センチミリメンタル、教会で響かせたピアノとカルテットの穏やかな調べ。代表曲とともに生み出す奇跡の一夜

ライブレポート | 2026.09.02 21:00

センチミリメンタル プレミアムライブ「聴す -ゆるす-」
2026年9月1日(火)キリスト品川教会 グローリア・チャペル

8月29日に韓国でワールドツアーを完走したばかりのセンチミリメンタルが、9月1日に『センチミリメンタル プレミアムライブ「聴す -ゆるす-」』を開催した。東京・キリスト品川教会を会場に、温詞の歌とピアノに、ストリングスのカルテットが加わった特別なステージ。センチミリメンタルの代名詞であるアニメ『ギヴン』シリーズの楽曲を中心に、自身のルーツを感じさせる楽曲も披露され、ハンカチ必須、号泣不可避な、奇跡の一夜となった。

バックに掲げられた大きな十字架。どこまでも伸びる高い天井。そして一台のグランドピアノを取り囲むように、ステージを埋め尽くした無数のキャンドル。厳かな空間に弦楽四重奏の調べに乗せて温詞が登場すると、大きな拍手が会場を包み込んだ。

スッと息を吸い、優しく穏やかに歌い始めたのは『映画 ギヴン 海へ』主題歌「結言」。柔らかなタッチのピアノに、寄り添うように交じり合うストリングス。楽曲が進むと、願いよ天に届け!とばかり、思いの丈を込めてアツく激しく、フェイクを聴かせた温詞。ピアノとストリングスのブリッジを挟み、『映画 ギヴン 海へ』劇中歌として劇中バンドsyhが歌った楽曲のセルフカバー「海へ」と続くと、〈ねぇ、この生命で〉と呼びかけるように歌い上げる。その声は天井高くまで伸び、そこから会場全体へと降り注ぐように広がった。

この日のライブは、温詞の歌とピアノに、楽曲によってバイオリン×2、ビオラ、チェロのカルテットが参加。もともとストリングスの音色が好きで、いつもストリングスアレンジをイメージして楽曲制作を行っているという温詞。また、ストリングスを迎えてライブをすることは夢で、「叶った日に立ち会ってくれてありがとう」と言って、表情にうれしさをにじませる場面もあった。

教会という空間に似合うように、特別なセットリストが組まれ、ピアノのイントロやブリッジが加えられるなど、この日限定のアレンジや演出で観客を楽しませた。インディーズ時代の代表曲「死んでしまいたい、」もその一つ。リズムに合わせて体を大きく揺らしながら演奏した温詞。無垢でストレートな歌詞が際立ち、言葉の一つひとつが胸に刺さり、客席のあちこちから観客のすすり泣く声も聞こえてきた。

高校生のときに書いたという「永遠」では、相手に対する気持ちを〈どうして どうして〉と繰り返すところが今のセンチミリメンタルにも通じ、当時からセンチミリメンタル節が完成していたことがうかがえた。訴えかけるような言葉と親しみ感あふれるメロディ。シンプルゆえに根底にある思いが浮き彫りになり、歌い終えると、高校生の頃の温詞の純粋さに大きな拍手が贈られた。

ライブ終盤はアニメ『ギヴン』関連曲で一つの世界観を作り上げ、原曲とは異なったドラマチックさで観客を魅了した。TVアニメ『ギヴン』エンディング・テーマ「まるつけ」は、最初はピアノと歌だけではじまり、途中から徐々にカルテットが重なる構成。劇中バンド“ギヴン”への提供曲「うらがわの存在」のセルフカバーは、ピアノと歌のみで披露され、言葉をポツポツと置いていくような歌い回しや、胸をキュッと締め付けるサビ前の溜めが印象的。そして『映画 ギヴン』劇中歌「夜が明ける」は、冒頭をアカペラで歌唱。ファルセットを交えながら力強い歌声を響かせ、孤独な夜を乗り越えた先に訪れる明日という希望を感じさせた。

