SPARTA LOCALS 『TWO BEAT』
2017年12月23日(土) Shibuya WWW X
出演: SPARTA LOCALS / Analogfish
TEXT:兵庫慎司
PHOTO:西槇太一
昨年2016年に突如復活、2017年に本格的に始動したSPARTA LOCALSによる対バン企画『TWO BEAT』。招かれたのは、というか勝負を挑まれたのは、スパルタの古くからの盟友であり、HINTOともイベント『アナログヒント』を共催していたAnalogfish。
2017年は4月から9月までの半年間ライブ活動を休止、楽曲制作に専念したAnalogfish。10月10日 Shibuya WWWワンマンにて、サポート・ギターにリョウ・ハマモトが加わった4人で再始動、これまでと大きく変わったサウンドスケープの音で集まったファンを驚かせたが、本日もその編成。
クリックが響き、下岡晃・佐々木健太郎・斉藤州一郎の3人のアカペラで「♪今日も大変だった──」と始まる新曲「Copy&Paste」で、WWW Xを、今のAnalogfish独特の空気にさっと塗り替えてスタートする。
健太郎が歌う「Reday Steady Go」、晃が歌う「はなさない」、健太郎の「Baby Soda Pop」「Good bye Girlfriend」、晃が歌う新曲「静物/STILL LIFE」、健太郎ボーカルの初期曲「LOW」、晃ボーカルのシュールな「平行」──と、曲間に晃が「俺たちの新しい仲間、リョウ・ハマモト!」と紹介した以外は、ノーMCでライブが進んでいく。
オーディエンス、曲終わりでドーッと拍手を送る時以外は、「固唾を飲んで」という形容そのままの感じでじいっと聴き入っていたが、シンプルで明るいビートの8曲目「There She Goes(La La La)」が始まると、曲に合わせてハンドクラップが起こる。続いて最新の代表曲であるマスターピース「No Rain(No Rainbow)」でWWW Xを深い感動で満たし、初期の代表曲であるドープな「出かけた」で、4人はライブをしめくくった。なお、「出かけた」を歌う前に、下岡晃、「SPARTA LOCALSについては、みんなとおんなじ気持ちだから、特に言うことはない!」とひとこと。
そしてSPARTA LOCALS。照明が落ち、SEが響く中4人がでて来て持ち場につき、ドラム中山昭仁が「ツービート!SPARTA LOCALS、始めます!押忍!」と叫び、「POGO」でスタート。ゆらゆらと揺れ始めたオーディエンス、次の「THE CLUB」で一斉にポゴ・ダンスを始める。対バンがAnalogfishだからか、それとも復活後の特徴なのか、解散前に比べて男性ファンが増えた気がする。と思いながら観ていたら、3曲目「黄金WAVE」で起きたシンガロングでも、野太い男の声が目立っていて「やはり」と感じる。復活してから1年経っているのに、とにかくお客の熱狂度が高い。
そのまま「名なしの犬公」「ギャラクシー空港」「レインボープール」「森のメロディ」と7曲駆け抜けてから、ようやく最初のMC。中山昭仁が「アナログ最高!」という言葉から話し始めるも、途中で安部コウセイ、「そんな定型的なMCじゃなくて、昭ちゃんが思ってることを言ってよ」とまぜっ返す。
「I LOVE YOU」「GET UP!」と曲を重ねるごとにバンドのギアが上がっていき、安部光広のベース・イントロに乗せてのオーディエンスの絶叫カウント「1,2,3,4!」で始まった「ピース」でほぼピークに達する。そして、昔も今ももっともファンを熱狂させる代表曲「ばかやろう」で爆発、本編終了。
まっすぐスムーズに行くのではなく、けつまずいたり前につんのめったりする感覚で進んでいくビート。快楽と同時に不穏さやヒリヒリ感を常に放ち続ける2本のギター。音が鳴っている瞬間と同じくらい、鳴っていない瞬間も重要な、全体のサウンド・プロダクト。メロディに乗せて歌われることと同じくらい、歌われていないことの存在を感じさせる安部コウセイの歌詞の世界。
デビューの時期などを考えると、「ダンス・ミュージックとしてのギター・ロック」を日本の根付かせた先駆者のひとつがSPARTA LOCALSであることはあきらかだが、彼ら以降に世に出た数多のバンドたちのような、直球なスタイルのそれではない。もっといびつで不思議なフォルムを持っている。
で、それ、「そうしようとしている」のではなくて「そうなってしまう」のだと思う。つまり、どうしようもなくオリジナルだと思う。だから他にとっかえが効かないし、とっかえが効かないからこそ、こうして復活が熱狂的に迎えられているのだと思う。ということをつくづく実感させる、嵐のようなステージだった。
「ありがとう、もう少しやります」という安部コウセイの言葉から披露されたアンコールは、「トーキョウバレリーナ」「ウララ」の2曲。「ウララ」をハンドクラップに包まれて歌いきった安部コウセイは、次回の『TWO BEAT』開催をオーディエンスに伝えてから、笑顔でステージを下りた。
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