インタビュー/フジジュン
──最新アルバム『proof』を完成させたNoGoD。まずは2017年、「Missing」、「Arliequin」と2枚のシングルをリリースして、アルバム完成に至るまでの経緯を聞かせて下さい。
上半期はずっと制作やってました。Kyrieさんなんて、ずっとスタジオに篭りっきりでほとんど日光浴びてないですからね(笑)。
──アルバムに収録されていない曲も含めて、かなりの曲数作ったんじゃないですか?
作った数で言えば、メンバー合わせて30曲くらい。録音したのは17~18曲くらいじゃないですかね?昨年末、アルバムに収録されている「proof」を作った時から、アルバムまでの流れは見据えていて。最初に「Missing」のシングルに収録する曲を録音していたんですが、その頃から自分の中ではテーマや落とし所みたいな物がちゃんと見えていたので。あとは出てくる曲をブラッシュアップしていく作業でした。
──アルバムタイトル曲でもある「proof」は、かなり早い段階で出来ていたんですね。団長はアルバムを見据えてってところではどうでした?
2015年にバンド結成10周年を迎えて、それまで肩に入ってた力がスッと抜けて。そこからはNoGoDに対して、地に足つけた活動が出来てると思うんです。だから、今年はライブにしても制作にしても、その成果が出せているし、「NoGoD、仕上がってるな!」という手応えを感じてるんです。「Missing」を出した時は「まだまだ新しいことが出来るな」というのを感じたし、「Arlequin」では逆に「俺たちはまだ、あの頃みたいなインディーズっぽい手法で出来るのか?」というのを試したところがあって。結果、NoGoDの最新の状態を出せた「Missing」と、NoGoDが元々持っている物を出せた「Arlequin」、あとはそれ以外にいまのNoGoDに出来ることを全部詰め込めたのが今回のアルバムで。「proof=証明」のタイトルに相応しい、振り幅も広く奥行きのある作品が出来たと思うし。今はツアーだったり次の作品だったり、アルバム以降の自分たちに対しても期待しかないですね。
──うん、「Missing」と「Arlequin」が対になる作品になってて、そこに振り幅の広さを感じるし。アルバムを聴くとその両極端な楽曲を繋ぐ楽曲たちが奥行きを生んでいます。
対極にいる2曲の幅が今まで以上に広くなったので、やれることもさらに広がった感じがあって。こうやって自分たちで遊び場を広げていけるバンドって良いなと思いました。
──10周年を迎えて、“自分たちらしさ”みたいなことも改めて考えました?
考えましたね。しかもそのころって、一番卑屈になっていた時期で。「10年間、命を懸けてやってきたものが、人にまだこんなに届いてなかったのか!」という絶望感もあって。理想と現実は違うんだってところに苦しみながら、それでもライブに来てくれるお客さんがいることがありがたいなぁと思って。「自分に見栄張るためにバンド続けててもしょうがねぇな」と思ったし、良い音楽をやり続けていれば、ずっとこの良い状況で音楽出来るんだろうなと思った時、「とにかく良い音楽を作って、良いライブをやろう」って基本のところに戻れて。今は、“強いままニューゲーム”の状態なんです。
──『proof』を聴いて、そういった意識の部分や現在の立ち位置、ここから向かうべき方向ってところで、メンバーみんなが同じものが見えてる気がしました。
改めてメンバーとそういうことを話すってことはなかったですけど、僕が「仕上がってる」って実感するのはそういうところなんでしょうね。限りなく近い方向は向けていると思います。
──メンバーみなさんはアルバム完成しての感想はいかがですか?
