兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第197回[2025年11月前半・フラワーカンパニーズ、Brewin’ Groove Festival、四星球放送局FESTIVAL、等の5本を観ました]編

コラム | 2026.01.14 17:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライターである兵庫慎司が、自分が生で観た(たまに「配信で観た」もあり)、基本音楽、時々プロレスやお笑いなども含むすべてのライブのレポを書いて、半月に一回アップする連載の197回目=2025年11月前半編です。
なお、11月8日(土)と9日(日)の「2日続けて立川ステージガーデンだけど違うフェス」のやつ、イベンターは同じホットスタッフだったので、2日押さえて1日ずつビクターと四星球に振り分けたんだろうな、と、思いました。

11月2日(日)19:00 ゆうやけしはす&すうらばあず、ザ・ハイマーツ、デキシード・ザ・エモンズ @ 下北沢CLUB Que/Que Live Streamings

DECKREC主宰のネモト・ド・ショボーレとゆうやけしはすが共同開催するイベント『Wouldn’t It Be Nice』の二回目。1年ぶりなので、年に一回やる、ということなんだと思う。出演は上記の3バンドで(順番もこのとおり)、開演前や転換中にネモト・ド・ショボーレとTOYOZOのDJあり。
二番目に出た、女性ボーカル&ギター・ベース・ドラムの3ピースのかっこいいガレージ・サウンド=ザ・ハイマーツ、ドラムがなんか見覚えあるなと思ったら、Radio Carolineの楠部真也だった(あとで調べたらリズム隊はサポートだそうです)。
トリのデキシード・ザ・エモンズは、いつものことながら、ロックンロールの伝統性を「個性」とか「人間力」とかが超えていくさまが目の前でくり広げられていて、「本当の自由ってこういうことを言うんだろうなあ」と思わされる。
という2バンドも良かったが、目当てで行ったのは、トップのゆうやけしはす&すうらばあず。1年前のこのイベントの時にも書いたが(これです ≫ 兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第173回[2024年11月前半・宮本浩次、syrup16g、坂本慎太郎などの10本を観ました]編 )、このバンドのベーシストが、僕の地元の友人(高校の同級生)の息子なのです。1年前の時は対バンで曽我部恵一が出ていて、彼らのことをMCでとても褒めていた。というのがきっかけになったのかどうなのか知らないが、その後の、ゆうやけしはす&すうらばあずのニューアルバム『湘南サイケ』は、曽我部さんのROSE RECORDSからのリリースになったのだった(2025年7月31日)。
で、今日は、その彼も、彼のお父さんも大好きな、デキシード・ザ・エモンズと対バン。すごい。自分が学生時代に京都でやっていたバンドは、京都のCLUB Queクラスのハコ(磔磔とか)には全然出られなかったし、有名な人たちと対バンなどありえなかった。レベルが違う。
という個人的な感慨は置いといても、ゆうやけしはす&すうらばあず、おもしろい。まんまTHE WHOの「パクリマデリカ」という曲や、まんまボブ・ディランの「なるようになるよ」という曲あたりが、自分は特に好きである。その「まんま」さを「まんまじゃん」では終わらせない、解釈力とか咀嚼力とかがある気がして。
前者は『湘南サイケ』に、後者は2019年にゆうやけしはす名義で出ている『ニュー・ニート登場!!』というアルバムに、入っています。

11月3日(月・祝) 16:00 フラワーカンパニーズ @ 渋谷duo MUSIC EXCHANGE

10年ぶり二度目の日本武道館ワンマンを9月20日に行い、大成功に終わらせた1ヵ月後からスタートした全国ツアー『フラカンのチョイナチョイナ’25/’26』、全31本の3本目。なので、1本目ではなかったのだが、にしては若干とっちらかった出来だった、この日のフラカンは。歌詞を間違えたり、演奏をミスったりして。
ただ、だからと言ってハズレのライブだったかというと、そうではないのが、フラカンっておもしろいなあ、と思うところだし、もっと言うとロック・バンドっておもしろいなあ、と思うところでもある。毎回ミスなく整然としていて、確かなクオリティのものを提供してくれる、だけど全然おもしろくない、というのの真逆というか。
同じセットリストで回っていてもルーティンにならない、バンドはその1本1本を必死でやっていて、その結果1本1本が違うものになる。という意味で、終始テンションが高くて、終始必死で、楽しいライブだった。新しめの曲もいっぱいやってくれたし、久々で意外な選曲もあったし。

