Chara Birthday Live 2020
2020年1月22日(水)LIQUIDROOM
Charaが1月22日(水)に恵比寿LIQUID ROOMにて開催したワンマンライブ「Chara Birthday Live 2020」は、過去・現在・未来が交錯したような不思議な空間となっていた。
生誕52周年を祝うパーティーのナビゲーターとなったのは、Charaの親友であるダンサーのYOSHI2。大きな火がついたロウソクのキャップを被った彼女のチャーミングなパフォーマンスに続いて幕が開くと、ピンクの大きなガウンを羽織ったCharaが登場した。お揃いのグレーのスーツを着たバンドメンバーは、まず、バンマスとして、昨年のフェスでタッグを組んだCRCK/LCKS(クラック・ラックス)の小西遼。彼は、この日はアルトサックスやフルートを吹いていたが、2月14日(金)リリースされるChara+YUKIのミニアルバム『echo』ではブラスアレンジも行っている。同じくCRCK/LCKSの越智俊介(Ba)、コラボシングルをリリースしたWONKの荒田洸(Dr)、松本ジュン(Key)、YUI(Cho)というメンバーに加え、YEN TOWN BANDでも共演している盟友の名越由貴夫(Gt)と竹本健一(Cho)という盟友も参加。この新旧入り混じったバンドメンバーが1991年9月発売のデビューシングル「Heaven」をインストで演奏すると、Charaは「今日は私たち、キャンプファイヤーの炎だよ。どんどん燃やしちゃうわ。今日は私のバースディライブだって。お祝いに来てくれたの? ありがとう」とあいさつ。「愛を身籠る準備はできてる?Charaを身籠る準備はできてる?身籠って帰って」と呼びかけ、“愛を身籠る”をテーマにした、2018年12月リリースのダンスアルバム『Baby Bump』の収録曲を立て続けにプレイ。フロアをホームパーティーのような愛の温もりを感じる親密なグルーブで満たし、オーディエンスの身体を揺らした。
1991年から一気に2018年へと進んだ時計の針は、ミリオンセールスを記録した不朽の愛のアルバム『Junior Sweet』が誕生した1997年へ。大沢伸一によるプロデュースが施された表題曲「Junior Sweet」はこの日はオリジナルのアレンジで演奏された。小西によるトーキングボックスとアルトサックス、そして、3声が重なったロマンチックなコーラス。オーディエンスが高く掲げた手を左右に揺らしながら、<浴びて〜>と歌うと、フロアはまるで1つの波になったかのようなうねりをあげた。そして、眩い光の中でシャウトするChara。その光景はとても尊いものだった。
そして、「すーちゃん(SUMIRE)がパパのお膝の上に乗って、1つ縛りにしてもらってる姿が美しいなと思った時に歌詞を書いたんだけど。離れていても同じ夕日を見ていて、同じお歌を口ずさんだりすることもあるという曲です」と解説した「レモンキャンディ」。フィンガーシンバルを持ち、5声による多重コーラスのイントロだけを披露した「しましまのバンビ」。名越のギターソロと小西のフルートが切ない風景を引き連れてきた「70%-夕暮れのうた」。そして、再び、『Junior Sweet』に収録された「タイムマシーン」と「ミルク」へ。「タイムマシーン」ではCharaのドキッとするようなウィスパーボイスとオーディエンスの大合唱が重なり、「ミルク」では逆に全員が声も出さずに聴き入ってしまっているような集中力を感じた。そして、「ぬくもりソングを歌いますね」と語ったあと、2019年にリリースした荒田とのコラボ曲「愛する時」ではグロッケンも披露した。
