HIKKA、新曲「My friend」リリースパーティを開催。My friend&New friendと作り上げたあたたかな空間をレポート

ライブレポート | 2025.02.10 19:00

My friend, New friend – HIKKA “My friend” release party -
2025年1月30日(木)shibuya eggman
出演:HIKKA、YAS/U、小林柊矢、つじりお

シンガー・HIKKAが1/30(木)に東京・shibuya eggmanにて、ライブイベント「My friend, New friend – HIKKA “My friend” release party -」を開催した。本ライブは前日に配信リリースされた新曲「My friend」の発売を記念したもので、“友達作り”をテーマに同世代のシンガーソングライター/ヴォーカリストであるYAS/U、小林柊矢、つじりおの3組をゲストとして迎えて行われた。

トップバッターを務めたのは滋賀県出身のシンガーソングライター、つじりお。7人組アイドルグループ・Fragrant Drive(フラグラントドライブ)のメンバーとしても活動している彼女だが、自身で作詞作曲した「Smoothie」をアコギの弾き語りスタイルで歌う、その声は、華奢な体型からは想像もつかないほど低音が効いていて、現状を打ち破っていく力強さも湛えていた。さらに、「砂時計」では指弾きからピック弾きに変えることでサウンドの強弱をつけ、「優(ゆう)」では妖艶なモードを醸し出すなど、多彩な表現力を展開。2025年1月の1ヶ月だけで11本のライブイベントに出演してきたという地力を見せると、MCでは一転して、キュートでチャーミングな声で「上京3年目。滋賀で凱旋ライブをすることが夢です」と語り、「HIKKAさんは友達作りにきましたって言ってたけど、私も友達いないので、友達になってください」と笑顔でアピール。歌声と話し声のギャップに驚かされたが、最後の「花束」では時折、柔らかな表情を見せながら、晴れやかなファルセットも駆使し、場内をハッピーで温かいムードで包んでいた。

続く、YAS/U(ヤス)はHIKKAと同じく宮崎県出身のヴォーカリスト。R&Bバラード「SEMI DOUBLE LOVE」を歌い始めると、エモーショナルな歌声で観客を一気に楽曲の世界観へと引き込んでいった。セミダブルからシングルベッドになった部屋の風景や去っていった相手の存在、主人公の揺れ動く心の機微を鮮明に浮かび上がらせ、まるで恋愛ドラマを見ているような錯覚を覚えさせる。アップテンポのシンセポップ「DOLL」で観客の手拍子を誘発して盛り上げた彼は、「僕も宮崎出身で同年代、素敵なご縁ですね」と挨拶。HIKKAが生まれ育った都城市と、自身の出身地である日向市のイントネーションの違いを話して雰囲気を和ませると、「また会えますようにという願いを込めて歌います」という言葉の後に、別れた後に気づく大切さを綴った「2度目惚れ」をドラマチックに熱唱。MCでは、「(歌の)化け物みたいな歌を歌うので、HIKKAさん、絶対にきますよ」と太鼓判を押し、「7〜8年前、18歳で上京した時の自分に対する手紙のように書いた」という「ネバー」へ。ラップのようなフロウやオートチューンも盛り込んだメロウなR&Bで迷いや葛藤、悔しさや寂しさの中でも決して諦めない歌への思いを提示すると共に、「辛い時、苦しい時、心のどこかで“僕たち”の音楽がありますように」というメッセージを届けた。“僕”ではなく、イベント出演者を含めた“僕たち”という何気ない一言に彼の人柄の良さを感じた。

神奈川県相模原市出身の小林柊矢(こばやし・とうや)は現在、24歳のシンガーソングライター。「レンズ」を歌い出した途端にギターのチューニングが合ってないというトラブルに見舞われながらも、未練たっぷりの失恋から新たな出会いの訪れを丁寧に綴り、ABEMAの恋愛番組『私の年下王子さま 100人の王子編』の挿入歌に抜擢された「君のいない初めての冬」ではこの季節にぴったりの風景感と共に、断ちがたい相手への思いを切々と歌唱。そして、「高校生の頃に書いた曲」だという「僕が君の前から消えた時」ではアコギのアルペジオで語りかけるように歌い始め、やがて荒々しいストロークとともに切実さが増加。“君”が去ってしまった喪失感に苛なまれる“僕”のどうしようもない寂しさや悲しさを歌った楽曲を3曲続けた彼は、自身のステージの最後に東洋建設テレビCM「どこまで愛せるか」篇のテーマソング「ハイライト」をチョイス。大人になる直前の思春期特有の情熱にせっつかれるような疾走感あふれるアンセムで場内をたちまち“青”に染め上げてステージを後にした。

