ローチケ presents 「Ticket To Ride Vol. 5 –SPECIAL-」
2025年12月5日(金)横浜BAY HALL
出演 : ベリーグッドマン / かりゆし58 / HONEBONE(O.A)
イベントのコンセプトは「競演することで“何かが起こりそう”な組み合わせ」。シリーズ5回目の開催となるローチケ presents「Ticket To Ride Vol. 5 –SPECIAL-」に登場するのは、大阪公演がベリーグッドマンとどぶろっく、神奈川公演がかりゆし58とベリーグッドマン、両日ともにオープニングアクトを務めるのはHONEBONE(ホネボーン)だ。音楽性もキャラも異なるが、ライブには絶対の特徴を持つ3組が競演した、12月5日の横浜BAY HALL公演を振り返ろう。
「オープニングを務めさせていただきます、HONEBONEと申します。20分ばかしお時間を頂戴いたします!」(EMILY)

ボーカル・EMILYとアコースティックギター・KAWAGUCHIによるフォークユニット・HONEBONEは、とにかく明るくとことん元気。読売ジャイアンツ・丸佳浩選手の登場曲「夜をこえて」で観客を手拍子の渦に巻き込むと、「とりあえず、生!」ではライブハウスを宴会場に変えてぐいぐい盛り上げる。笑顔とパワフルボイスのEMILY、“顔でギターを弾く”と称される激情型プレイヤーのKAWAGUCHI、親しみやすくエネルギッシュなパフォーマンスだ。
「最近、体調どうですか?」と観客に呼び掛けて会話しながら、盆踊りのリズムと“ヨヨイノヨイ”の掛け声で会場が一つになる「健康音頭」、日々の暮らしに疲れ悩む人を励ます希望のバラード「生きるの疲れた」。コブシ回しが心地よいEMILYの歌と緩急織り交ぜた曲調で観客の心をぎゅっとつかみ、最後は明るいヨッパライ賛歌「酔いどれ数え唄」でみんな笑顔のハッピーエンド。演歌や歌謡曲に通じる歌心と、いつどこで誰をも楽しませる芸人魂を持ったフォークデュオとして人気者の理由がよくわかる、あっという間の20分間。過去最大規模のワンマンライブ、来年11月8日のヒューリックホール東京公演をすでに発表し、夢に向かって突き進む二人の未来に期待だ。
「元気ですか?平日から横浜で一緒にパーティーしましょうか」(MOCA)
開口一番の煽りに、椅子に腰かけていたフロアの観客が一斉に立ち上がる。イベントの先陣を切るベリーグッドマン、1曲目「ライトスタンド」からフロアはすでに大合唱、「オドリバ★ジャポニカ」ではMOCAが客席からスカウトした観客をどんどんステージに上げて無礼講の大騒ぎ。からの豪快タオル回しソング「Vibes UP!!」で大暴れ、そして最後はMOCAが投げたタオルが天井にひっかかる大暴投。それを回収するために「タオルを丸めて投げてみたら?」というRoverの一言から突然始まった、アドリブの野球コントに大爆笑。予期せぬ何が起きてもエネルギーに変えて盛り上げるライブ巧者、それがベリーグッドマン。
「来年メジャーデビュー10周年。1月11日にTOYOTA ARENA TOKYOで1万人規模のワンマンライブをさせていただきます。これからも頑張っていく気持ちを込めて、一生懸命歌いたい曲を持ってきました」(Rover)
フロア全員のコブシが突き上がる「ライオン」は、今やスポーツイベントの定番応援歌になった代表曲。「花よりも花を咲かせる土になれ」は、支え支えられて生きていく人生を花と土にたとえた人生ソング。そして「おかん~yet~」は母への感謝をまっすぐに綴ったメッセージソング。朗々としたMOCAの声、語り掛けるように優しいRoverの声、振り絞るようにソウルフルなHiDEXの声、三者三様の声が重なってベリーグッドマンのハーモニーは出来上がる。「僕らを初めて観る人?」というRoverの問いかけにかなりの数の手が上がったが、この日の記憶は忘れられないものになるだろう。ちなみにDJのMANA-Bはこの日が誕生日、彼にとっても忘れられないライブになったはずだ。
「ここからまだまだ盛り上げますけどいいですか!」(MOCA)
