ASH DA HEROが11月27日(水)に東京・渋谷TSUTAYA O-EASTで全国ツアー<ASH DA HERO LIVE TOUR 2018“HERO'S PARADE”>の最終公演を行なった。9月からスタートしたこのツアーは、最終公演も含め全国7箇所で開催。
ツアー・タイトルには“あなたの街にパレードがやってくる”というASH DA HEROの考えたストーリーも付随しており、パレードの日を楽しみに待つ主人公(ライブに来る人)が、周囲からの反対を押し切りながらそこに参加。それだけ楽しみにするパレードには何が待ち受けているのか、どんなことが起こるのか、そしてパレードの正体は…、という物語になっていた。
また異例とも思えるのが、ツアーを通してセットリストはほぼ固定であること、ネタバレもOKにすることが、ツアー序盤に本人から明らかにされていた。すなわちそれは、事前にセットリストや流れを知っていようがいまいが、そんな範疇に収まらないものを見せてやるという、ライブへの大いなる自信の表われだろう。
このツアーからの新たなSE「Curtains up」が流れ始めたのは19時。紗幕にブルーのライトが当たった直後、バンド・メンバーがソロ回しのように刺激的なフレーズを弾き始め、最後にスポット浴びたASH DA HEROがステージのセンターにシルエットで浮かび上がった。一気に高まる興奮と湧き上がる歓声。「COME ON!」とASHの叫び声で紗幕が振り落とされ、新曲「PARADE」からライブへ突入した。このツアーを経て、ASHの佇まいはさらなる自信にあふれている。
ストロングな歌いっぷりとエネルギッシュなライブ・パフォームを炸裂。ライブのたびにシンガーとして成長した姿をASHは見せてくれる。
「よく来たな!ツアー・ファイナル…、ツアーが終わって寂しい?そんなのフッ飛ばしてやるからよ。今日から俺たちのまた新しい物語が始まる。最高の夜にしよう!」
その言葉から次から次へとライブのキラー・チューンを叩きつける。バンド・メンバーの切れ味鋭いプレイと共に、激しく叫び、歌に込めたメッセージでベイビーズ(ASHファンの呼称)を鼓舞させるASH。
しかし熱さで攻めるだけではない。6曲目に披露された「シャニカマ」はダンサブルな側面も持つ新曲で、軽快なステップをバンドのメンバーらと決める場面も。そしてギターを弾きながら歌う「からっぽの街」や「いつかの街で」では、心に染み込む歌を聴かせる。熱いメッセージを放つことが多いASHだが、弱さや悲しみを背負っている詞もある。それは全てが彼の実体験から湧き上がったもの。こみ上げる感情を声にして歌い上げ、パワー・バラード「Everything」に続いたとき、力強い愛情で包み込むような歌を響かせていった。歌そのもので感動させ、勇気づけるシンガーがここにいる。
そしてライブは、Queenの「We Will Rock You」のコーラスをフィーチャーしたフリー・スタイル・セッションから再びロックン・ロール・モードへ展開。フロアのベイビーズを左右に分けて、主旋律パートと下ハモのパートを歌わせ、今度は全員で歌わせると、これが見事に分厚いハーモニーに。それにはASHも「俺たちは歌えるチームだな!」と笑顔で大絶賛。「WAKE UP ROCK AND ROLL」では、一度、しゃがませて、合図で一斉にジャンプ。ASHがマイクをフロアに向ければ、歌えるチームだからコーラスが湧き上がる。「YELLOW FEVER DANCE」では踊り狂う勢い。こうして全員を巻き込みながらパレードは盛り上がり続けていった。
「このライブ自体、来てくれたあなたと一緒に作り上げていって、パレードの行列のように人が増えていってさ。ブレーメンの音楽隊みたいにさ。俺が伝えたいこと、話したいこと、歌にいっぱい込めて、全身全霊で歌っているから。“みんな”というよりは、俺は“一対一の関係”だと思っている。一人ひとりとタイマンを張るような…タイマンはおかしいか(笑)。一人ひとりと対話をするような感じで、家族のようにギュッとしたいと思う」
形容がおかしいところも多々あるASHだが、歌では一人ひとりの気持ちを射抜く。「THIS WORLD」で聴かせるのは魂のこもった歌。さらに「Never ending dream」では、挑みかかるような体勢で、一人ひとりと目を合わせるように本気でメッセージする。それは心を奮い立たせ、次へ向かうための気合いまで入れてくれる。会場にいる全員を引っ張り上げ、引き連れていくような、そんな力強さと頼もしさがASHにはある。さすが、パレードのリーダーだ。そのパレードは「THIS IS LOVE」で大合唱も巻き起こしながら、最終地点へと向かっていった。
「HERO'S PARADE、いよいよフィナーレです。最後にこの曲を、キミとまた新しいスタートのために。一人きりだから戸惑う?この先に居場所がない?そう言うなら俺がいつでも作ってやるぜ。また会おうな」
ラストは「Prologue」で、終わりではなく始まりのナンバー。全ての壁を扉に変えようと歌う、個々の背中を押してくれる歌だ。ASHの歌声を感じながら、歌詞のひとつずつを噛みしめるベイビーズ。ツアー・ファイナルやパレードのエンディングには、やはり終わってしまうことの寂しさはつきまとう。しかしASHの歌と曲は心の底から元気にさせていく。このライブやツアーに来た主人公それぞれのパレードは、今から始まっていくのだろう。
なお、このツアー・ファイナルで2019年2月から関東ツアー<ASH DA HERO LIVE TOUR 2019 ”GOD SAVE THE ROCK AND ROLL”>を行なうことも発表された。
後日、ASH DA HEROによるセルフライブレポート掲載予定!お楽しみに!
ASH DA HERO、秋ツアー全セルフ・ライブレポ!INDEX