レトロリロン・涼音(Vo/Ag)、ロングインタビュー!1stフルアルバム『コレクションアローン』はいかにして生まれたのか、目前に控えるツアーはどんなものになるのか話を聞いた

インタビュー | 2026.03.06 12:00

──2曲目の「FAQ」は、アコギのイントロから不穏な空気の漂う曲です。これはどんな感情を表現した曲ですか?
涼音この曲はSNS社会に対しての不満をただただ吐露しました。自分の気持ちを率直に表現できたかなと思います。アレンジ面でのテーマは、どの楽器も独立したリズムを出すこと。全員がなるべく同じリズムを弾かないようにして、誰かがずれたら全員ずれるみたいな感じで、ヒリヒリした綱渡りのような感覚を表現したかったんですよ。あとは、お祭り感、祭り囃子みたいな感覚を意識しました。歌詞に関しては、「日本っぽさ」を感じられたらいいなと思って、古語も少し入れたりしています。日本語が好きなので、現代ではあまり使われない言葉や漢字も使おうと。

FAQ

──この曲でも"蟠り(わだかまり)"や"お呪い(おまじない)"などの言葉も入っていますし、「ふたり」でも"襤褸(ぼろ)"や"柵(しがらみ)"といった言葉も入っています。次の曲、「ふたり」は80年代のシティポップ的な雰囲気も漂っています。こうしたサウンドにしたのは?
涼音レトロリロンのファン層は10代から70代まで幅広くて。 時代の流れや流行りに合わせると、書いている曲がどんどん若年層向けになっていく傾向があるんですね。でも、それだとおもしろくないなと思って、自分の親の世代が聴いていた楽曲、80~90年代のJ-POPのサウンド感を目指しました。最近のロックバンドでシャッフルビートをやっている人はほとんどいませんが、自分たちの編成ならできるなと思い、トライしました。鍵盤のいる強みですね。
──「ふたり」というタイトルは、自分と"君"という2人であると同時に、"僕"と"ボク"という自分の中にいる2人を表す、ダブルミーニングのタイトルなのかなと思いました。
涼音おっしゃる通りで、遊び心を入れて、ミスリードしたかったんですよ。歌詞を読まずに聴いた人には、うまくいかない男女のラブソングに聴こえればいいし、歌詞を文字面で読んで、考えながら聴くのが好きな人には、「自己解離」、自分の中の二面性を描いた曲だと伝わればいいなと思っていて、そのバランスを自分で楽しみながら書いていました。

Futari

──7曲目の「咒(のろい)」は、個人的にもとても好きな曲で、喪失感や悲しみが深く染みてきました。歌とピアノだけの曲ですが、これはどんなきっかけから?
涼音もともとは、明るいバラードをアルバムに入れたいなと思っていました。この曲はアルバムの中で最後に作った曲なんですが、他の7曲が揃った時に、ここに明るいバラードを入れると、アルバムが完成しない気がしたんですよ。「咒」はすでに半分くらいは書いていたんですが、どこにも出さず、自分だけが聴ける曲として持っておこうと考えていました。
──それはパーソナルな曲だからということですか?
涼音そうです。バンドのこともお客さんのことも考えず、純粋に自分だけのために作った曲です。でも明るくないバラードでなければ、アルバムに起伏が生まれないと思ってしまって。メンバーに相談したら、「やろう」と言われました。ただし、「咒」は自分にとってとても大事な曲なので、みんなで和気あいあいとした形で作りたくなくて、メンバーには、「この曲をやるのであれば、メンバーの意見は一切聞かずに、僕が思った通りに作るけど、それでもいいか」と確認を取ってから進めました。僕がピアノを弾けたら、全部自分で弾きたかったのですが、弾けないので、miriには、僕が思っているピアノのイメージを伝えて、その通りに弾いてもらいました。ドラムのタイキ(永山タイキ)とベースの沼(飯沼一暁)には「入ってこれるなら、入ってきてくれ」と伝えました。結局、最後までドラムとベースが入ることはなく。僕のわがままで作った異質な曲ですね。歌詞も他の曲と違って、言葉だけで成立しているもの、文学や詩としていいものを追求して作りました。

