「有安杏果 A Little Harmony Live 2025 ~Piano Note~」より
毎回そうなんですけど、ライブが終わった後はやっぱりひと安心という気持ちが大きいですね。もともと喉も弱かったので、1日2ステージのライブを全部1人で最後までちゃんと終えられるかっていう不安が少しあったんですけど、無事に終えられてほっとしてます。あとは、悔しい思いもいろいろあったんです。でも、ずっとやってみたかったことだったので、本当に一つの夢が叶ったと言ってもいいぐらい、すごい経験をさせてもらって。今、だいぶ日にちも経って振り返ると、本当に楽しかったなっていうふうに思います。
あはははは。取り乱してすいません。終えた直後だったので。たくさん練習したのに、本番になるとこんなにも間違えるのかっていうのが悔しくて。でも、もっと練習しとけばよかったっていう後悔はなかったんですよ。あの時点で、自分の中ではやれることはしっかりとやった。終わってから数日経って、今思うのは、その悔し涙を流せてよかったなとは思ってます。まだ満足してない自分っていうのは、今後もっと成長したいっていう思いがきっとあるから出た涙だったと思うし、良かったなとは思ってます。あとはもう、また次のライブに向けて練習あるのみだなっていうふうに、今は前向きに考えています。
そうですね。もともと、弾き語りライブっていうのは、私の音楽人生プランだと本当はもうちょっと先——30歳を超えてからかなと思ってたんですけど、コロナ禍で順番がだいぶ変わって、弾き語りを先にやることになって。今まではどちらかというとギターの比率が多かったけど、個人的にはずっと前からピアノも好きだったんですね。ももクロ時代のソロライブでも、そのときは1曲やるのが精一杯だったんですけど、ピアノの弾き語りにトライはしていた。でも、いつか電子ピアノじゃなくて、大きいグランドピアノで、ピアノだけの弾き語りライブをやってみたいっていうのは、すごく憧れというか、夢だったんです。それが今回、実現して。しかも、ビルボードっていう素敵な会場でできたのも特別な体験だったなと思います。
緊張感はありましたけど、去年、1回立っててよかったなと思いました。ライブとは関係ないですけど、楽屋の雰囲気とか、導線とか。1回やったことがある会場だと、少し自分の家のように感じられるんですね。だから、去年、「Jazz Note」をビルボードでやらずに、今年が初めてのビルボードで、しかも、「Piano Note」だった場合を考えると、もっとすごく緊張してただろうなとは思います。
「有安杏果 A Little Harmony Live 2025 ~Piano Note~」より
「有安杏果 A Little Harmony Live 2025 ~Piano Note~」より
そうなんですよ。お食事をしたり、飲み物を飲みながら楽しむっていうライブスタイルって、私のお客さんは今まであまり経験がなかったはずなんですよね。でも、これは、今回のライブの中で印象的だったことのベスト3ぐらいに入るんですけど、お客さんがすごいリラックスして楽しんでくださってて。もっと緊張感が漂う感じかなと思ってたら全然違かった。そのことが、私にすごい安心感を与えてくれたし、なおかつ、集中もできた。私自身も安心してみんなに託せるというか。『じゃあ、私はこっちを頑張るね』みたいな感じで、ピアノと向き合うことができたなと思います。
ライブが終わった後に音響さんとも話してたんですけど、みんな、場の空気を読んでくれてて。イントロとか、盛り上げるところはクラップで盛り上げてくれるんですけど、私が歌に入ると、ピタッと止まって。実際にピアノと歌だけだから、お客さんのクラップでかき消されちゃうというか、音数が少ない分、聞こえなくなっちゃうっていうのが何となくわかってくださったのかな。それも含めて、お客さんのビルボードでの楽しみ方が120点で、私もなんか嬉しかったです。