ここでバンドメンバーがステージを降りると、息子のHIMIがケーキを持って登場。Charaが「恋がしたい!」という願いを叫んで火を消すと、Charaのデビューのきっかけとなった「Violet Blue」を二人だけでパフォーマンス。Charaは「この曲を作ったときは歌い始めたばかりで。朝まで六本木でローラースケートのウェイトレスをしてバイトしてたんです。この歌詞に出てくるように、始発の電車に乗って帰るんだけど、途方に暮れてる日々があったんですね」と楽曲にまつわるエピソードを明かし、「母ちゃんね、19歳の時に作ったの。HIMIくん、この間、二十歳になって。いつの間にか大きくなっちゃった」と感慨深げな表情を見せた。アマチュアバンドでキーボードをしていたCharaは、19歳の時に初めての失恋がきっかけで曲を作るようになり、二十歳になって歌い始めた。この日の二人の演奏は、現在の普段の家の様子のようでもあり、六本木の駅の階段の踊り場でうなだれている19歳のCharaに20歳になったHIMIが手を差し伸べているようでもあり、とても不思議な感覚があったのだ。歌い終わったCharaはHIMIの楽曲リリースの宣伝をし、「親子共々よろしくお願いします」と語り、HIMIは母に「おめでとう」とハグをし、ステージを後にした。
バンドメンバーがステージに戻ると、「もうちょっとはしゃいでいい?」と呼びかけたCharaが歌い始めたのは、「HIMIのパパと恋をした時の曲なんだけど」と前置きした「あたしなんで抱きしめたいんだろう?」。竹本健一による「恋をした」などを含むソロ回しを経て、オーディエンスはジャンプし、クラップし、ダンスする大騒ぎとなり、クラシックとソウル、ロックが融合したような壮大なサウンドスケープを展開した「Tiny Tiny Tiny」(SUMIREさんがお腹にいたときにできた曲)、「永遠の愛や結婚をテーマにした」という「TROPHY」、すでに日本のスタンダードナンバーとなった1996年を代表する名曲「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」といったライブでお馴染みのナンバーを続けてオーディエンスを興奮させ、本編のラストナンバーとして、ディズニー映画の主題歌のような物語が思い浮かぶバラード「才能の杖」を届けた。2011年4月にリリースした13thアルバム『Dark Candy』からの1曲。ライブでもそれほど頻度の高くない楽曲を選んだ理由はわからないが、<見渡すバラードの向こう 来ちゃいなよ>というフレーズと神秘的な響きを感じたことだけは確かだ。
アンコールでは、Charaへのサプライズとして、ケーキの着ぐるみを着た木村カエラが登場した。Charaはカエラの最新アルバム「いちご」でローファイなニューウェーブ「曖昧me」とウォーミーなラブバラード「ミモザ」の2曲をコラボしている。Charaは驚きながらもカエラが手渡したミモザの花束を受け取り、ハグを交わし、「新しいChara。新しいカエラ。新しいあなた。これからもよろしくね」と語りかけ、二人で「やさしい気持ち」を歌い、フロアを熱狂させた。そして、最後に、音楽と笑顔と愛で共鳴した一夜を象徴するような「Sympathy」をパフォーマンスし、約2時間30分のバースディパーティーは幕を下ろした。
なお、20年ぶりに再タッグを組んだ Chara+YUKI では、1月31日(金)にシングル「楽しい蹴伸び」、2月14日(金)に8曲入りのミニアルバム『echo』をリリースし、4月にはZepp TokyoとZepp Osaka Baysideにて、Chara+YUKIとしては初となるライブ公演も決定している。
また、Charaは5月6日(水・振休)にキャリア初となる日比谷野外音楽堂でのワンマンライブ「Chara Live - SWEET SOUL SESSIONS at Sunset -」を開催する。かねてから親交のある韻シストバンドとホーンセクションを迎え、「愛」をテーマにしたスペシャルなライブとなるようだ。
SET LIST
01. 赤いリンゴ
02. Cat
03. Baby Bup
04. 愛のヘブン
05. Junior Sweet
06. レモンキャンディ
07. しましまのバンビ(intro)
08. 70%-夕暮れのうた
09. タイムマシーン
10. ミルク
11. 愛する時
12. Violet Blue
13. あたしなんで抱きしめたいんだろう?
14. Tiny Tiny Tiny
15. TROPHY
16. Swallowtail Butterfly~あいのうた~
17. 才能の杖
ENCORE
01. やさしい気持ち
02. Sympathy