ユニコーン100周年ツアー“百が如く”
2019年7月3日(水)4日(木)日本武道館
ということは、ここにもアップしたってかまいませんよね、ということで、まずそのオフィシャルレポを貼って、最後に私の私感などを書き足す、という形で、DI:GA ONLINEではお届けしようと思います。なので、オフィシャルレポはもう他のサイトで読んだ、という方は、飛ばして最後のブロックまで行っていただければ幸いです。
4月から12月までで39箇所・50本を回る、ユニコーンの100周年ツアー(再始動から10年+ABEDONが加入した『服部』から30年+川西幸一生誕60年=100周年)『百が如く』。その前半の山場を迎える、日本武道館公演が、7月3・4日の2日間に渡って行われた。
3月27日(水)発売のニューアルバム『UC100V』を携えてのこのツアーは、ユニコーンが結成以来初めてツアーで訪れる奈良県(6月23日・なら100年会館)や、沖縄のみの特別公演として、MONGOL800との対バンで行う野外ライブ(8月31日・宜野湾海浜公園屋外劇場)や、川西幸一と手島いさむの地元、広島県呉市(10月12&13日・呉信用金庫ホール)など、「100周年」ならではの開催地も含まれている。
『働き方改楽 なぜ俺たちは楽しいんだろう』というスローガンを掲げたこのツアーは、事前からメンバーが「100周年だから100分で終わる」と宣言。開演から100分が経つと『服部』のオープニング曲である「ハッタリ」が鳴り響き、その時点で強制的にライブが終了する、というルールで、前半の26本を回った。
7月3日の日本武道館1日目は、「10Nuts」をSEに使ったのをはじめ『UC100V』から9曲、それ以外の再始動以降の曲が4曲、解散前の曲は「働く男」「自転車泥棒」「ヒゲとボイン」の3曲、というセットリスト。中盤では、『服部』の「ジゴロ」「服部」「デーゲーム」「パパは金持ち」「人生は上々だ」「君達は天使」をメドレーで聴かせるコーナーも設けられ、超満員のファンを喜ばせた。
また、この日は、先行配信リリースされたばかりの新曲であり、8月28日にシングルCDが発売される、映画『引っ越し大名!』の主題歌である「でんでん」を、ライブで披露した。「みなさん、歌えるとこは歌えると思うんで」と、奥田民生がやんわりとシンガロングを求め、オーディエンスがそれに応える。
『UC100V』は、EBIがボーカルの曲はABEDON・奥田民生がベース、川西幸一がボーカルの曲はABEDONがドラム、というシフトで作られていたが、ライブでもそれをトレース。EBIがアコースティック・ギターを手にして歌う「大航海2020」ではベースをABEDONが、川西幸一がハンドマイクでステージの端から端まで行きながら歌う「気まぐれトラスティーNo.1」ではドラムをABEDONが務める。曲が終わり、疲労困憊のABEDONを、川西がハグしてねぎらった。
左右に振られる手旗で客席が埋まり、ステージから金テープが発射された「SAMURAI 5」("ちょっと"【待】【侍】【持】の3種のABEDON仕様の小旗がグッズ販売された)、ABEDONの弾くイントロで会場が湧いた「ヒゲとボイン」、曲の前半は打ち込みのダンス・トラックで、途中からバンドの生演奏に変わる「ZERO」、の3連打で、本編が終了。
時間節約のため、メンバー同士でハグしたりハイタッチしたりして「いったん終わった感」を表し、ステージから去って戻ってくる段取りを省略する5人。そしてアンコールでプレイされたのは、「10周年」の再始動アルバム『シャンブル』の1曲目、ABEDONが作詞作曲し奥田民生が歌う「ひまわり」だった。ステージ後方の画面に、『シャンブル』のジャケットのロウソクが燃え続ける映像が映し出される。
その後は、銀ラメジャケットを着たABEDON曰く「100分の残りの時間をユニコーンと遊びたい」のコーナー。「英語禁止」というルールで、メンバーひとりひとりに今日の感想を言わせる、失敗したら感電、という、ゆるく楽しいトークがくり広げられた。
フジテレビTWOで完全生中継も行われた、日本武道館2日目の7月4日は、3曲目が「あなたが太陽」から「風と太陽」に、7曲目が「うなぎ4のやきとり1」から「1172」に、13曲目が「すばやくなりたい」から「頼みたいぜ」に変わっているのが、セットリストにおける1日目との相違点。
SEの「10Nuts」に合わせてメンバーが歌い、奥田民生が鳴らすハト時計から始まる「OH! MY RAD10」で、ライブがスタート。「働く男」のブレイク部分で奥田民生が「はい!」と呼びかけると、オーディエンスから大きなシンガロングが起こり、3曲目「風と太陽」では手島いさむがシンセを弾く。なお手島、「365歩のマッチョ」では、ギターを提げたままハンドマイクで左右に移動しながらボーカルをとり、間奏になるたびにサッとマイクを脇の下にはさんでソロを弾く、という技を見せた。
最初のMCで奥田民生、「今日は100周年を記念しておりますので、お客さんちょうど100人! 100人とは思えない歓声です!」と、今日も好調。「1172」の後に1階席から飛んだ「ABEDONありがとうー!」という声に、「おい! 俺が歌うたんじゃ!」と瞬時に返し、武道館が爆笑で包まれる一幕もあった。
後半の「SAMURAI 5」のブレイク部分での、ABEDONの持つ旗の、「ちょっと待て」の「待」の字が「持」、次は「侍」になっている、それを奥田と手島に持たせて遊ぶ、という小ネタのコーナーで、今日はABEDON、突然「VW」と書かれた旗を持ち出す──というくだりから、10月2日にニューアルバム『UC100W』をリリースすること、10月から始まるツアーの後半日程はその新作も携えて回ることを、発表する。驚きに包まれる日本武道館。「内容は?」と民生が問うと、ABEDON「内容は、まだないよう」。これからレコーディングする、とのこと。
本編ラストの「ZERO」を歌い終えた時、ABEDONは「サンキューありがとう! 武道館、愛してるぜ!」と叫んだ。アンコールの「ひまわり」が終わり、ステージを去る時に、ABEDONはカメラマンを呼び込み、武道館の天井の日の丸をバックに写真を撮った。
30年前、『服部』のツアーで初めてワンマンを行って以降、何度もステージに立ってきた思い出深い場所であり、ビートルズやレッド・ツェッペリン等が公演を行ってきた伝統ある会場である、この日本武道館が、改修工事のため2019年9月から約1年間使用できなくなること惜しみ、感謝の意を届けているようだった。
「気まぐれトラスティーNo.1」でABEDONがドラムを叩く時、スティックの代わりにネギを持つ→大根を持つ→というボケを差し込んでいたが、1日目も2日目もそこに「竹刀を持つ」を追加していたのも、日本武道館へのオマージュだと思われる。
これ以降、ユニコーンは『UC100W』のレコーディングに突入。8月28日には「でんでん」を含むニューシングルを発売、8月31日の沖縄野外ライブを経て、10月2日にニューアルバム『UC100W』をリリース、10月5日東京・かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホールから、ツアー『百が如く』の後半日程に突入する。