取材・文/濱安紹子
「ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season鳥 Produced by TBS」が、6月27日(火)に豊洲・IHIステージアラウンド東京で開幕。これに先駆けたプレスコールが同日の初日開演前に開催された。
1990年の初演以降、7年ごとに上演されてきた劇団☆新感線の代表作『髑髏城の七人』。“花・鳥・風・月”の4シーズンごとに脚本・演出・キャストを変え、1年3ヶ月に渡るロングラン公演を予定している今シリーズは、先日12日に第一弾「Season花」(小栗旬主演)が終演したばかり。今回、その第二弾となる「Season鳥」がスタートする運びとなった。
「Season花」に続き、「Season鳥」の上演会場となったIHIステージアラウンド東京は、3月にオープンした1300名の収容が可能な新劇場。360度全方位に客席が回転する、アジア初の施設として話題を集めている。そして、この日行われたプレスコールでは、報道陣に向けて演目から抜粋された3シーンが約30分に渡って公開。開催を目前に控えた公演の一部を、本番さながらの迫力と臨場感をもって体験することができた。
舞台は織田信長亡き後の戦国時代。幕が上がると、関東一の色里「無界」の世界がステージに広がる。大胆な肌見せを披露した松雪泰子演じる極楽太夫の華やかな歌唱シーン、遊女たちのエキサイティングなダンス&コーラス、阿部サダヲ演じる主人公・捨之介が前掛け一丁で歌い踊る場面などが、ストーリーの中で目紛しく展開されていく。
歌と踊りといったパフォーマンスをふんだんに盛り込み、前シーズンよりも華やかにショーアップした「Season鳥」。Perfumeや「恋ダンス」で有名な振付師・MIKIKOによって手掛けられたダンス、見応えのある派手なステージングも大きな見どころだ。また、キャラクターの印象やビジュアルにも前作から大幅な変更が加えられ、「『髑髏城の七人』という1つの作品がここまで変わるの!?」と、今回で4回目の新感線参加となる阿部サダヲも驚いたほど、趣を異にしている。「キャスティングそれぞれの持つ魅力に合わせて、1から書き直すくらいの気概で臨んだ」という中島かずき渾身の脚本、いのうえひでのりによる趣向を凝らした演出、劇団に馴染みの深い実力派&個性派キャスト陣による演技……どれをとっても不足なし。こだわり抜いた今作は、コアな演劇ファンをも興奮させる刺激的な作品に仕上がっているようだ。
もちろん特筆すべきは、ストーリーの進行に合わせて向きを変えていく円形の客席と、スクリーンに映し出される圧巻の映像美。画期的なこれらのシステムによって、観客一人一人が物語の世界へトリップしたような、圧倒的な没入感に浸ることができるだろう。
ひとたびスクリーンが閉じ客席が回転した後は、満月が美しい夜世界へ。鉄機兵に襲われる沙霧(清水葉月)を助けようと刀を振るう、無界屋蘭兵衛(早乙女太一)の流れるように見事な殺陣シーンに魅了される。「野心に生きるは遅すぎる。女に生きるはうぶすぎる。夢に生きるは切なすぎる」という歴代の名台詞も飛び出し、大きな見せ場を迎えた。
再び場面は変わり、舞台中央から武装集団「関東髑髏党」とともに、異形な鎧と異様なオーラを纏った党首・天魔王(森山未來)が登場する。実は森山がこの役を演じるのはこれで二度目。「単なる悪役とならないように演れたら」という本人のコメントに、新たな天魔王像とこの後の展開への期待が高まる。蘭兵衛とのやりとりの後、「天の意思は私が継ぐ」という天魔王のセリフで、この日のプレスコールは幕を閉じた。
「ONWARD presents 劇団☆新感線『髑髏城の七人』Season鳥 Produced by TBS」の公開は、6月27日(火)〜9月1日(金)まで。好評につきすでに前売り券は完売しているが、7月31日に全国72館でライブビューイングが開催されることが決定。チケットを逃した方や遠方にお住いの方も、本公演の生中継を最寄りの映画館で堪能できるまたとない機会なのでお見逃しなく!この製作陣、このキャスティング、そしてこの会場だからこそ実現できた新感覚の演劇を、ぜひ体感してみてほしい。
<出演者からのメッセージ>
阿部サダヲ
今までにない『髑髏城の七人』が見られると思います。お楽しみに!!
森山未來
触れ込みにもあるように、歌あり、踊りあり。楽しい舞台になることは間違いないです。劇場の周りには何もありませんが(笑)、『髑髏城の七人』をぜひ楽しんでほしいです。
早乙女太一
この夏一番のお祭りが、豊洲のこの劇場で行われております。是非、見に来てください。
松雪泰子
華やかで楽しんでいただける「Season鳥」。是非劇場で体感してください。お待ちしております。
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