11月8日(土) 11:30 Brewin’ Groove Festival @ 立川ステージガーデン

ビクターが開催した、クラフトビールと音楽を楽しもう、という趣旨のフェス。立川ステージガーデン、外の芝生の広場につながっている会場で、ホール内の大ステージ(HALL STAGE)は有料で、芝生広場の小ステージ(GREEN STAGE)は無料。
出演は、HALL STAGEはバンド編成のアクトで、CENT(セントチヒロ・チッチ)、Penthouse、SHE’S、SOIL&“PIMP”SESSIONS、小山田壮平BAND、藤巻亮太の6組。GREEN STAGEはDJかアコースティック・ライブで、琳子、ニイナ(以上2組はオープニングアクト)、てんぷらDJアゲまさ(KEYTALK)、社長(SOIL&“PIMP”SESSIONS)、天々高々、寺中友将(KEYTALK)、つじあやの、の7組だった。いいブッキングですよね、とても。
ようやく天々高々のライブを観ることができて、その楽しさを体験し、フェスのオファーがいっぱい来るという理由がわかったり、ソロの新しめの曲とandymoriの曲で構成された小山田壮平BANDが最高だったり、久々につじあやのを観れたり(ユーミンの「ルージュの伝言」などを経て最後は「風になる」で大盛り上がり)、いろいろ楽しいアクトだらけだったが。特に、トリの藤巻亮太。
レミオロメンの曲もばんばんやる、というのは知っていたので、驚きはしなかったけど(でもうれしかったけど)、この日から1ヵ月後にレミオロメンの活動再開が発表されたのには、本当に驚いた。じゃあ、この時はもう決まっていたのか。そりゃそうよね、じゃないとツアー切れないし。
もちろん、この日のステージを観ていた段階では、そんなことまったく予想していませんでした。「いつかまたやればいいのになあ」くらいは思ったけど。

11月9日(日) 11:00 四星球放送局FESTIVAL @ 立川ステージガーデン

「これまでワンマンライブのテーマとして不定期に開催してきた『四星球放送局』。2025年秋、初めてゲストバンド・アーティストを迎えフェス形式で開催決定!!」(公式サイトより)。というわけで、2日続けて立川ステージガーデンに行きました。
以下、タイムテーブル。バンドはライブ、芸人さんはネタ、「」でタイトルが書いてあるのは基本的に映像です。

11:00 放送開始トーク
11:15 ハンブレッダーズ
11:55 「突撃! 隣のクラフトフェス」(※前日のフェスの芝生エリアを四星球の4人が紹介する映像)
12:30 ガガガSP
13:10「真の段ボーラーは誰だ!? 演者対抗! 段ボール工作No.1選手権」
13:30 ミニ吉本新喜劇(アキ、末成映薫、今別府直之、重谷ほたる)→まちゃまちゃ→シカゴ実業
14:05 「四星球放送局プレゼンツバンドマン楽屋トーク」(映像)
14:45 ゴールデンボンバー
15:20 「反射神経チャンピオンシップ 演者対抗!叩いて被ってじゃんけんポン」
15:55 〜なんでもかんでもランキング〜 ATSUSHI(ニューロティカ)、こやまたくや(ヤバイTシャツ屋さん)、島田珠代、ROY(THE BAWDIES) (※以上のゲストが四星球の演奏で歌う、もしくは踊り狂うコーナー)
17:00 ネコニスズ→ザ・プラン9
17:30 連続けん玉チャレンジ
18:15 ORANGE RANGE
19:20 四星球
20:20 エンディング

要は、イベント自体をテレビのチャンネルと見立てて、時間帯によってさまざまな番組が放送されていくのと同じ形で作り上げる、というもの。なので、ステージにブラウン管のテレビ枠のセットが組まれていて、演者はその画面の中にいる、という体裁になっている。
ゴールデンボンバーが徳島姫神祭りをステージで再現、島田珠代の狂乱のダンスにステージの上も下も全員絶句、プラン9はこのために関西から来て終わった瞬間にとんぼ返り、などなど、もうクタクタになるくらい笑いっぱなし。
トリの四星球の時に康雄が言った「コロナ禍の頃ここでワンマンをやった、あの時できなかったことを全部やりたかった」という言葉には、グッとくるものがありました、さすがに。ちなみに四星球の時間で自分がいちばん笑ったのは、「クラーク博士と僕は突然に」というアレンジネタでした。

11月11日(火)19:30 山川のりをlevel60! @ 下北沢440

山川のりを=ギターパンダの60歳記念ライブで、出演は「完璧ギターパンダ」=ボーカルギター:山川のりを・ドラム:風呂屋ののんちゃん・ベース=ワタナベイビー、の3ピース・バンドでのライブ。満員。
本編18曲、アンコールはバンドで2曲、ダブル・アンコールはひとり弾き語りで1曲の全21曲・2時間強。山川のりをの「ずっと全力でずっと全開」なパフォーマンスに、圧倒されっぱなしだった。ディープ&バイツの「うたをうたおう」、忌野清志郎&2・3‘Sの「お弁当箱」、アンコールで同じく忌野清志郎&2・3‘Sの「ハッピーバースデー」なども聴けてうれしかったし。
あと、ワタナベイビーさん、毎年恒例のホフディランの『春のベースまつり』で、ゲストのベーシストたちが出て来る前に、必ず頭の2曲、自分でベースを弾きながら歌う。それを観るたびに「結局この人のベースがいちばんいいんじゃないか?」と思う。でもそれ、要はベースに限らずなんの楽器でもそうなんだけど、歌う人が自分で弾く楽器が、いちばん歌のタイム感に合っている、だからいいと思えるんだろうな。と思っていたが、他の人のバックで弾く時も、とてもいいベースなんだな、ということを、この日、知りました。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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