伊藤 蘭コンサート・ツアー2022 〜Touch this moment & surely Candies!〜 追加公演
2022年11月19日(土)TOKYO DOME CITY HALL
伊藤 蘭のコンサート・ツアー「伊藤 蘭コンサート・ツアー2022 〜Touch this moment & surely Candies!〜」が、11月19日、TOKYO DOME CITY HALLで最終日を迎えた。
8月のKT Zepp Yokohamaを皮切りに、全国7都市を回るツアーの追加公演として組まれたこの日のステージは、2019年に伊藤が音楽活動を再開した際、ソロとして初めて立った記念すべき場所である。会場を埋め尽くした満員の観客に見守られながらステージが暗転。アメリカのダウンタウン風のセット中央に置かれた扉にスポットが当たり、黒のスタイリッシュなセットアップ姿の伊藤が現れると、観客はイメージカラーの赤いペンライトを一斉に振って応援。昨年リリースされたセカンド・アルバム『Beside you』のナンバーから「You do you」「あなたのみかた」を立て続けに披露して、最初の挨拶へ。
「皆さんこんばんは! 伊藤 蘭です。今日こうして皆さんとお会いできて、とてもうれしく感じています」と第一声を放つ。
41年ぶりの歌手活動再開を応援してくれたファンにお礼を述べ、「今日は青春気分で、思い切り楽しんでいきましょう!」と、「Shalala♪Happy Birthday」、「愛して恋してManhattan」へと繋ぐ。MCを挟んで、今度はカラフルなロングスカートに身を包み、ファースト・アルバム『My Bouquet』から、「恋とカフェインとスイーツと猫舌」をソファに腰掛けしっとりと歌う。続く「walking in the cherry」は、この会場でのファースト・コンサートの冒頭を飾った曲だ。
この後は、9月からニッポン放送でスタートしたラジオ番組「伊藤蘭 RAN To You」の話題になった。この番組の記念すべき初ゲストは木梨憲武に加え、夫である水谷豊。この時の首都圏ラジオ聴取率が全局中で1位だったそうで「勇気を振り絞って、家庭内オファーしてよかったです」と会場を笑わせた。
列車のSEではじまるJR西日本「おとなび」のCM曲「ヴィブラシオン」、ロッカバラード「名前のないChristmas Song」に続いては、黒地に赤くきらめくスワロフスキーが施されたクールなジャケットスタイルに着替え「ひきしお」、そしてメンバー紹介へ。リーダーのキーボード・佐藤準をはじめ、エッジの利いたプレイで沸かせるギター・是永巧一、ハードなドラムのそうる透、グルーヴィーなサウンドを生み出すベースの笹井BJ克彦、エモーショナルなサックス・プレイヤー竹野昌邦、そして両サイドで伊藤を支える渡部沙智子と高柳千野のコーラス隊だ。パワフルな「ICE ON FIRE」で伊藤はいったん袖にはけ、ドラムソロと手拍子が重なると「SUPER CANDIES」で会場は一気にヒート・アップ。佐藤と是永もヴォーカルに参加し、ここからはお待ちかねのキャンディーズ・ゾーンに突入となる。
ステージ右上に配されたCandiesの文字が点滅すると、シャイニーなブルーのワンピースに着替えた伊藤が現れ、まずは「その気にさせないで」。続く「哀愁のシンフォニー」では、かつてのお約束だった紙テープに変わり、観客が赤のペンライトをジャストのタイミングで振り下ろす。この一体感こそが彼女を、そしてキャンディーズを支えてきたファン・パワーだ。さらにアルバム曲ながらライブの定番「悲しきためいき」と、3曲続けてシリアス・モードのナンバーを披露。
「愛すべきキャンディーズの歌で、楽しく盛り上がっていきましょう!」という伊藤のトークに、一層大きな拍手が沸き起こる。スピード感溢れる「夏が来た!」を、当時と変わらぬ振り付けで歌い踊り、さらに「ハート泥棒」「ハートのエースが出てこない」と、キュートな振り付けのナンバーが続く。
スタンドマイクが用意され、「吉田拓郎さんに、敬意と感謝の気持ちを込めてお送りしたいと思います」と、先日引退を発表した吉田拓郎が作曲した「やさしい悪魔」を。さらに観客の誰もが愛する「年下の男の子」では会場のテンションも最高潮に達し、アリーナ席は総立ちに。そして「暑中お見舞い申し上げます」へ。
「この瞬間は1人じゃないんだということを確認できる、最高の時間です。スーさんとミキさんの存在を感じながら、当時の歌を皆さんと2022年に歌えることは、奇跡のようです」と語る伊藤は、往年のキャンディーズの名曲を今も色褪せることなく届けることを可能にしたバンドとコーラスに敬意を表し、さらにそれを受け止める多くのファンに、あらためて感謝の意を述べた。
本編ラストは、最高のノリを生み出す名曲「春一番」。イントロで銀テープが一斉にはじけ飛び、伊藤 蘭とバンドメンバー、観客が一体となる奇跡の瞬間だ。
アンコールではスタイリッシュなパープルのワンピース姿で登場。このツアーで初披露となる新曲「美しき日々」、さらに布袋寅泰作曲の大人のバラード「家路」を披露。この曲ではペンライトが白に変わり、ファンからの粋なプレゼントとなった。
「最高の時間を皆さんと過ごすことができました!」と元気いっぱいの挨拶の後、今度は伊藤から観客への素敵なアナウンスが。1973年9月1日にキャンディーズ「あなたに夢中」でデビューした伊藤 蘭は、来年、レコード・デビュー50周年を迎える。そして来年の9月に、記念コンサートを開催することが伊藤の口から発表された。キャンディーズとともに青春を過ごしてきた多くのファン、そしてキャンディーズの現役時代を知らない世代にとっても、心弾むランちゃんからのプレゼントだ。大きな拍手に包まれながら、ラストナンバー「恋するリボルバー」をアグレッシヴに歌い、「また逢いましょう! ありがとうございました」の挨拶とともに、コンサートツアー「Touch this moment & surely Candies!」はここに完結した。この日会場を訪れた観客は、ライヴの余韻を噛みしめながら、来年の50周年に向けて、心の準備を始めていることだろう。