デビュー5周年企画アコースティック・ライブ“運命前夜”で際立ったハルカトミユキの音世界

ライブレポート | 2016.12.30 19:30

 +5th ANNIVERSARY ACOUSTIC SERIES One-man Live『運命前夜』
2016年12月28日(木)代官山LOOP
TEXT/濱安紹子

年の瀬を迎えた寒空の下、代官山LOOPの前には長い列ができていた。12月28日、デビュー5周年を迎えたハルカトミユキが「運命前夜」と題したワンマンライブを開催。メジャーデビュー以前に発表された楽曲や、彼女たちが学生時代に作った未発表曲などを携えて行う、貴重なアコースティック・ライブだ。

チケットはソールドアウト。満席になった会場に颯爽と現れたハルカとミユキは短い挨拶の後に、結成当初に作ったという2曲を披露。「アパート」と、「月曜が嫌じゃない大人になりたかった」と言い放ち歌った「MONDAY」である。どちらもインディーズ時代の楽曲で、デビュー作となったEPに収録された曲だ。グランドピアノ(一部アナログシンセも併用)にギターという、ミニマムな演奏スタイルであるがゆえに、音に乗せられた言葉が耳にうまく入ってくる。バックバンドを従えてのパフォーマンスと違って華やかさはないけれど、デュオとして彼女たちが持つ素材の魅力と文藝少女・ハルカが紡ぐ詩の世界を堪能するには、ちょうどいい塩梅なのかもしれない。

その後も、未発表音源やインディーズ時代の楽曲が続く。「昔の曲やってて思ったんだけど、本当に暗い曲ばっかり。(それに比べると)5年間のうちに少しは明るくなってきたんだなーって実感」「とは言え今もそんなに明るい曲とは言えない(笑)。まあ、元々暗いのが好きだからしょうがないんだけど」と笑って話すハルカとミユキ。たしかに、彼らの作品には分かりやすく明るい曲はあまり見受けられない。特にこの日は、内省的な詩と、そこはかとなく漂うノスタルジックな魅力こそが、アコースティックの編成に彩られ、より際立っていた。

エレキギターに持ち替えたハルカは、そのまま「ドライアイス」「ニュートンの林檎」のアコースティック・バージョンを披露。エレキのハードなサウンドに、ミユキの紡ぐエモーショナルな音とコーラスが奥行きと厚みを与えながら、会場に熱を広げていく。「(アコースティックは)バンドでやるのとは全然違う緊張感と疲労感」と漏らしたハルカの言葉通り、終始会場にはピンとした心地の良い緊張感みたいなものが漂う。アーティストだけではなく、オーディエンスの集中力もものすごい。聞き漏らすことのないように、じっくりと噛みしめるように耳を傾けているのが見て取れる。アカペラに始まる静かな曲も、時にハードにギターを掻き鳴らせながら歌う曲もそう、ドラマティックな旋律の間と抜けるような透き通った歌声、その合間に見え隠れする美しくも衝撃的な言葉を、観客は一片たりとも聴き逃したくないのだろう。

しかし、キャラクターの異なるハルカとミユキのやり取りも実は面白い。おそらく事前の打ち合わせなしであろう2人の少々噛み合わない(?)MCは、その場の緊張感を解し笑いを誘う。まろやかさを醸すための隠し味のような、このユルい掛け合いがファンの心をくすぐるのだ。「初めて私たちのライブを観に来た人は?」というミユキの質問に対して、手を挙げた観客はほとんどいなかったように見えたので、おそらく今回はライブ常連客が会場を占めていたのだろう。聴きどころと楽しみ方を心得ている、そんなファンがきっとたくさんいたに違いない。

そして、この日は初披露のカバー曲も演奏された。80年代ポップスが好きなミユキは、つい最近亡くなったジョージ・マイケルを話題に挙げ、突然「ラスト・クリスマス」のフレーズを引き出す。しかし「まさかのワム! カバー?」という予想は裏切られ、披露されたのは別の楽曲だった。彼女たちが大学時代大好きだったという偉大なシンガーソングライターの名曲。おそらく別の会場でサプライズ披露されるのでここでは伏せておくが、是非会場で堪能してほしい。彼女たちの雰囲気に恐ろしいほどマッチした秀逸なカバーだ。そのほかにも、デビュー曲であり彼女たちの代表曲のひとつである「Vanilla」や、インディーズ時代の曲ではないけど中々ライブではやらない曲だという「ナイフ」を含め、本編では全13曲を披露した後、アンコールに応えて再登場。「最後に少しだけ楽しい曲をやります」と言って、最新アルバムから「光れ」を演奏し幕を閉じた。

音が鳴り止み2人が去った後には、年末の慌ただしさにはおよそ似つかわしくないような爽涼感を味わうことができた。お気に入りの小説を読み終えたようなあの感じだ。今年47都道府県を廻るツアーを敢行したハルカトミユキにとって、この日が年内のライブ納め。現在は、2月に行われる赤坂BLITZライブのセットリストを鋭意考案中だと言う。デビュー5周年のアニバーサリー・ツアーとして開催される同ライブでは、フルバンドでの演奏が堪能できる模様。おそらくその場では、今日見たものとは異なる肌触りと世界観、そして熱感を味わうことができるはずだ。

HARUKATOMIYUKI +5th ANNIVERSARY TOUR 2017

2017年2月16日(木) 東京 池袋LiveHouse MANHOLE
開場 18:30 / 開演 19:00
お問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888

2017年2月18日(土) 名古屋 SPADE BOX
開場 17:30 / 開演 18:00
お問い合わせ:サンデーフォークプロモーション 052-320-9100

2017年2月19日(日) 大阪 心斎橋BIGCAT
開場 16:30 / 開演 17:00
お問い合わせ:清水音泉 06-6357-3666

2017年2月25日(土) 東京 赤坂BLITZ
開場 17:15 / 開演 18:00
お問い合わせ:DISK GARAGE 050-5533-0888

オフィシャルサイト3次先行[先着]

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先着受付期間:2016年12月9日(金)18:00〜2017年1月4日(水)23:59
※どなたでもお申し込みいただけます
※池袋以外の、名古屋・大阪・赤坂公演の受付です
※先着ですので、規定枚数に達し次第終了となります

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