いや、あれ、難しいんですよね。まだ練習したい(笑)。「Drive Drive」はやるかどうか迷ったんですよ。ギターのイメージあるし、ビルボードだとタオルも回せないから、どうしようかな?と思ったんですけど、逆に言えばイントロがすごく印象的で、ピアノでしか出せない世界観だなと思って。曲の途中で出てくるギターソロをどうするかは苦しんだんですけど、あのイントロをやりたくて入れたって言っても過言じゃないですね。
ふふふ。そう言っていただけるのは報われますね。
そうですね。「オレンジ」は本当にピアノで届けられてよかったなって思います。でも、なんか、不思議な感覚がありました。「オレンジ」は少し音楽理論もわかってきて、ピアノで少しずつ作れるようになった時代に作った曲。逆に、「ペダル」と「ハムスター」は楽器が弾けなくて、鼻歌だけで作ってた時代の曲。そういう曲を自分がピアノ1本で届けられる日が来たんだなっていうのは、すごく感慨深かったですね。でも、やっぱり「ペダル」と「ハムスター」は何回も歌ってるから自分と一体となってて。「オレンジ」はまだちょっと考えて弾いちゃう部分があるんだけど、「ペダル」「ハムスター」は自然のまま自分からて溢れ出てくるなって。それも今まで積み重ねてきた歴史があるなっていうのは思いました。
「有安杏果 A Little Harmony Live 2025 ~Piano Note~」より
MCでも伝えたんですけど、去年、ビルボードにぴったり合うはずの「愛されたくて」「遠吠え」をあえてやらなかったんです。なので、ようやくビルボードでこの2曲ができた。しかも、弾き語りで届けられたっていうのは、「あ、ここまで来たんだ」みたいな気持ちになった。もちろん、うまくいかなかった部分は悔しいですけど、とりあえずここまでこれたっていうのは、私もそうですし、楽曲自体もすごく喜んでくれたんじゃないかなと思います。
そうですね。もうちょっと音数を減らすのか、これは真剣に渡さんと作戦会議をしなきゃなと思ってるんですけど(笑)。
もともとは「愛されたくて」「遠吠え」をいつか弾き語りでできるようになりたいなと思ったときに、まず1回、自分で譜面を見て、トライしてみたんです。普通にコードを押さえてやってみたんですけど、全然あの雰囲気が表現できなくて。そこで、たまたま渡さんのSNSで、ベースラインを弾きながら歌ってる弾き語りの動画を見て。弾き語りでもこれできるんだと思って。もちろん、難しいですけど、曲を作ってくださった渡さんに『ピアノを教えて欲しいです』っていうお願いをして。ライブにはちょこちょこ見には来てくださったんですけど、それとはまた別の形で交流が再開して。渡さんにはマイクスタンドの位置とか、細かく全部教えてもらって。この2曲以外のアレンジにも力を貸していただきました。
「有安杏果 A Little Harmony Live 2025 ~Piano Note~」より
小谷さんとも定期的に連絡取ったり、「裸」の弾き語りもいっぱい教えてもらってますね。小さいことで言うと、本番で見る譜面の相談もして。弾き語りのアーティストさんみんな、それぞれ独自のやり方があって。歌詞だけ見る人もいれば、譜面も見る人いたり、結構バラバラだと思うんですよ。私はまだ自分の中で定着してなくて、すごく迷ってた時に、小谷さんの貴重な本番用のファイルを見せてもらって。それこそ、「いつか自分もピアノで弾き語りライブができるようになりたい」という夢を抱くきっかけかになったのが、私が初めて見た小谷さんの弾き語りライブだったので、それも含めて——もちろん、まだまだなんですけど、「ここまで来たんだな」って感じることができたブロックでしたね。
そうですね。ももクロのライブのときは大型LEDや豪華なセットもあって。いろんな演出で楽しませるっていうエンターテインメントを届けてきたんですけど、また別のアプローチとして、ピアノと歌だけでも人の心に届くものができるっていうのを教わったのは小谷さんの弾き語りライブだったんですね。だから、私ももっともっと追求していきたいなと思いますね。