イベントのトリを務めたHIKKAはギタリストを従えたデュオ編成で登場。HIKKAはキーボードを弾きながら、<♪My friend, New friend〜今日はありがとう>と語りかけるようなアドリブ演奏でライブをスタートさせ、そのままシームレスで「朝が来るから」へ。本当の自分が分からなくなるほど悩んだとしても、<朝が来るから/それでいい>と聞き手の心にそっと寄り添うような歌声を響かせた彼女は、恋に落ちた瞬間を描いた「Merry Go Round」ではアコギと歌だけで豊かなグルーヴを生み出しながら、ラララのハミングでは独特の南国の風を吹かせると、マイケル・ジャクソン「Love Never Felt So Good」のカバーでは身体全体を使って歌う彼女のパフォーマンスによって観客のテンションが上がり、自然とクラップが湧き上がった。

最初のMCでは、「先週、地元・宮崎の友達=”My friend”の結婚式で歌を歌ってきました。いい結婚式だった」と明かし、「世に出してない曲を」という言葉から90’s R&B「Taboo」とブギーファンク「Change」とクールでスタイリッシュなトラックの楽曲を2曲続けて披露。そして、この日のステージで最も心に残ったのは、3rdシングルとして昨年7月に配信リリースし、昨年11月にリリースされた1st CDに収録のバラード「あなたのそばに」だった。「高校生の時からの友人への思いから生まれた曲です。普段は愚痴も弱音も吐かない、強く生きている友達が初めて自分に対して弱い部分を曝け出してくれた時に、近すぎるが故に言えなかった、その子に対する思いを形にした曲です」と語った彼女の言葉は、目を瞑って胸に手をあて、いつかのあの日を思い出すように歌った<今はただ/何も言わずにそばにいる>という心象風景を経て、<けしてあなたはひとりじゃない/ずっと私がそばにいる>というフレーズにたどり着く。自身のリアルな感情を刻み込んだ楽曲の歌い出しから歌声に強張った心と体を解き放してくれる癒しの効果があり、思わず涙も誘われるような圧巻のステージングだった。

ラララという言葉のないハミングのパートに押しては返す波の動きを感じた「波」を歌い終えた彼女は、改めてこの日、新曲がリリースされたことを報告すると、場内からは温かい拍手が送られた。この日を振り返り、「先ほどからライブを見させていただいてたんですけど、ステージはもちろん、心もあったかい人たちで私は幸せです」と感謝を伝え、「大切な友達との別れをテーマにした曲なんですけど、私は上京して2年になるんですね。この2年の間に、自分が想像以上にいろんなことがあって。自分の弱さに向き合わざるをえない時間だったと思うんですけど、どんな時でも周りを見渡せば、支えてくれる友達がいた。上京する前は漠然とした大きな不安を抱えていましたし、この曲は大切な人との別れだけではなくて、あの頃の自分自身にも歌ってる曲だなと思います」と語り、「My friend」を初披露。大きく手を広げ、お客さん一人一人を真っ直ぐに見つめながら歌うと、最後は都会の夜のドライブに合うメロウなアーバンR&B「Drive」で<終わらない旅に出よう>と宣言。車の中で歌った洋楽カバー動画で注目を集めたシンガーである彼女が2022年6月にYouTubeにアップした初のオリジナル楽曲「朝が来るから」から始まったステージは、2023年4月に上京し、2024年5月にリリースしたデビュー曲「Drive」で締め括られた。これまでの道のりを振り返りながらも、今、ここにいるという現在地が明確に示されたリリースイベントとなった。デビュー2年目を迎える彼女の今後の飛躍に大いに期待したい。

SET LIST ※出演順

つじりお
01. Smoothie
02. 砂時計
03. 優
04. 花束

YAS/U
01. SEMI DOUBLE LOVE
02. DOLL
03. 2度目惚れ
04.ネバー

小林柊矢
01. レンズ
02. 君のいない初めての冬
03. 僕が君の前から消えた時
04. ハイライト

HIKKA
01. 朝が来るから
02. Merry Go Round
03. Love Never Felt So Good(マイケル・ジャクソン カバー)
04. Taboo
05. Change
06. あなたのそばに
07. 波
08. My friend
09. Drive

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