Rayflower ハイレベルなプレイとこれからの可能性を見せつけた“Re:~Endless Journey~”ツアーファイナルをレポート!

2019.06.06 20:00

5月21日から5月29日にかけて、“Re:~Endless Journey~”と銘打ったツアーを行ったRayflower。タイトルを見て、彼らが昨年10月から今年1月にかけて遂行したロング・ツアー“~Endless Journey~”の追加公演と捉えた人が多かったと思うが、メンバー達は“そのまんま”ということに面白さを感じなかったらしい。周囲の予想とは異なり、今回のツアーはRayflowerがこれまでにリリースしてきた全曲を披露する場となった。柔軟なスタンスでツアーをよりスペシャルなものにする辺りは、いい意味で、一筋縄ではいかないRayflowerらしいといえる。

とはいえ、今回の“Re:~Endless Journey~”は全5公演というスケジュールだったため、そこで全曲を披露するのは容易なことではなかったに違いない。ロング・ツアーの場合は基本になるセットリストを組んで、ライブごとに数曲を入れ替えていけば全曲を網羅できるが、ショート・サーキットではそうはいかない。全5本ということは毎回セットリストが大きく変わることになるし、さらにライブでほとんど演奏していない曲を一発勝負で聴かせないといけないというプレッシャーものしかかってくる。そういう中で、Rayflowerはどんなライブを見せてくれるか?そんなことを思いつつ、ツアー・ファイナルを飾った東京キネマ倶楽部へと向かった。

場内にサイバーかつ重厚なオープニングSEが流れ、メンバー達がステージに姿を現した。客席から熱い歓声と拍手が沸き起こる中、都が奏でる清澄なピアノの音色が響き、ライブはRayflowerのデビュー・シングル「裏切りのない世界まで」から始まった。いきなりライブであまり演奏しないナンバーという幕開けに、“そうきたか!”と思ったが、レアな楽曲をいい形で聴かせる辺りはさすがにRayflower。抑揚を効かせた田澤の歌声と勢いと安定感を併せ持った良質なサウンドにオーディエンスも熱いリアクションを見せ、ライブは上々の滑り出しとなった。

田澤孝介(Vo)

都 啓一(Key)

その後はシャッフル・チューンの「彩戯心」や翳りを帯びた歌中と明るいサビ・パートのコントラストを活かした「U-TOPIA」、心地好く疾走する「ときに成功は失敗のもと」などを相次いでプレイ。強い存在感を発する5人が一体になってRayflowerの世界を創りあげていくステージは観ごたえがあるし、起伏に富んだ楽曲をクリアに聴かせる演奏力の高さは実に見事。1曲ごとにテンションを上げていく構成も決まって、場内のボルテージはどんどん高まっていった。

Sakura(Dr)

IKUO(Ba)

YUKI(Gt)

セカンド・ブロックでは、「Rayflowerの根本であると同時に、一環してある世界観を感じてもらえるセクションだと思います」という田澤の言葉と共に、切迫感を纏った「イニシエ」や楽器陣のソロ廻しをフィーチュアした「真実の森の中で」、ラグジュアリーな味わいの「罪に罰、黒と白」などが演奏された。翳りを帯びた世界観やメンバーのテクニックを押し出したアプローチなどは最近のRayflowerではやや影を潜めているため、今回のツアーでそれをじっくりと味わえたのはファンにとって大きなポイントだったと思う。場内をビッシリと埋めたオーディエンスが“聴く姿勢”になって、Rayflowerが創出する深みのある世界に浸っている様子が印象的だった。

田澤孝介(Vo)

都 啓一(Key)

中盤では、異国情緒が香る「S.O.S~沈黙のスカーレット~」やスケールの大きな抒情性を放つ「Words Of The Wise Man~時の贈り物~」、華やかかつアッパーな「It’s a beautiful day」などを披露。1曲ごとに表情を変えるステージは観飽きることがないし、幅広さを見せつつ全てが良質ということには圧倒されずにいられない。冒頭にも書いたように、持ち曲全部を聴かせるショート・ツアーは知らない曲の連続になってしまい、オーディエンスのフラストレーションが募り、盛りあがりに欠けるライブになってしまう危険性がある。今回のライブに来場したファンの中には馴染みの薄い曲が多いという人もいたかもしれないが、場内はライブを通していいムードで賑わっていた。このことからは、Rayflowerが生み出す楽曲の質の高さを、あらためて感じることができた。

Sakura(Dr)

IKUO(Ba)

YUKI(Gt)

その後は、Rayflowerのライブの恒例になっているメンバー全員でのMCコーナーに突入。「ゴメン、いきなり飛んだ。ここ、どこだっけ?」という天然ぶりを見せつつ「今回は全曲披露ということで全公演違うセットリストになって、毎回が初日であり、ファイナルのようなツアーでした」と語ったIKUOを始め、ツアーをまわるRayflowerを船になぞらえて、「Rayflowerという船がさらに先に進むために、現在の状態を点検するのが今回のツアーだったと思う。で、今日のライブが終わったら、次に向かう準備が整ったことを感じられるんじゃないかな」という哲学的な話を聞かせたSakura。ツアーに全く関係のない“初めて警官に職務質問をされてワクワクした”というエピソードを披露した後、「Rayflowerの曲のバリエーションの豊富さと、我々の表現力の豊かさを(笑)、あらためて感じたツアーでした」と語ったYUKI。「無事ファイナルを迎えることができて、本当に感謝しています。ありがとうございます。来年の10周年に向けて、ここからまたどんどん走っていくので、よろしくお願いします」というリーダーらしい言葉でMCコーナーを締め括った都。メンバーそれぞれの人柄が伝わってくる等身大のMCに、客席は大いに湧いていた。

