AliA、さらなる深化を魅せる「たった一人でも欠けたら何の意味もないんだ」

ライブレポート | 2023.03.13 17:30

AliAliVe 2023 -rebirth-
2023年2月18日(土)Zepp DiverCity(TOKYO)

AliAが“ハイブリッドロックバンド”を標榜するようになったのは、もともと“ロックやクラシックなど様々なジャンル影響された6人が集まって出来た音楽”という意味だと記憶している。だが結成から4年半経ち、様々なハイブリッドを実現させるバンドへと進化した。6人にとって約1年ぶりとなるZeppツアー「AliAliVe 2023 -rebirth-」。ツアー3日目となるZepp DiverCity(TOKYO)公演はバンドのリアルな物語をストーリーに昇華した楽曲、ライブとショーを融合させたステージ、時にシリアスに、時にファニーに繰り広げられるメンバーのキャラクターの出たパフォーマンス、ステージと観客の熱量が混ざり合う会場など、AliAならではの強みを多数観ることができた。

映画『E.T.』のテーマソングに乗せて届けられたSEIYA(Ba)による注意喚起などのアナウンスの後に、シンフォニックなSEとともにAYAME(Vo)の台詞が流れる。アニメの初回オープニングを彷彿とさせる演出は、たちまちAliAの美学が追求された世界へと観客をいざなっていく。ステージを覆う巨大バックドロップの奥からAYAMEの「シンデレラストーリー」の歌声が響くと幕が落ち、メンバー全員がお目見え。EREN(Gt)とSEIYAとBOB(Dr)で作るバンドサウンド、TKT(Key)とRINA(Vn)で作るクラシックテイストのサウンドがZeppを駆け抜け、AYAMEの少年性と少女性を兼ね揃えたヴォーカルが堂々と響き渡る。6人の音に触発されるように、観客もシンガロングとコールで興奮を露わにした。

「Discord」では弦楽器隊が4人一斉にお立ち台に上がり、曲中ではTKTがショルダーキーボードを持ちだし鮮やかな音色を加えるなど、視覚的にも聴覚的にも刺激が多い。生演奏や生歌・コーラスを根幹にしながら、それを効果的に響かせるために同期やオートチューンなどを用いることで、力強さと煌びやかさを両立させていた。新曲「rebirth」はオーケストラ、エレクトロ、ロックがスリリングに交錯する展開の多いファストナンバーで、バイオリンとピアノの音色によるコンビネーションに目を見張る。そこから「まあいっか」へとなだれ込み、6人全員が主役とも言うべき激しいサウンドとヴォーカルを展開。それでも全員の音が潰れることなくしっかりと聴こえるところに、メンバーの協調性とプレイヤーとしてのプロフェッショナリズムを感じた。

観客のタオルがフロアで旋回した「ユートピア」と冒頭からハイテンションな楽曲を立て続けに演奏してきたところに、AYAMEが「一緒に身体を揺らしていきませんか?」と呼び掛けると「ケセラセラ」で少々クールダウン。ゴシックなテイストを取り入れたサウンドメイクと妖艶なボーカル、ドラムパッドのビートが効いたアプローチなどで魅了すると、続いてのロックバラード「イドラ」では緊迫感に観客をじっくりと曲の中へと沈めていく。ラストのAYAMEの悲痛さを帯びたボーカルと、メンバー全員でそれを包み込むコーラスワークは胸に迫るものがあり、幻想的な照明のなかで鳴るピアノの最後の一音まで目が離せなかった。

7曲駆け抜けたメンバーたちは、3年ぶりに浴びる観客の声援に感動を露わにする。そんな様子を見ながらAYAMEは個性的でばらばらなメンバーが揃っていることを語り、「自分たちの音楽で誰かの心が救われるのかわからない時期があった」と明かした。その頃に制作したという「SLIDE SUNSET」は、ERENのアコースティックギターもアクセントになった爽やかなポップソング。AYAMEの伸びやかなファルセットが、歌詞に綴られたメッセージをより美しく彩る。そこからの「翼が生えたなら」は、楽曲に込められた心情を丁寧になぞっていくピュアな音像が会場一帯を優しく包み込んだ。

「ゆびさき」をストリングスとピアノをフィーチャーしたアレンジで届けると、楽器隊5人によるインストセクションへ。EREN、SEIYA、BOBのグルーヴィーなバンドセクションにTKTとRINAも加わり、たちまちドラマチックな展開を見せていく。勢いをつけて最新シングル曲「僕が僕であるために」へとつなぎ、BOBによるユーモアかつクールなドラムソロで会場を盛り上げると「impulse」でさらにギアを上げていく。続いて披露された新曲「animation」は讃美歌やダンスロックなどを取り入れた楽曲で、AliAの表現できるサウンドスケープの規模が格段に大きくなっていることを強く印象付けた。

AYAMEは去年のZeppツアー後、バンド活動を続けるか否か悩んでいた旨を明かす。そんな彼女を引きとめたのは、ファンとメンバーからの言葉だった。求めてくれる人がいること、誰かのために生きることができると思えたことで、彼女はバンドに戻る決意をする。ツアータイトルの“rebirth”には、「またイチから始めよう」という6人の思いが込められているそうだ。「みんなもここからまた一緒に出発してくれたら、一緒に歩いてくれたらうれしい」と告げた彼女が、「やっとこの大事な歌を一緒に歌うことができます。一緒に歌ってくれますか!?」と呼び掛けて披露したのは、バンドの代表曲でもある「かくれんぼ」。伸びやかなサウンドとボーカル、ERENの青春感溢れるギターソロ、観客のパワフルなコールとシンガロングと、会場が一体となり思いを通わせていることが伝わってきた。

「AliVe」で本編を締めくくると、アンコールではツアーのエピソードを明かしながらツアーグッズ紹介をしたり、BOBが用意したもののお蔵入りになった開演前のアナウンス&録り下ろしBGMを流すなど、和気あいあいとトークを繰り広げる。そして「limit」と「happy birthday?」の2曲を届け、コール&レスポンスやアイコンタクト、クラップ、ジャンプなど観客とコミュニケーションを取りながらエネルギッシュにライヴを締めくくった。

最後にSEIYAがマイクを通さず、「AliAはこの6人でまた最高の音楽を作っていきます。また一緒に遊んでください!」と叫び6人が一斉に頭を下げると、会場からはあたたかい拍手が沸き起こった。BGMに乗せてメンバーがステージから去ると、エピローグであるAYAMEの台詞が流れる。「たった一人でも欠けたら何の意味もないんだ」、「ここから書き換えていこう、僕らの未来地図を」という言葉の後、メンバーのいないステージが七色のライトで染まった。ここからまたAliAの物語が始まる。夢のように壮大で、フィクションのようにドラマチックな6人の現実が描かれた音楽こそ、AliAのハイブリッドロックなのかもしれない。さらなる深化を目の当たりにした、2時間超えの熱演だった。

SET LIST

01. シンデレラストーリー
02. Discord
03. rebirth
04. まあいっか
05. ユートピア
06. ケセラセラ
07. イドラ
08. SLIDE SUNSET
09. 翼が生えたなら
10. ゆびさき
11. instrumental
12. 僕が僕であるために
13. impulse
14. animation
15. かくれんぼ
16. AliVe

ENCORE
01. limit
02. happy birthday?

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