2025年は数多くのタイアップ楽曲を手掛けるだけでなく、初のZeppツアー開催、ILLITや超ときめき♡宣伝部などへの楽曲提供、UNISとのコラボ楽曲など、活動の幅をさらに広げたシンガーソングライターの乃紫(noa)。彼女が今年4月より「noa live tour 2026」を開催する。福岡を皮切りに、彼女の地元である熊本などを回り、6月27日に開催のEX THEATER ROPPONGIまで計9都市を巡る、過去最多本数のワンマンツアーだ。
これまでのワンマンと大きく異なるのは、EX THEATER以外の会場のキャパシティが非常にコンパクトであるということ。このようなツアーになったのは、乃紫のたっての希望であるという。彼女は今回のツアーでどんなステージを計画しているのだろうか。最新曲「メガネを外して」の話題なども通して、乃紫の表現欲求を探った。
これまでのワンマンと大きく異なるのは、EX THEATER以外の会場のキャパシティが非常にコンパクトであるということ。このようなツアーになったのは、乃紫のたっての希望であるという。彼女は今回のツアーでどんなステージを計画しているのだろうか。最新曲「メガネを外して」の話題なども通して、乃紫の表現欲求を探った。
──乃紫さん初のアニメタイアップとなるTVアニメ『正反対な君と僕』の書き下ろしオープニングテーマ「メガネを外して」は、作品の内容がぎゅっと詰め込まれていると同時に、乃紫さんの哲学も感じる楽曲でした。乃紫さんはこの楽曲についてSNSにて、素直でいることの尊さについて言及なさっていましたよね。
(※ https://x.com/noa__aburasoba/status/2011752369433051180 )
(※ https://x.com/noa__aburasoba/status/2011752369433051180 )
原作を全部読んで、この作品の主題は素直になることの尊さなんじゃないかと勝手に感じて、それを楽曲に落とし込みました。登場人物たちがクラスメイトと人間関係を築くなかでだんだん成長して、「素直になってもいいんだ」という開放感が生まれるシーンがすごく特徴的だと思ったんです。人がピュアになる瞬間はどんな年代にもあるけれど、10代の子たちにしかない瑞々しさが『正反対な君と僕』にはある気がして。
──もともと乃紫さんの楽曲も、未成年の頃ならではの青春の切り取り方がとても鋭くて瑞々しいですよね。若者ならではの感覚や感情の一瞬を1曲に落とし込んでいる印象があります。
一生涯を季節に例えると10代までの時間は春だと思うし、その頃のことは大人になっても、何年経っても思い出すと思うんです。音楽や作品がその時代を思い出すきっかけにもなるし、自分の思い出と比較しながら楽しむというか。わたしは音楽を始めたのが大学生になってからなので、『正反対な君と僕』の登場人物の子たちの年頃のときはまったく音楽と関係のない、普通の学生生活を送っていたんです。それが思い出として今も自分のなかに存在し続けていますね。
──10代というかけがえのない時間を存分に味わっていたからこそ、今それをクリアに表現できるのかもしれませんね。乃紫さんご自身は『正反対な君と僕』の登場人物のように、他人の目が気になったり、自分視点で物事が決められない、視界が狭まることはありましたか?
高校時代は特にありました。わたしは九州の生まれで、通っていた高校はたとえばSNSで動画活動をしていたり音楽を作っていたりすると、「こういうことやってるらしい」「音楽やってるらしいよ」といい意味ではなく話題になっちゃう風潮が無意識的にあって。
──本人がやりたいことをやっているだけなのに、ほかの人がやっていないというだけで目立ってしまうというか。
だから「メガネを外して」というタイトルには“色眼鏡を外す”という意味も込めたんですよね。そういう環境で育ったから音楽をやろうという気持ちにもならなかったんだろうし、そういう価値観を持っている人からすれば、大学進学のために上京をしたのにミュージシャンになるなんて普通じゃない、アウトローだと思うかもしれない。でも東京に出てきたら自分のやりたいことをやっている人がたくさんいて、すごく自由だなと感じて。『正反対な君と僕』はわたしが地元で感じていた人間関係や将来のことがすごく言語化されているんです。あと、特に令和時代の若者は、周りの目を考えて行動している気がするんですよね。
──確かに。上の世代の人たちがSNSで炎上したり、SNSで知らない人から厳しい意見が飛んでくることが日常茶飯事なので、デジタルネイティブ世代には「こういうことをしたら疲弊する」というデータがたくさんあると思います。それゆえに自分の気持ち以上に、失敗しないこと、文句を言われない行動を取ることを優先しがちではありますよね。
この時代が若い子たちを縛っているような気もするんです。わたし自身もSNSの投稿ボタンを押すまでに「何か変なこと言ってないかな」と何百回も読み返してやっと世間に出していますし、今の若い子たちは相手も自分も傷つけたくないから、みんなすごく大人びていて、ちょっと自分を隠しがちで。平成の頃よりもその傾向を強く感じるんです。でも人間関係においては、「こう言ったら相手がどう受け取るかな?」と考えすぎないで自分の気持ちを素直に伝えたほうが自然体だし、心地のいい関係になれるかもしれない。素直になることは恥ずかしいことという固定観念から解き放たれたら、大切なことが伝えられる気がするんです。
──乃紫さんは平成時代の文化をとても大切にしていますよね。その理由はY2Kや90年代ブームだけではない気がするのですが、どんな影響があるのでしょうか。
それは自分が2000年生まれというのが影響していると思います。親がガラケーを使っていたのを、ぎりぎり見ていた世代なんです。
──日本では2008年に初代iPhoneが発売されて、そこから数年であっという間にスマートフォンが主流になりました。
平成末期を多感な時期に過ごして、19になる直前の2019年5月に令和元年になったんです。時代が変わると、何かが急に変わるわけじゃないけれど若者の人格にも少し変化が出る気がするんですよね。あと、CDを買ったことはない世代なので、CDに対する気持ちは思い入れというよりも哀愁なんです。いつか忘れてしまうものになるんだろうな、という気持ちがあるから残したくなるというか。
──特に乃紫さんが10代を過ごした2010年代は、時の流れが速くて次々と新しいものに置き換わっていき、その裏で後退していくものが多かったなと思います。
平成の恋愛ドラマと今の恋愛ドラマだと確実にストーリー構成もキャラクターも違うし、今の時代の受け手も今の時代のそれを求めていて。音楽もクリエイティブもそうなっていくのかなと思うからこそ、残したいと思うんだと思います。
──いまおっしゃったことは、乃紫さんのボーカルやメロディによく表れている気がします。ちょっと哀愁があって艶やかというか、譜割りにもゆとりがありますよね。
平成の女性シンガーソングライターさんがすごく好きで、椎名林檎さんやaikoさんを聴いて育ったのがいちばん大きいと思います。わたしに限らずこの世のみんなが、今まで見たものや聞いたものの集合体で、自分自身が自分博物館なんですよね。曲を書く人間はその展示場としてプレイリストがあって、曲が展示物になっているんだと思います。