「咒」

──この曲での喪失感の対象について伺ってもいいですか?
涼音僕は死生観に関しては希薄な部分があって。数年前に祖父母が亡くなった時にも、悲しくないわけではありませんが、気持ちがそんなに大きく揺らぐことはなく、いつかは死が訪れるものなんだと冷静に受け止めている自分がいました。でも昨年5月に飼っていたウサギが亡くなった時に、初めてその死を悼んで泣いたんですよ。血も繋がっていないし、言葉も交わせない対象にこれほどの悲しさを感じた自分への不思議さがありました。
──涼音さんにとって、そのウサギは特別な存在だったのですね。
涼音僕の心が落ちた時に、自然と隣に座っていたりして。もちろん話すことも、感情を共有することもできないんですが、そこに確かな何かがあるような気がしていました。思い返すと、僕がギターを手に取って音楽を始めた高校1年生の時に飼い始めたウサギで、10年経って昨年5月のメジャーデビューのタイミングで亡くなったんですよ。それが偶然ではない気がしました。自分の1つの節目までは見届けてくれたのかなって。人間の葬式の真似事みたいなものなんですが、火葬して骨壺に骨を入れて、家に帰ってきた時に、形に残さなきゃいけないという猛烈な衝動に駆られて書きました。こんなことまで曲にしてしまう自分に腹が立ちましたが、形にしなければという謎の衝動があって、この曲を書き、「咒」というタイトルをつけました。
──今、お話を伺っていると、「咒」という言葉の表すものは、呪いであると同時に、祈りや願いでもあるのかなと感じました。
涼音タイトルは旧漢字の「咒」を使っていますが、この漢字はもともと「祝う」という意味で使われていたそうです。「のろい」というタイトルを付けたいと考えていて漢字を探していたら、「咒」という文字が出てきて、調べていくうちに、「咒」しかないなと思いました。「咒」は当て字で、正しい読み方は「まじない」なんですが、「自分の死生観が今後、変化していったらいいな」という意味合いもありつつ、言葉のわからない対象に対して、言葉で手向けるという人間のエゴも表しつつ。
──死生観が反映された「咒」の次に、「バースデイ」が来る流れはとてもしっくりきました。
涼音「咒」が7曲目になるのも、必然的な流れだったと思います。アルバムって、一般的にバラードで終わりがちですが、「リコンティニュー」と「バースデイ」の繋がりができてしまったので、そうもできなくなった(笑)。ここしかないという感じでした。
──「バースデイ」もライブの光景が見えてくる曲で、アルバムの最後を締めるのにふさわしいですよね。
涼音「バースデイ」は展開の目まぐるしさを意識して書きました。5分ぐらいある曲ですが、体感では3、4分に感じるように意識しました。アルバムの最後に景色を急激に変えて、また最初に戻ってもらうという意味でも、いい曲順になったなと思います。

バースデイ (Official Music Video)