MCでは「僕にとって音楽を作ることはゆるしだった」と、ライブタイトルの『聴す -ゆるす-』になぞらえて語った。「クラシックは譜面通りに演奏するものだけど、僕にはそれができなかった。決められたことをそのままやるのが苦手な僕を、ゆるし、肯定してくれたのがこの音楽。このまま音楽を続けていいんだと思った。だから今、音楽を作って歌っている」。また、「皆さんが、自分のことがゆるせなかったり、相手に対してゆるせないと思うことがあっても、少しだけ僕の音楽を胸にとどめて、ゆるせる日が来てもいいんじゃないか」と、ファンにメッセージを届ける場面もあった。

本編ラストには、エモーショナルなロングトーンを交えて「リリィ」を披露。〈君は大丈夫だ〉と歌う歌詞。優しくて温かく、そして力強く響くボーカル。温詞の歌声が、生きることを強く押してくれた気がした。そしてアンコールでは「星が降る」を、再びカルテットとともに披露。教会というシチュエーションにもぴったりのロマンチックさで、12月にまたこの場所で聴きたいと思わせるほど100%のマッチングだった。

悲しみ、苦しみ、喜び、人間の感情の奥底にある機微を、ストレートな言葉でドラマチックに歌い上げて来たセンチミリメンタル。ライブのタイトル「聴す」には、「相手の願いや要求を聞き入れること」や「心を開いて相手の話をしっかり聴く」などの意味があるそう。観客は、センチミリメンタルの歌詞の言葉一つひとつを自分に重ねながら真摯に受け止め、そんな観客の拍手を真っ直ぐ受け止め、時折笑顔を見せながら楽しそうにステージを展開した温詞。時が止まったかのような静寂さに包まれた会場において、温詞の歌声だけが、どこまでも自由であることがゆるされたこのライブは、『ギヴン』の真冬や立夏たちの想いが浄化されていくような、まさしく“尊い”という言葉が相応しいライブだった。

センチミリメンタルは、9月11日に千葉・柏PALOOZAで『センチミリメンタル Concept Live “Dessin”』を開催するほか、10月から東京・Kanadevia Hallを含む全6公演の全国ツアー『センチミリメンタル LIVE TOUR 2026』を行う。アジアや中南米でも人気のセンチミリメンタル。特別な内容だったこの夜とは一転、バンドサウンドで切なさを吹き飛ばすような、センチミリメンタル本来の魅力にあふれたライブにもぜひ触れてほしい。

SET LIST

1. 結言[カルテットあり]
2. 海へ[カルテットあり]
3. 対落
4. 死んでしまいたい、
5. nag
6. 永遠
7. とって
8. まるつけ[カルテットあり]
9. うらがわの存在
10. 夜が明ける
11. 光の中から伝えたいこと
12. リリィ[カルテットあり]

ENCORE
1. 星が降る[カルテットあり]

公演情報

DISK GARAGE公演

センチミリメンタル Concept Live “Dessin”

2026年9月11日(金)柏PALOOZA

Concept Live “Dessin”とは。

温詞が毎回異なるコンセプトのもと独自で内容を考えパフォーマンスを行うライブ。

1回目は「リクエストライブ」と題してファンのみなさまからセンチミリメンタルの好きな曲を募りベスト10形式で披露するコンセプトになっている。

≫チケットの詳細はこちら

 

自身初となるホールツアー 「センチミリメンタル LIVE TOUR 2026」

2026年10月2日(金)大阪・NHK大阪ホール
2026年10月4日(日)福岡・SAWARAPIA 大ホール
2026年10月11日(日)宮城・電力ホール
2026年10月18日(日)愛知・Niterra日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
2026年10月25日(日)広島・広島JMSアステールプラザ中ホール
2026年11月20日(金)東京・Kanadevia Hall

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  • 榑林 史章

    取材・文

    榑林 史章

  • 山川哲矢

    撮影

    山川哲矢

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