去年くらいから、出来ることと出来ないことの精査が出来るようになって。無理して出来ないことをするより、出来ることを100%でやれた方が良いなと思えるようになって。聴き手にはあまり分からない部分かもしれないけど、演ってる側としてはそれがしっかり出来るようになったというのが感想ですね。だから、曲も今まで以上に雑味がなくて、洗練されてる感じがあると思うし。流行りの音楽と違う、自分たちが出来ることを100%出し切って、それがちゃんと形に出来たと思うし。自分でもこれが正解だなと思えるし、自信を持って出せる作品になったと思います。団長も言ってますが、10周年を経て地に足付いたというか、落ち着いた感はあって。そういった精神面が音に出てると思います。
自由なアルバムになったよね。制作時は何をやってるか分からないくらい、ぶっ続けで演ってて。普段は制作が終わると、演ってた最中のことって忘れがちなんですけど、今回は結構覚えていて。それって、印象の強い曲が多かったからだろうなと思うんです。そんな前向きな解釈で考えると、良いアルバムになったんだろうなと今まで以上に思ってますね。
僕は個人的な話で、一生で一番思い出深いアルバムになるだろうなと思っていて。というのも、制作時に体調を崩してしまって、身体は最悪なコンディションで。周りに迷惑を掛けながら、「色んな人に支えられて生きているんだな」というのを改めて感じながら作り上げていって。そうやってやるべきことを全身全霊で臨んで、なんとか完成したアルバムだったので。すごく印象深い作品になったし、感謝の気持ちが詰まったアルバムになったんです。
──今回、イントロダクション的な「In the cage…」で始まって、アルバム全体通しての物語性もありながら、このままライブセットにも出来そうな構成ですよね。
基本的にアルバムの構成ってあまり変えたくなくて、例えば、「アルバムの始まりはこうでありたい」みたいなのが必ずあるので。全体の流れはいつものアルバムとそんなに変わっていないのかな?と思うんですが。その時々にある楽曲たちが、良い違和感や逆にNoGoDの自然体さを生んでくれれば良いなと思っているので、今回もそうなっていれば嬉しいですね。
サウンド的には今回、NoGoD史上、一番重いアルバムになったと思います。それもいま流行りの重さとはベクトルが違うので、若い人が聴いたら新鮮だし、玄人が聴いたらニヤッとする、全てのロックがお好きな方に納得してもらえるアルバムになってると思っていて。これは毎回思うことなんですけど、日本でこういう音楽を出来るのは、NoGoDしかいないと自負してるんです!今の世の中、その時々の流行りにのった音楽の方が分かりやすいのかもしれませんが、あえてそれをせず。10年間、この5人で音を出してきた結果が『proof』だと思うし。今回、『proof』というタイトルが付いたこのアルバムで何を証明したいかというと、「Missing」、「Arlequin」のシングル2枚含めて、「これがNoGoDです!」と。「NoGoDというジャンルはこういう物です!」と証明したいんだと思うんです。最初から1曲残さず聴いてもらえれば、NoGoDはどういうバンドなのか?どういうジャンルなのか?を必ず理解してもらえると思うので、騙されたと思って聴いて欲しいです。
──10年以上かけて築き上げてきた、NoGoDというジャンルをぜひ感じて欲しいと。
自分たちのジャンルを説明するのがすごく下手なんですよ。「ヘヴィメタル?」って聞かれたら、「そういうところもあります」って感じだし、「ヴィジュアル系?」って聞かれたら、「そこまでビジュアル的にカッコ良くないけど…」と思う。だからもう、CDを聴いてもらうしかないんですよ。そこで今回、「どんなジャンル?」って聴かれたら、「こういうジャンルです!」と自信を持って差し出せるアルバムが出来たのはすごく嬉しいですね。
──最後に、そんな自信満々のアルバムを掲げて、9月30日(土)横浜BAYSISから始まる全国ツアー [prùf]への意気込みを聞かせて下さい。
何度も言いますけど、いまのNoGoDは本当に良い状態に仕上がっているので、このまま良い状態でツアーに臨みたいと思っていて。いつも見てくれてる人はもちろん、「最近、NoGoD見れてない」って人ほど見に来て欲しいです。特にファイナルの12月2日(土)渋谷CLUB QUATTROは10年前、この5人で初めてワンマンをやった会場というのもあって。「10年前に見た」って人には、ぜひ見て頂きたい。この10年でどれだけのことをやってきたかを証明します!もちろん、その他の会場でもこの10年にやってきたことをしっかり証明したいと思うし、このバンドが音楽業界でいかに特殊なのかを感じていただきたいので。お近くの街に行った際には、ぜひ遊びに来ていただけると幸いです。
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