそれが完全に同期したところでメンバーは去っていった。
しばしの休憩を経て、万雷の拍手に迎えられてふたたび登場したメンバーたち。改めて6人の紹介を行うと、トークは今回の38周年ツアーと発表されたばかりの秋のツアー、そして2年後に控える40周年に何をやるか、という話題へ転じていく。
「40周年も何かやりたいよね。でもまずは38周年を精一杯楽しもうよ。秋のツアーも発表しましたね。完全再現的なことをまたやるとしたら、まあ『服部』か『全部このままで』なんだけども、でも40周年のときは『仏陀L』をやるかな。『仏陀L』と『SISTER STRAWBERRY』は同じ88年(の作品)だよね?でも、再現となるとあれはワンギターか」(大槻)
「『仏陀L』やるなら、その後のアルバムも時系列で並べてさ、完全再現よりも40周年ヒストリーライブのほうがおもしろいかもね。ゲストとかも呼んでさ」(橘高)
そんな夢が膨らむ会話のあとは、透明感のあるシンセの音色が厳かにフェイドインして「山と渓谷」。のどかなピアノの旋律と情感たっぷりな大槻の歌声、そして「ヤッホー」「ハイホー」という木霊コーラスでしっとりと聴かせると、続いては流麗なピアノのアルペジオに導かれて「宇宙の法則」。さりげない転調やメロディアスなギター・ソロといった〈らしさ〉を挿みつつ、浄化の光で聴き手を包み込むようなポップソングの担い手であることを強烈に提示してみせる。
「1988年にメジャー・デビューして38年が経ちました。本当に夢のようです。なんというか、感無量よね。秋のツアーも楽しみにしていてくださいね!筋肉少女帯、いろいろありますけどこれだけは言えます!楽しいことしかなーい!」
そんな大槻の言葉と共に突入したのは「楽しいことしかない」。大陸的なスケール感を持つツイン・ギターとポジティヴな歌世界が場内を晴れやかな空気で満たすと、続いては哀愁のスパニッシュ・ギターソロから怒涛のメタル・チューンへと転じる「再殺部隊」へ。2曲を一気に駆け抜けると、ハード・ロッキンな重低音が響きまくるポエトリー・ブルース「風車男ルリヲ」で本編はフィナーレを迎え、メンバーは退場していった。
そしてアンコール。「嬉しいよ38年!我々いい人生を歩みましたよ。これからも歩んでいきますよ!」と客席に声をかけると、まずは場内全員で記念撮影。

「筋肉少女帯、これから楽しいことしかないよ!再現ライブも秋のツアーも、いろいろやろうと画策してるから楽しみにしていてくださいよ!」と大槻が客席に語りかけると、大きな拍手が湧き起こる。そして、ラストはメジャー・デビュー曲の「釈迦」。フロアで繰り広げられる激しいモンキーダンスを煽るように、加速度的にドライブし続ける舞台上の6人。ジャジーなブレイクからふたたびトップスピードへギアを切り替えると、天井知らずのテンションで場内の昂揚感をグイグイと引き上げていく。クライマックスに相応しい熱気が場内を覆い尽くしたところで、この日の公演は終了した。
……のだが、一向に点灯しない客電。そこへ、重たいドラムロールと共にスクリーンが登場し、秋ツアーの詳細が発表されはじめる。ツアーのタイトルは「奇談師」。名古屋、大阪、東京、仙台、川崎の順で行われる5ステージには、「サーカス団パノラマ島へ帰る」と「月光蟲」の再現ライブ+α(もしくは+β)に加えて、「キラキラと輝くもの」の制作30周年を記念した完全再現ライブ+Ω、ベストセレクションライブ+Xも含まれており、1公演ごとに映像が切り替わるたび、フロアからは歓声が上がっていた。
「サーカス団パノラマ島へ帰る」と「月光蟲」の再現ライブの完成度から考えると、「キラキラと輝くもの」にも想像以上のパフォーマンスを期待していいはず。秋ツアーのスタートはほんの3か月後。次なるお楽しみも、もうすぐだ。
SET LIST
01. サンフランシスコ
02. 日本印度化計画
03. 元祖高木ブー伝説
04. 生きてあげようかな
05. ビッキー・ホリディの唄
06. サボテンとバントライン
07. 北極星の二人 ~内田のラブソング~(Vo. 内田雄一郎)
08. 60を過ぎてもバンドはアイドル
09. ディオネア・フューチャー
10. 山と渓谷
11. 宇宙の法則
12. 楽しいことしかない
13. 再殺部隊
14. 風車男ルリヲ
ENCORE
15. 釈迦

















