<10月8日(日) DAY2をレポート>
グッズを販売するエリアには、公式キャラクターのDJ米三郎が入ったマフラータオルや、出演アーティストのロゴが背中に入ったTシャツなどがラインアップ。「米」にちなみ、新潟で生産された非食用の米を原料に、南魚沼市の企業が国産バイオマスプラスチックを活用し制作した箸とスプーンも販売されていた。ほか会場には、海も山もある長岡への移住・定住を考えている人に向けたブースも設置し、就業や子育てのしやすさなどを職員が伝えていた。
NGT48
開演時刻の11時を迎えた会場に、「地元密着・地域貢献」を活動テーマのひとつに掲げるNGT48が登場すると集まったファンが大歓声で出迎えた。「世界はどこまで青空なのか?」、生まれた街に思いを重ねる初期の「Maxとき315号」など名曲を続けて披露した。アイドルならではの愛らしい姿から一転、イントロでサークルを作って回転するパフォーマンスがあった「自然渋滞」では、肩を揺らす激しいダンスで揺れ動く感情を表現していた。「僕はもう少年ではなくなった」の歌唱前には歌詞にある「しだれ柳」について、「(長岡花火の)三尺玉をイメージしている切なくて素敵な歌詞を注目して」と呼びかけ。ファンは成長していく中での変化や、戸惑いなどを綴った歌詞に耳を傾けていた。終盤には6枚目のシングル「Awesome」に収録されているB2新潟アルビレックスBBの応援ソング「踵を鳴らせ!」を軽やかなステップと共に熱唱。全8曲を完走したメンバーは横一列に整列すると「ありがとうございました! 以上NGT48でした」と一礼。声援に向かって手を振り、ステージを後にした。
BEYOOOOONDS
正午から始まったBEYOOOOONDSのライブは、野菜をテーマにした「ビタミンME」で幕開け。刺激的な香辛料と恋愛をなぞらえた「激辛LOVE」と続けた。最初のMCでは、小林萌花を筆頭に「ライブ前に欠かせない食べ物は、お米です」など、「米」に関連した自己紹介を展開。清野桃々姫は「ライブ前におにぎりを握っていただいたんですけど。ビックニュース!それで運気が上がったのか、大好きな島田昌典さんにごあいさつできました」と笑顔を爆発させた。好きなおにぎりの具材、お気に入りのお米のお供などを明かす中で、岡村美波は「今日は頭に2つおにぎりを乗せてきたので、おにぎりパワーで頑張ります!」とお団子頭にしたヘアスタイルを触りながらコメント。両脇にいた前田こころと、里吉うたのは両手で「ハート」を作り、機転が利いたあいさつをほめていた。歌唱中にセリフがあったり、小道具を使うなど演劇のような展開が楽しいBEYOOOOONDSのステージ。高瀬くるみは「今日は、食べ物に関する楽曲たちを中心にみなさんに聴いていただきたい」と米フェスならではの選曲をしてきたことを報告。ハムカツを手に持ってかじるひと幕で始まったコミカルな「ハムカツ黙示録」、ご飯派とパン派が対峙する「Never Never know~コメ派とパン派のラブウォーズ~」とキラーチューンを畳み掛け、会場を熱狂させた。
琴音
3番手で登場したシンガー・ソングライターの琴音は、フェスが開かれている長岡市の出身。ハウスバンドで鍵盤を奏でる島田昌典と2人だけで登壇し、島田の切ないピアノが印象的な「Love Birds」で静かに幕を開けた。歌唱後のMCで、本間らフェスのために結成されたスペシャルハウスバンドを迎え入れると、「次は私を広く知ってもらうきっかけになった曲」と音楽プロデューサー田中隼人がプロデュースを手掛けた「君は生きてますか」と熱く歌い上げた。2021年に放送されたフジテレビ系月9ドラマ「ナイト・ドクター」のオリジナルナンバーとして起用された同曲に合わせ、肩を揺らしながら楽しそうに聞き入る観客の姿があった。