──「咒」に代表されると思いますが、ボーカリストとしてもさらにレベルアップしていると感じました。歌の表現の仕方で、変わってきたことはありますか?
涼音だいぶ変わりました。以前は1曲の歌録りに7時間くらいかけていました。納得がいかずに、何十回もワンフレーズのテイクを録り直したりしていました。
──納得できる基準とは?
涼音感覚ですよね。「来た!」と思ったらOK。以前は自分の技術が、表現したいレベルに追いついていなかったので、何回も歌ううちに、出したいニュアンスの歌がたまたまでてきたら、次に進めるという感じでした。今回のアルバムでは、どの曲も1、2時間しか歌っていません。冒頭で、「メンバーに課題を伝えてスタートした」と言いましたが、自分自身への課題は、「歌唱力の向上」でした。ボーカリストとして、歌詞の解像度を上げる技術を意識するように心がけました。具体的に何をやったということはないんですが、自分の中の「合格ライン」をあえてあやふやにして、厳しすぎた部分を少し緩めたら、逆に歌いやすくなって、自分が歌いたかった歌が歌えるようになりました。「咒」もほぼワンテイクです。
──アルバムタイトルを『コレクションアローン』とした経緯を教えてください。
涼音「孤独を集める」というのが直訳なんですが、孤独はマイナスな意味だけではないと思っています。というのは、どう生きたって結局、誰しも孤独を感じるし、その孤独の中に人間としての大事なものが詰まっている気がしていたからです。「アローン」は「感情」を表す言葉でもあると思っていたので、「感情」をそのまま英語にするよりも、「孤独」を英語にするのがいいかなと考えて、「アローン」という言葉を使いました。「悲しい」とか「嬉しい」とか、大まかなレベルで共有することはできても、どう悲しいのか、どう嬉しいのかといったところまで、同じになることはないですし、そこまで深いレベルで感情を共有することはできません。
──確かにそうですね。
涼音その意味では、人間は孤独な存在だし、わざわざそこまで深く分かり合う必要はないとも思っています。SNSの発展によって、遠い存在だった相手との間で心理的な距離が近くなったと錯覚したり、自分の感情を相手の感情に合わせて生きなきゃいけないという風潮が生まれたりする時代の流れがあります。でも、自分の独立した感情を持ち合わせている方が、今の時代の中で生きやすいんじゃないかとの思いもあり、『コレクションアローン』というタイトルを付けました。
──今、涼音さんがおっしゃったことは、8つの感情を描いた8つの曲が色の違う石として配置されたアルバムジャケットのデザインにも象徴されていますね。どの曲がどの色の石なんだろうって、想像してしまいます。
涼音自分の中では明確な区別があるんですが、聴いてくださった方が、それぞれの曲に対して、自分の中ではこういう色だなと自由に感じてもらえたら、それこそ、『コレクションアローン』としての意義があると思います。

レトロリロン 1st AL『コレクションアローン』 -All Song Trailer

──このアルバムを携えてのツアーが、3月7日から始まります。どのようなツアーにしたいですか?
涼音せっかくアルバムを作るのだから、「アルバムを持って回るツアーをやろう」ということは、早い段階から決めていました。昨年はフェスやイベントなどに出演させていただいて、全国の方と出会う機会が増えたこともあり、今回は10都市を回るツアーとなりました。「ライブで完成させる」ことを想定して作った曲もあるので、どのような形になるのか、自分でも楽しみです。今はアルバムの8曲をどう既存の曲たちに混ぜていけるのか、詰めている段階です。
──新曲と既存の曲との間でも化学変化が生まれそうですね。
涼音前回のワンマンツアーとは、内容が大きく変わると思います。僕らも今回のツアーがどうなっていくのかわからないワクワク感とヒリヒリ感を持っていますし、来てくれるみなさんにも、ワクワク感を楽しんでもらえたら、うれしいです。
──『コレクションアローン』はアルバムのタイトルではありますが、観客それぞれのアローンを持ち寄るという意味では、レトロリロンのライブ空間そのものでもありそうですね。
涼音ライブもアローンの集合体ですよね。個々が集まった結果としてのライブなので、必然的にライブ会場を模したようなタイトルにもなったのかなと思います。アルバムが完成して、曲たちは世の中に出ていますが、ここからまたライブで演奏することで、その曲たちが成長していくはずです。「こんな受け取られ方をするのか」「こんな側面も持っていたのか」といった新しい発見もあるでしょう。いい意味で手探りしながら、レトロリロンの新たなワンマンツアーを作っていけたらと考えています。

PRESENT

サイン入りトートバッグ(Red)を1名様に!

X応募方法

①DI:GA ONLINEの公式Xアカウントをフォロー
②表示されている投稿をリポスト(リツイート)
応募〆切は2026年3月31日(火) 23:59まで。

※DMでのご応募は受け付けておりません。
※非公開(鍵付き)アカウントからのご応募は抽選対象外となります。

Instagram応募方法

①DI:GA ONLINEの公式Instagramアカウントをフォロー
②表示されている投稿をいいね
応募〆切は2026年3月31日(火) 23:59まで。

※DMでのご応募は受け付けておりません。
※非公開(鍵付き)アカウントからのご応募は抽選対象外となります。

詳細を見る

SHARE

レトロリロンの関連記事

アーティストページへ

最新記事

もっと見る