そんなMCコーナーを経て、ライブ終盤ではアップテンポの「Make A Judgement」を皮切りに、ヘヴィ&キャッチーな「Runaway Brain」、都とYUKI、IKUOがサブステージに登ってホットなソロ・バトルを展開した「サバイヴノススメ」、田澤とIKUOのツインボーカルを配したアッパーな「Soul survivor」などを畳み掛けるようにプレイ。メンバー全員が織りなすフィジカルなパフォーマンスと爽快感に溢れたサウンドにオーディエンスのボルテージがさらに高まり、東京キネマ倶楽部の場内はツアー・ファイナルにふさわしい盛大な盛りあがりとなった。

これまでにリリースしてきた全曲を網羅するショート・ツアーを行って、ポテンシャルの高さを見せつけたRayflower。多彩な楽曲や起伏に富んだ構成、ハイレベルなプレイなど見どころは多くて、彼らが“鉄板曲”に頼ったライブをするバンドではないことを再確認できた。と同時に、今回のツアーを通してメンバー達がRayflowerを見つめ直すことで、より突き詰めるべき部分や、新たにプラスしたい要素などに気づいたことは想像に難くない。大きな意味を持ったツアーを経てRayflowerがさらに幅を広げ、深度を深めることは確実といえるだけに、今後の彼らの展開にも大いに注目していきたい。

■ SET LIST

01. 裏切りのない世界まで
02. 彩戯心
03. U-TOPIA
04. ときに成功は失敗のもと
05. Prisoner of evolution
06. イニシエ
07. 真実の森の中で
08. 罪に罰、黒と白
09. 哀しみのリフレイン
10. S.O.S~沈黙のスカーレット~
11. Words Of The Wise Man ~時の贈り物~
12. It’s a beautiful day
13. Make A Judgment
14. Runaway Brain
15. サバイヴノススメ
16. ユースフルハイ
17. Soul survivor
18. Bloom Moment

ENCORE
01. Dance naked, Under the moonlight
02. Shining GARDEN

公演情報

DISK GARAGE公演

Rayflower TOUR 2019(タイトル未定)

2019年9月14日(土) 東京 EX THEATER ROPPONGI
2019年9月24日(火) 宮城 仙台 darwin
2019年9月26日(木) 北海道 札幌 cube garden
2019年10月08日(火) 神奈川 新横浜 NEW SIDE BEACH!!
2019年10月11日(金) 福岡 DRUM Be-1
2019年10月12日(土) 広島 SECOND CRUTCH
2019年10月14日(月・祝) 愛知 名古屋 E.L.L
2019年10月15日(火) 静岡 LiveHouse 浜松窓枠
2019年10月20日(日) 長野 CLUB JUNK BOX
2019年10月22日(火・祝) 石川 金沢 AZ
2019年10月23日(水) 群馬 高崎 club FLEEZ
2019年10月29日(火) 埼玉 HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
≫チケット一般発売日:2019年6月30日(日)

2019年11月02日(土) 兵庫 神戸 VARIT.
2019年11月04日(月・祝) 京都 KYOTO MUSE
2019年11月05日(火) 奈良 NEVER LAND
2019年11月09日(土) 島根 LIVE HOUSE 松江 AZTiC canova
2019年11月10日(日) 滋賀 滋賀 U☆STONE
2019年11月14日(木) 茨城 水戸LIGHT HOUSE
2019年11月15日(金) 福島 郡山#9
2019年11月23日(土・祝) 岡山 YEBISU YA PRO
2019年11月24日(日) 香川 高松 DIME
2019年11月26日(火) 大阪 梅田 CLUB QUATTRO
≫チケット一般発売日:2019年8月4日(日)

■ オフィシャルサイト先行

2019年9月24日(火) 仙台公演 ~ 2019年10月29日(火) 埼玉公演
受付期間:2019年6月4日(火) 15:00 ~ 2019年6月10日(月) 23:59

2019年11月2日(土) 神戸公演 〜 2019年11月26日(火) 大阪公演
受付期間:2019年6月29日(土) 22:00 ~ 2019年7月8日(月) 23:59

詳細はオフィシャルサイトをご確認ください

ZIGZO 20TH ANNIVERSARY TOUR 2019

2019年6月21日(金) 浦和 Narciss
2019年7月26日(金) 岡山 IMAGE
2019年7月27日(土) 福岡 Queblick
2019年8月10日(土) 盛岡 the five morioka
2019年8月11日(日) 仙台 enn 2nd
2019年9月1日(日) 東京 LIQUIDROOM
2019年10月17日(木) 18日(金) 札幌 COLONY
2019年11月30日(土) 高崎 clubFLEEZ
2019年12月1日(日) 水戸 LIGHT HOUSE
2020年1月19日(日) マイナビBLITZ赤坂

Sakura 50th Birthday Anniversary
“暗黒秋櫻”~全櫻澤公演 2019~

2019年11月20日(水) 新宿ReNY
出演:gibkiy gibkiy gibkiy / Rayflower / THE MADCAP LAUGHS / ZIGZO

チケット一般発売日:2019年6月2日(日)

RELEASE

「Rayflower TOUR 2018 〜Endless Journey〜」

Rayflower LIVE CD

「Rayflower TOUR 2018 〜Endless Journey〜」

⇒Rayflower Official Web Shopにて期間限定で発売!

◆LIVE PHOTO満載の20Pブックレット付
  • 取材・文

    村上孝之

  • PHOTO

    松崎浩之

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