代表作「続・夕陽のガンマン」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「アンタッチャブル」「ミッション」「ニュー・シネマ・パラダイス」「海の上のピアニスト」「マレーナ」「ヘイトフル・エイト」等、数々の名曲を生み出した、映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネ。没後2年にあたる今年2022年、エンニオのオリジナルスコアが、息子アンドレア・モリコーネの指揮の元、エンニオと長く活動を共にしたミュージシャン、選ばれたソリスト、そして、コーラスを含めた総勢140名のフル・オーケストラの生演奏で上演されるコンサートが、まもなく開催される。
公演直前の11月2日、埼玉県某所で行われたリハーサルに潜入。指揮者は、エンニオ・モリコーネの息子であるアンドレア・モリコーネ。父の音楽を完全に熟知していると言っても過言ではないアンドレアから語られる音楽は、彼の指揮を通して、東京フィルハーモニー交響楽団へ伝わっていった。
映画音楽を代表する作曲家エンニオ・モリコーネとあって、演目は、繊細で美しいハーモニーからウェスタン調のダイナミックな楽曲まで、どれだけ聞いても飽きさせないエンニオ楽曲で埋め尽くされている。
さらに、本公演のためにイタリアから来日した、エンニオと長く活動をともにしたミュージシャン、レアンドロ・ピッチョーニ(Pf)、マッシモ・ダゴスティーノ(Dr)、ナンニ・チヴィテンガ(Ba)、ロッコ・ジファレッリ(Gt)のリズミカルな演奏や、ソプラノ歌手ヴィットリアーナ・デ・アミーチスの艶やかな歌声も、リハーサル会場に響き渡った。
アンドレア本人も「東京フィルとの共演が楽しみ」と言っていた通り、東京フィルの美しく迫力ある演奏を楽しんでいるようだった。
今まで映画館や家庭で聞いていた映画音楽が、オーケストラの生演奏で蘇る瞬間を目の当たりにした。
さらに、公演当日は、映画の名シーンの数々はもちろん、これまで世に出たことのないエンニオのバックステージの姿やインタビュー映像など、貴重な秘蔵映像も初公開される。
こんな贅沢な体験は他にはないだろう。
「エンニオ・モリコーネ『オフィシャル・コンサート・セレブレーション』」は11月5日(土)・6日(日)、に東京・東京国際フォーラム ホールAで開催。チケット好評発売中。詳細は公式サイトまで。
PHOTO:Masanori Naruse
各界からお寄せ頂いた追加のレコメンド・コメント
モリコーネの音楽との出会いは映画「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」を見た時。「ああ、いい曲だなあ」と思った。それからモリコーネの曲を探し出して聞くうち、大好きになった。「ニュー・シネマ・パラダイス」「マレーナ」なども、もちろん映画館で見て、曲はどれもいいと思ったよ。自分で「いいな」と感じた曲が、いい曲。そこに理由はない。今回のコンサートで演奏されるのは、いい曲ばっかり。「いいなあ、行きたいなあ、楽しみだなあ」と思わせるコンサートだね。
モリコーネ先生とはついにお会いすることは叶いませんでしたが、常に身近に感じてきた偉大な存在です。
『1900』のテーマはよく弾いてきましたし、数多くある先生の音楽はいつも愛聴してきました。
先生は万人が涙する音楽も書ければ、「アラビアンナイト」のような摩訶不思議な音楽も書けるという、
幅広く柔軟な能力をお持ちで、その意味でも稀有な存在です。
僕はこれからも先生の音楽を聴き続け、大きなインスピレーションを得るでしょう。
あなたがいてくださってありがとうございます。
何か作曲していると時々「ニュー・シネマ・パラダイス」のメロディが浮かんでくる。ハーモニーを構成していると「あ、此れワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカだ・・」と思う時がある。
それほどモリコーネ・メロディ、モリコーネ・サウンドは僕の体に沁み込んでいるのかもしれない。
思えば16歳の頃から聞いているモリコーネは間違いなく僕の映画音楽の一つの原点である。
映画とその音楽は、かのゴダールがソニマージュという、映像と音楽は等価であるという概念を出してから主従関係は解消され、現在に至る。しかし、モリコーネは別格。私は泣いたことがない系の人間も嗚咽必須の『ニュー・シネマ・パラダイス』も、人々に荒野の寂寥感とアウトローのカッコよさを叩き込んだ『荒野の用心棒』のギターと口笛もしかり。彼の音楽は実は映像を上回ってしまい、もはや映画全体の印象をモリコーネの音楽が乗っ取ってしまっている!!!
エンニオ・モリコーネは、映画好きだけでなく、全ての音楽好きの心の中で、特別な存在となっています。
彼のサウンド、楽器編成、テーマのアイディアは、何百人もの人々に語りかけてきました。それは、映画音楽作曲家としての才能ではなく、彼の天才的な音楽の才能が理由です。
彼の音楽を聞いて偉大な監督や俳優を思い出せないのであれば、それは彼の音楽を映画の筋書きやキャスト、さらにはストーリーを知らなくても、十分に楽しむことができるということを証明しています。モリコーネが真に偉大な作曲家であり、内気で控えめな性格すら、彼の作品と同じくらいアイコニックで記憶に残る存在であります。
彼のテーマの多くは、私の理想の音楽としてとても大切にしています。映画『続・夕陽のガンマン』の「コヨーテの遠吠え」、映画『ミッション』の壮大でシンフォニックな構成、映画『ラ・カリファ』の甘いメロディなど…皆さんと同じようにまだまだあります。
芸術の境界線が無くなった20世紀後半の最も記憶に残る音楽家の1人として、モリコーネの名は永遠に刻まれ、そして、自分のエネルギーを映画という媒体に捧げた男は、最近の歴史の中で、最も偉大なイタリアの作曲家として称賛されることでしょう。
イタリアが世界に誇る映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの世界初演となるトリビュート・コンサートにご出演される皆様に心よりお祝い申し上げます。世界15都市を回るワールド・ツアーに先駆けて開催されるワールド・プレミアの地としてここ日本の「東京国際フォーラム」が選ばれたということはイタリアの芸術と文化に対し日本の皆様がいかに関心を持ってくださっているかということを物語っています。