2年ぶりの米フェスは「全く違う景色に見える」と語った琴音は「自分の地元のいろんな場所で歌っていきたい。今日、少しでも良いなと思ってくれたら、また会いに来てください」と呼びかけた。3日間に渡って行われたフェスの様子はリアルタイムでオンラインでの配信も実施。美しい歌声に「琴音さんが歌うと、空気が、空間が、変わる」と声が寄せられたほか、10月29日(日)に東京・渋谷でワンマンライブを行うことを発表すると、「2公演行きます!」「素晴らしい」と称賛されていた。
イルカ
14時からスタートしたステージには、シンガー・ソングライターのイルカが登場。
ミニのオーバーオールでのいで立ちにざわめきが起きていた。「こんにちは。私が座敷童です。すごいですね。今日はフェスということでやってきました。今日は初めて参加させていただきます、イルカです」とあいさつ。大拍手が起こると「うれしいですね。老若男女が集まって。フェスって言うからね。どうしようかな。ノレる曲はないよ。お昼食べた人は、お昼寝タイムでも良いよ」と会場を見渡していた。スタッフからアコースティック・ギターを受け取ったイルカは、「♪みんな同じ生きているから」と歌うと、「ひとりにひとずつ大切な命」と会場から歌声が。「うれしいね。良かったら一緒に歌って」と続けると、その呼びかけに引き寄せられたトンボがイルカの元に舞い降りた。気付いたイルカは「トンボが止まった。大自然の中で歌えるのはうれしい」と目を細めていた。ほんわかした空気の中で奏でられた「まあるいいのち」では、イルカがつま弾くアコースティックギターに合わせ、テントの中で見ている家族連れや、シートの上で寝そべりながらステージを見ていたカップルが声を合わせた。終盤には1975年に大ヒットした「なごり雪」を披露。イントロのピアノが流れた瞬間、「おぉ」という歓声が上がっていた。イルカは昨年50周年、その間に古希も迎えたと語り、「25歳の孫がいる」と明かすと、どよめきが起きていた。
ソロパートを終えたイルカは、「おいちゃんの登場でございます」とシンガー・ソングライターの南こうせつを呼び込み。「お互い学生だった頃の歌を歌おう」と口にした南は、ピート・シーガーが1960年代に発表した反戦歌「花はどこへ行った」をイルカと歌うことに。歌唱前には同曲を制作する際にシーガーが、ロシアの作家(ミハイル・ショーロホフ)が書き下ろした物語「静かなドン」を元にしていた逸話を明かし、抗戦が続いているウクライナとロシアに平穏が訪れることを願っていた。
南こうせつ
美しいハーモニーで会場を酔わせた後、イルカを送り出した南は、再びマイクに向かうと、荘厳なバイオリンの音で始まったかぐや姫のヒット曲「おはようおやすみ日曜日」を披露。終盤には「いまもステージに呼んでもらえるのは、この曲があったから」と多くの人に支持された「神田川」の物語を紡ぐように歌っていく。曲の最後には、会場と一緒に声を合わせ、感慨深そうな表情を見せていた。南は「ここから見るとよく分かるんだけど、全然世代の違う私の孫みたいな人も一緒に歌ってくれて、ありがとうね」とうれしそう。「この曲は私の出棺のときに流れるんだろうな」と曲ともに重ねてきた歩みを振り返った。拍手が止まない会場に目をやった南は「そこの小林っていう、Tシャツを着ている2人。『神田川』に振り付けを付けて聴いてくれていたよね。誰を見に来たの?」とたずねると、「BEYOOOOONDS!」と回答が。「すごく良かったよ。フェスって、目当てのアーティストが終わってしまうと帰ってしまう人もいるけど、長岡米百俵フェスに来ている人は、アーティストをリスペクトしている。愛情を感じられる。だから何年も続くんだろうね」とほめていた。