緑仙 1st LIVE「Ryushen」
2023年6月8日(木) KT Zepp Yokohama
にじさんじに所属するVTuber、緑仙がKT Zepp Yokohamaにて1st LIVE「Ryushen」を行った。
ライブが開催された2023年6月8日をもって活動5周年を迎えた緑仙。そんな記念すべき日に行われた緑仙初のワンマンライブは、目の前のファンと喜びを分かち合い、これからの決意を伝えたメモリアルな公演となった。
開演前より会場にはお祭りムードが漂っていた。というのも、場内のスクリーンにはニコニコ生放送にて行われていたライブ直前生放送が放映。同じくにじさんじライバーであるアンジュ・カトリーナを司会に、緑仙に関する視聴者参加型の早押しクイズが行われたり、会場と中継を繋いで訪れたファンの声を聞いたりと、ライブ前の高揚感を掻き立てるような配信で盛り上がりを見せていた。
開演直前、緑仙の影アナによって注意事項が伝えられると、会場は早速熱狂的な声援に包まれる。既に温まっている会場の雰囲気を感じてか、緑仙の声色も明るい。
オープニングムービーに続き、奈良悠樹(Gt)、堀崎翔(Gt)、岸田勇気(Pf)、ウエムラユウキ(Ba)、ゆーまお(Dr)というバンドメンバーが登場したのち緑仙が姿を表すと、オリジナル曲「藍ヨリ青ク」よりライブがスタート。ドラムが奏でる拍動のようなリズム、ベースのスラップといったバンドサウンドと混ざりあう緑仙の生き生きとした歌声に、緑仙とのリアルでの邂逅を実感したファンも多いだろう。
東京スカパラダイスオーケストラがSaucy Dogの石原慎也を迎えた楽曲「紋白蝶」のカバーやぬゆり「ロウワー」をはじめ、オリジナル曲だけでなくJ-POPからボーカロイド楽曲、アニメ主題歌までを次々に披露した緑仙。「紋白蝶」では椅子に腰かけてパンダのぬいぐるみを抱えながら歌うという愛らしい場面も見せながら、ハリのある低音から透明感のあるファルセットまでを多彩に操りながら歌い上げた。
大歓声に包まれながら挨拶をし「今日で5周年を迎えました。本当に嬉しく思います」と喜びと感謝を伝えた緑仙はMC中、客席から飛んでくる「可愛い!」「格好いい!」「愛してる!」といった歓声を、コメントを拾うがごとく次々と拾っては楽しそうに反応し感謝を伝えていた。リアルタイムで歓声が届くだけでなく、緑仙のレスポンスに対するリアクションも返ってくるという、同じ場所と時間を過ごしているゆえのコミュニケーションをたっぷり満喫すると、「いつもの僕らしく、話すのは得意ではないので歌唱多めで走り抜けていきたいと思います。ついてきてくださいね!」と「トウキョウ・シャンディ・ランデヴ」へ。MCでの高揚感をそのままに会場をポップに染め上げると、一転して「失楽ペトリ」では落ち着いた低音とファルセットの対比を際立てる。「bin」ではリズミカルにクールな歌声を聞かせ、柔らかくも気だるげな声色で「エンダー」へ。曲調によって声色を変化させながら伸び伸びと歌を届けていった。
ここで2匹のパンダダンサーを呼び込み、「ちゅ、多様性。」を披露。スクリーンには自身の衣装などのモチーフになることも多い中華要素をたっぷりと含んだVJも表示され、華やかに彩られる。しなやかなダンスとともに「アイディスマイル」をアンニュイに披露し、「この曲は難しいので一緒に盛り上がってください!」と披露したのは早口の歌詞が続く「聖槍爆裂ボーイ」。序盤の言葉通りに次々と楽曲を披露していく緑仙だが、その歌声の安定感は初のワンマンライブとは思えないほどだ。
再びパンダダンサーが登場し「くらえ!テレパシー」で盛り上がったあとには、緑仙のオリジナル曲を数多く手がけているシンガーソングライターであり作曲家、そして緑仙曰く「僕のメンタリスト」であるぼっちぼろまるが登場。ぼっちぼろまるをギターに迎え、4月16日の誕生日にリリースした新曲「ジョークス」を披露する。仄暗さも感じる歌詞だが、前向きなメロディのサビはオーディエンスを前に歌われることでパーティチューンのように力強く響いた。
そして「ミカヅキ」、「ラブヘイト」、サポートメンバーのウエムラユウキが所属するポルカドットスティングレイ「人魚」のカバーを経て、ライブも終盤へ。
「今まで、いろんな音楽に支えられてここまで来たなと思います。この5年間はもちろん、幼いころからいろんな音楽を聴いて、いろんな音楽に支えられて今の自分ができています。大好きな音楽が積み重なってみんなと繋がれるツールになっている。すごく最高!って感じです。これからも僕のことを応援してとは言いません。みんなのことを応援したい。僕の歌が少しでもみんなのエールになりますように」
そう伝え、本編最後にアカペラで歌い出したのは「君になりたいから」。言葉で思いを伝えるのが苦手だとこの日度々口にしていた緑仙だが、その歌声は柔らかく、ひたむきな緑仙の思いを感じさせた。
熱烈なアンコールに応え再び登場すると、ユニバーサルミュージックからアーティストデビューをすること、1stミニアルバムを10月にリリースすることを発表。更に、緑仙がかねてより応援しているベガルタ仙台の応援ソングのリリースも発表し、早速その新曲「WE ARE YOU」を初披露した。たくさんのサプライズを届けたあとには、「ありがとうの言葉は言い足りないですが、僕らしく歌で伝えます」と華やかなライブチューン「イツライ」でフィナーレを迎えた。
終演後の影アナにて、「僕のことをずっと好きでいてくれるように、頑張らせてください。帰っても好きでいてください!」という緑仙の言葉で幕を閉じた1stライブ。言葉で伝えるのは得意ではないという不器用さ、ファンの歓声に嬉しそうに応える素直さが垣間見えた、音楽とファンへの愛がたっぷりと溢れた緑仙らしい公演であった。
SET LIST
01. 藍ヨリ青ク
02. 紋白蝶 feat.石原慎也(Saucy Dog) / TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA
03. ロウワー / ぬゆり
04. 殺屋中毒
05. トウキョウ・シャンディ・ランデヴ / MAISONdes
06. 失楽ペトリ / ナナホシ管弦楽団
07. bin / こめだわら
08. エンダー
09. トリコロージュ / 煮ル果実
10. ちゅ、多様性。 / ano
11. アイディスマイル / とあ
12. 聖槍爆裂ボーイ / れるりり
13. モノノケ・イン・ザ・フィクション / 嘘とカメレオン
14. くらえ!テレパシー / マハラージャン
15. ジョークス
16. ミカヅキ / さユり
17. ラブヘイト / Rain Drops
18. 人魚 / ポルカドットスティングレイ
19. 君になりたいから
ENCORE
01. WE ARE YOU
02. イツライ