
──10年前というと、koboreは結成2年目で、初のデモCD『ヨルノカタスミ』をリリースした年です。
佐藤赳(Vo&Gt)やばい、僕、なんも考えてなかった。何者でもなかったし、今も何者でもないんですけど、前はもう本当になんにもなかった。失うものもないし、誰もいなかった。ほんとクソ人間だったし、迷惑しかかけてなかったし、大学も中退して、借金して、でもすごい見栄張りたくて、お金持ってねえなこいつとは思われたくなかったから、飲みにはめっちゃ行ってた。
──でも自信はあったでしょう。「俺は歌える」って。
佐藤それも今思うと、どっから来てた自信なのかなって思うんですけどね。たまたま働いてたライブハウスが、たまたま僕を拾ってくれたっていうだけで、それ以上でも以下でもないんで。一個でもピースがなかったら、たぶん今みたいになってないだろうし…ということは、大事なものだらけだったのかもしれない。あの時無駄に飲みに行ったやつらが今でも仲良かったりするし、あの時無駄に張ってた見栄が、今でも自分の中での強さだったりするし、全部が必要だったのかもしれないとも思いますね。
──先日(7月7日)お誕生日を迎えて29歳になったそらくん。10年前は19歳ですか。
田中そら(Ba)その頃は、何考えてたんだろう? でも無敵だったかもしれない。赳と一緒で、失うものなんかないと思ってたし…まあちょっと、頭悪かったんでしょうね。今は全然そんなふうに思わないし、逆に大切なものが多すぎて、昔みたいに奇想天外な行動を取れなくなってしまったんですけど。昔はなんでもやってたんで、映画を1日10本見て、そのまま山登りに行ったりとか、そういうエネルギーみたいなものは、正直なくなってきてるんですけど、そのぶん質を高めたりとか。話がそれてますね。これ何の質問でしたっけ。
──10年前に何を考えていたか。
田中そうだ。だから10年前はもう無敵の人で、何も考えてない人。でも今は大切なものが多すぎて、そのエネルギーの使い方を考えられるようになった人。大人になりましたね。ちょうどこの前行ったライブハウスの、富山ソウルパワーの店長さんが、「真人間になったな」って言ってくれました。「最初に会った時は、本当にやばいやつだと思ったんだけど」って言われて、でも今はそういうのを経て真人間になってるから、「お前はいい大人になってるよ」って言ってくれたのが、なんか嬉しかったです。ならいいかって、今の自分にはそれなりに満足してます。

伊藤克起(Dr)10年前はkoboreじゃなかったです。18歳で、ドラムは好きでしたけど、これで食っていけるはずもないし、進路どうしようかなと思ってたら、先輩(赳)に声かけられて、「いいですよ」って言ってやった結果が今なんで、いい人生ですよね(笑)。でもたぶん、僕はブレてないです。ドラムが好きで、ドラムで僕という人間を証明し続けて、昔は対バンしたやつ全員、僕の後にドラム叩けねえようにしてやろうと思って、ウォー!ってなってましたけど、だんだんいろんな人のいろんなところを見るようになって、丸くなって、多少深みは出たんじゃないかな。まだひよっこですけど、それがバンドに還元できてれば僕はそれでいいです。あとは、あれですね、メンバーと話をするようになりました。今思うと、やっぱり年下だったから、ほんの2年ぐらい前までは結構遠慮してたな、みたいな。
──最近じゃないですか(笑)。
伊藤めちゃくちゃ最近ですよ。ある時、赳とバカ喧嘩した時に、思ってること全部言ったら、あとで赳が「ほんとにもうマジでごめん」みたいな、こんな顔見たことないぞぐらいの勢いで謝罪してきて。そこから腹を割って喋ったところからつっかえが外れて。
──そんなことがあったとは。
伊藤そういう色々を経て、ものを言える人間にやっとしてもらえた、みたいな感じはあります。自分の言葉でちゃんと言う意味とか、言ってるようで言ってなかったこととか、いっぱいあったんで、それはkoboreに成長させてもらえたなと思いますよ。僕は本当にドラム一本の人間で、バンドも好きだけど、単純にドラムを叩くのが好き、というスタンスだったから、メンバーにそんなに踏み入った話をしなくてもいいやとか、斜に構えてた時もあったんですけど、ここに来てやっと、さっき「真人間になった」とか言ってる人がいましたけど、ある意味僕も、今の人間になって良かったなと思ってます。ありがとうございました…違う、ありがとうございます(笑)。これからもよろしくお願いします。