「GroovyでDancingなParty」は、またもMOCAのスカウトでステージに観客が溢れ、「呼びすぎやろ!」と突っ込むRoverと苦笑いのHiDEX。かりゆし58を観に来てなぜかステージに上げられてしまった人もいたようだが、みんな笑顔なので問題なし。そしてまさにライブのハイライト、“夢は絶対にかなう”と力強く歌う「ハイライト」を大合唱すると、残すはあと1曲。
「これからも3人で音楽を続けていくことが大きな目標の一つです。今日も仲間のことを思って歌わせてください」(Rover)
友情を超えた大きな愛情を歌うラストソング「アイカタ」を、観客全員のクラップの力を借りて歌い上げる。「楽しんでもらえましたか?かりゆし58でも盛り上がれますか?」とMOCAが煽る。先に出て盛り上げる役割を十分に果たし、初見の観客にも忘れがたいインパクトを残す仕事人、それがベリーグッドマン。
メンバーの着る色鮮やかな衣装が、12月の横浜に沖縄の空気を運んでくる。イベントのトリを取るかりゆし58のステージは、軽やかなレゲエのリズムに乗って「ナナ」からスタート。音源よりもはるかに骨太なドラムのキックとベースの重低音は、彼らが生粋のライブバンドである証。フロア全員、おおらかなリズムに合わせて大きな手振りで音楽に乗る。
「ライブハウスのルールはシンプルです。あなたが自由で、自分らしくあること。思い切りやりあいましょう」(前川)
真ん中に前川真悟、右に新屋行裕、左に宮平直樹、そして中村洋貴と、サポートの柳原和也。自分らしさのメッセージを明るいシャッフルビートに乗せた「アイアムを」から、切なさと高揚感が交錯するパンクソング「電照菊」へ。多様なリズムに沖縄音階のメロディ、よく通る前川の歌声は唯一無二で、「ウクイウタ」に込めた励ましのメッセージが一語一語はっきり届く。説得力あふれる歌声だ。
「来年、デビュー20周年を迎えさせてもらいます。そして今年の5月、『アンマー』がYouTubeで再生1億回を超えました」(前川)
姪っ子に子供が生まれた。兄貴が宅建の資格を取った。良い出来事がたくさんあった2025年を振り返りながら、これまでに何千回も歌っただろう「アンマー」を、初めてのように心を込めて丁寧に歌う前川。曲中でベリーグッドマンのDJ・MANA-Bに“誕生日おめでとう”とメッセージを贈る、細やかな心使いに人柄がにじむ。美空ひばりのカバー「愛燦燦」の、陽気なラテンファンク風のアレンジから音楽への喜びが伝わる。合いの手と全員の大合唱で心を一つにする、「手と手」のレゲエのリズムから大きな愛が溢れる。
時間の経つのがあっという間だ。ラスト2曲は、タイトに引き締まったリズムとディレイをかけたギターリフがかっこいい「証」と、“今日が人生で一番新しいライブです”と前置きして歌った「オワリはじまり」。かけがえのない時間を胸に刻み込んだかい?と、優しく問う歌声がホールいっぱいに響き渡る。歌い終えた前川が「よいお年を!」と笑顔で言う。2時間40分に及ぶイベントだったが、後味はとても爽やか。HONEBONEからベリーグッドマンへ、かりゆし58へと繋がれた心のバトンはたぶん、今日ここに来たすべての人に渡された。ローチケ presents「Ticket To Ride Vol. 5 –SPECIAL-」は、帰り道まで温かい余韻の残る素敵なイベントだった。
SET LIST
HONEBONE
01. 夜をこえて
02. とりあえず、生!
03. 健康音頭
04. 生きるの疲れた
05. 酔いどれ数え唄
ベリーグッドマン
01. ライトスタンド
02. オドリバ★ジャポニカ
03. チョベリグ
04. Vibes UP!!
05. ライオン
06. 花よりも花を咲かせる土になれ
07. おかん〜yet〜
08. GroovyでDancingなParty
09. ハイライト
10. アイカタ
かりゆし58
01. ナナ
02. アイアムを
03. 電照菊
04. ウクイウタ
05. アンマー
06. 愛燦燦
07. 手と手
08. 証
09.オワリはじまり



























