ビッケブランカ2025年のツアーは新機軸だらけ、刺激だらけ!北米編→国内編の国内編1本目を観た

ライブレポート | 2025.06.23 21:00

VK Blanka North America & Japan Tour 2025
2025年6月14日(土)昭和女子大学人見記念講堂

2025年6月14日(土)、東京・昭和女子大学人見記念講堂から『VK Blanka North America & Japan Tour 2025』の日本編が始まった。5月11日から27日まで、北米=カナダ・アメリカ・メキシコを回り、この6月14日から8月30日まで、国内7本のホール・ツアーを行う、その国内の1本目である。

なので、こういうライブレポで、1本目からネタバレ的なことを書くのは、ちょっとどうなのか。という話に普通はなるが、今回は、特別だったり特殊だったりする素敵な事情がいくつもあるライブなので、以下、「これは書いていいだろう」と判断したことのみ、書いていきます。

どの曲でどんなふうに始まったのか、等の具体的なことは書きませんが、とにかくもう自分は何にも知りたくないんだ、という方は、ここで読むのをやめていただければと思います。

まず今回は、前半は北米の3ヵ国はひとりで回り、後半は国内をバンド編成で回る。という、ビッケブランカ的にはいつもの形のツアーだが、その国内編が始まる9日前に、「North America & Japan Tour 2025 予習プレイリスト」が、Spotifyで公開になった。

Spotify Playlist

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×L×C×A×
ファビュラス
Natural Woman
蒼天のバンパイア
Bitter
Old Rivals [A Self-Cover of “Rivals!”]
アイライキュー
Ca Va?
ウララ

という9曲である。
ただし、この順番に演奏されるわけではないし、もちろんこれがライブの全曲でもない。これがだいたい全体の半分くらいで、9曲それぞれが「ここか!」と言いたくなる効果的なポイントで演奏された。イントロが鳴るたびに客席が「おおっ!」とどよめいたり、「キャー!」と歓声が上がったりする。

他の半分の曲目に関しては、触らないでおきますが、6月4日にリリースされたデジタル・シングル「×L×C×A×」のカップリング曲であり、2025年1月からダイダン株式会社のCM曲としてオンエアされている「伝言」が披露されたことは、書いていいだろう。そりゃあやるだろうし。この曲もまた、非常によき流れの中のよきタイミングで歌われ、大きな拍手を浴びた。

そして。今回のビッケブランカの国内ツアー、これまでと違う、新しいトライアルだらけであることが、観てわかった。以下、3項目ほど、箇条書きにします。

■バンド編成。ギター・ベース・ドラム・キーボード・コーラス&キーボード・ストリングス2人・そして本人、という8人編成が、ここ数年のビッケブランカの国内ツアーのデフォルトだったが、今回、ギター・ドラム・キーボードの3人しかいない。本人を入れて4人。前回までの半分だ。自分が初めて観た、メジャーデビュー作品のツアーの時 (2017年1月20日、Shibuya WWW。レポはこちら≫ ビッケブランカ「勝利のストーリー」が本格スタート! )よりも、少ない状態である。

■というわけで、ベーシストはいない。ベースの音は、基本、バック・トラックで出していたが、本人がベースを弾く曲もあった。間奏でスラップしまくりでソロをキメたりもする。ちなみに、ギターを弾く時は、それまで右利きだったのが2021年の頭から突然左利きになったが(その話をしている当時のインタビューはこちら≫ ビッケブランカが新しい扉を開いた新曲「ポニーテイル」をリリース!初のホール・ツアーを開催!)、ベースを弾くときは右利きである。後で本人に確認したところ、「ベースとアコースティック・ギターは右利き、エレキギターは左利きなんです」。さっぱりわかりません。ほかにいないので、そんな人。

■ビッケブランカ、今回初めてヘッドセット・マイクを導入。側頭部に固定されていて、手ぶらで歌えるあれです。最初はその状態で登場、数曲歌ってから、最初のMCに入ったが、何かブツブツ言ったあと、「……そうか、こういうひとりごとも、この形のマイクだと拾ってしまうわけか」と言ったり、「(このマイクで)やってみて思ったけど、手持ちぶさた! 片手をどうしていいかわからない」と、オーディエンスに訴えたりする。「新しいチャレンジをいろいろしたいと思って」、ヘッドセット・マイクにも挑んだ、とのこと。

■なお、ずっとヘッドセットマイクなわけではなくて、スタンドマイクで歌う曲も、ハンドマイクの曲もあり。鍵盤を弾きながら歌う曲や、パッドを叩きまくりながら歌う曲では、当然、ブーム式のマイクスタンドを使う。そう、今回、パッドを叩きまくりながら歌う曲が随所にあって……いや、前のツアーにもあったが、今回その比重が増えていて、サウンドの面でも、見た目においても、ライブ全体の中の効果的なポイントになっていた。エレクトリック・パーカッションとして、パッドを叩くだけでなく、いわゆる鉄琴の役割にして、曲の軸になるリフを叩いて奏でたりもして。
彼に続いてメンバー全員が打楽器になり、4人で一斉に叩きまくる、そのさまにオーディエンスが死ぬほど盛り上がる、という瞬間もあった。

それから……もうこのぐらいでやめといた方がいいか、さすがに。まだ観ていない人が大半なんだから。

とにかく。これは、ライブにおいて、だけではなく、曲を出すたびにジャンルや方向性がどんどん変わる、ビッケブランカの音楽そのものについても言えることだが──そもそも、アーティストが、何かをそれまでと変える時の理由は、普通、ふたつのうちのどっちかである。ひとつは、自分が飽きたから。もうひとつは、ウケなくなったから。
大きく言うとそのどちらかのはずだが、ビッケブランカは違う。自分が飽きるほどやっていなくても、オーディエンスにウケていても、どんどん変える。
今変えるの、リスキーじゃない? せっかくウケてるんだから、そのままやった方がいいんじゃない? と思ったことも過去あったが、ある時期から「この人はこれでいいんだな、これがいいんだな」と、考えが変わった。なんで。とてつもなくスリリングなので、そんなビッケブランカを追い続けることが。
今回もまさにそういうツアーである……というレベルではなくて、普段からそうであるビッケブランカが、ここ数年のうちの最大レベルでそれをやっているツアーである。と言った方が、正確だと思う。
これから観る方、ぜひお楽しみに。

公演情報

DISK GARAGE公演

VK Blanka North America & Japan Tour 2025

2025年6月14日(土)昭和女子大学人見記念講堂
2025年6月24日(火)Niterra 日本特殊陶業市民会館フォレストホール
2025年6月27日(金)札幌市教育文化会館 大ホール
2025年7月6日(日)福岡国際会議場メインホール
2025年7月20日(日)若林区文化センター
2025年8月24日(日)金沢市文化ホール
2025年8月30日(土)フェスティバルホール

  • 兵庫慎司

    取材・文

    兵庫慎司

    • ツイッター
  • 撮影

    Kenta Hoshino

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