20年やってきて、まだまだやり足りない、もっともっとやりたいものがある
──では、2025年のオリジナル・アルバムを『HOMEWORK #2』にしたのは?
20周年を経て、これからまた心機一転やっていこう、どんな作品を作ろうかな、という時に、『HOMEWORK』が『#1』で終わったままになっているな、と思って。『#1』を作った時は、『#2』『#3』って、自分で作ってライブで手売りをしていくつもりだったんですよ。
──でも、その次がアーロンフィールドからのリリースになって、ひとりで『#2』を作らなくてよくなった。
そうなんですよ。そういえば『#2』を作らずに、いろいろ動き出したんだな、じゃあ、『#1』をがんばって作っていた当時の自分に、「今の僕はこんな感じだよ」っていうのを伝えたい、っていうような感覚もあって。
──基本的に、新しく書いた曲?
「Dynamo」は昔の曲で、ライブでやっていましたけど。それ以外は新曲です。
──「自分は今こういう気持ちなのか」「こういうことを考えているのか」とか、曲を書いたことによって自覚したことはあります?
そうですね……さっき話した映画館のツアーは、コロナが明けて以降、久々のツアーだったので。夜クルマで移動してる時とか、電車で移動してる時とか、知らない景色を見ながら、今、自分はまた道の上に戻って来たな、また始まったな、っていう、次の幕が開いたような感覚があって。だから原点に帰って『HOMEWORK』を作ろう、っていうのもあったのかもしれないです。ちょっと折り返した感じはありましたね。
そんな中で、出てきた曲たちは……音楽っていう、曖昧な、非常にうたかたなものを20年やってきて、まだまだやり足りない、もっともっとやりたいものがある。で、これをやっていくんだ、っていう決意というか、覚悟みたいなものを盛り込んで、生まれた歌だったような気がします。
そんな中で、出てきた曲たちは……音楽っていう、曖昧な、非常にうたかたなものを20年やってきて、まだまだやり足りない、もっともっとやりたいものがある。で、これをやっていくんだ、っていう決意というか、覚悟みたいなものを盛り込んで、生まれた歌だったような気がします。
何かを持っていることが幸せではない。あたりまえのことだけど、この歳になって改めて気づかされた
──「Saigon Symphony」という曲の冒頭には、サイゴンの雑踏の音が入っていますよね。
2025年は、二回ほどベトナムとかを旅したんですけど。若い頃、リュックサックを背負って行っていた景色とは違う感覚で、東南アジアを見ることができて。昔は、いかにコストを抑えて段取りよく回るかとか、「1ヵ月であそこまでどうやって行こうかな」とか……半分ゲーム感覚で旅していたんですけど、今はもうちょっと俯瞰で見れるというか。
たとえば、人々の暮らしの営みとか……道端で裸足で遊んでる子供たちだったり、マーケットの片隅で生まれて、誰にも飼われずに暮らして、死んでいく猫たちとか。いろんなものが慈しみ深いというか、忘れてた何かを、取り返してるような感覚もあって。こういう、音楽目的じゃない旅行は久しぶりだな、というのもあったし。
国民の平均年齢、日本は今、51〜52歳ぐらいらしいですけど、ベトナムって30歳ぐらいなんですよ。だからやっぱり街の活気とか、希望に溢れてる感じというかね。カオスなんですけど、その中に無垢なパワーみたいなのを感じて。すごく刺激的でした。
たとえば、人々の暮らしの営みとか……道端で裸足で遊んでる子供たちだったり、マーケットの片隅で生まれて、誰にも飼われずに暮らして、死んでいく猫たちとか。いろんなものが慈しみ深いというか、忘れてた何かを、取り返してるような感覚もあって。こういう、音楽目的じゃない旅行は久しぶりだな、というのもあったし。
国民の平均年齢、日本は今、51〜52歳ぐらいらしいですけど、ベトナムって30歳ぐらいなんですよ。だからやっぱり街の活気とか、希望に溢れてる感じというかね。カオスなんですけど、その中に無垢なパワーみたいなのを感じて。すごく刺激的でした。
──僕も東南アジア好きなんですけど、行くたびに豊かになっているような。
今現在も建築ラッシュだし、高層ビルとかばんばん建ってるし。だけど、その同じ街に、昔ながらのアジアの風景もある。市場があって、生々しい食材がところ狭しと並んでいたりとか。そこで若い方も年配の方も、犬も猫も暮らしていて。最先端とどローカルが混在してる感じも、おもしろいなと思いましたね。
──日本も昔はそうだったけど、発展の過程で、どローカルが消えていったんでしょうね。
サイゴンとかも、この先どうなるのかわかんないけど。今もどんどん開発は進んでるので。あと、2025年はベトナムが独立50周年だったので、街がお祭りムードだった、っていうのも大きかったです。どこの国の支配からも逃れて、独立して50周年っていう、非常に若い国で、ようやく勝ち取った自由というか、独立だと思うので。すごくエネルギッシュだし、これからいろんなものが動くんだろうなっていう期待感があって。
あと、人がほんと優しくてね、穏やかで。客引きも、インドとかネパールみたいにはグイグイ来なくて。生活レベル的なものは低いのかもしれないけど、おカネおカネって言ってくる人がそんなにいない。足るを知ってるというか、それ以上に、今の暮らしのありがたさの実感があるのかな、っていう。
あと、人がほんと優しくてね、穏やかで。客引きも、インドとかネパールみたいにはグイグイ来なくて。生活レベル的なものは低いのかもしれないけど、おカネおカネって言ってくる人がそんなにいない。足るを知ってるというか、それ以上に、今の暮らしのありがたさの実感があるのかな、っていう。
──ということを体験して、この曲の「幸せは一つじゃないだろう 正解は一つじゃないだろう」というリリックが出てきた?
そうですね。僕なんかは、日本にいてもそんなにステレオタイプな考え方じゃなくて、自分で、自分なりの本質みたいなのを選び取って生きてるつもりではいるんだけど。とはいえ、やっぱりどっかで、日本ならではの、空気を読むとか、和を乱さないとか。あと、「最低限これぐらい稼がなきゃ」とか、みんなやっぱりあたりまえの物差しとして持ってると思うんですけど。でもサイゴンでは、日がな一日、道端で座り込んで新聞を読んでるおじさんとか、バイクで昼寝してるお兄ちゃんとか、いっぱいいるし。生産性のあることをしていなくても、充分幸せな感じで。子供たちもおしゃれな服、着てないけど、みんなキラキラしてて、「全然幸せじゃん」みたいな。何かを持っていることが幸せではないよな、っていう。あたりまえのことですけど、そんなことすら、この歳になって改めて気づかされるというかね。自分もフラットでいたいな、っていうのはすごく思いましたね。
「Life By Nature」は、今の自分のまんなかにある部分の曲
──「Dynamo」という曲は前からあった、と、さっきおっしゃいましたけども──。
あの、最初の『RAW LIFE MUSIC』(2004年)から『1974』(2023年)まで、ずっとタッグを組んでやってきたデザイナーが、急に倒れて亡くなってしまって。グッズとかも含めて、本当にすべてのデザインをやってもらっていたので。彼がこの曲を好きで、ことあるごとに「『Dynamo』、いいな」って言ってくれてたんで、自分なりの弔いの気持ちも込めて入れました。「一緒にいるぞ」と伝えたかった、というのがありますね。
──「Life By Nature」も、前からライブで歌っていましたよね。
はい。3年前から茅ヶ崎で始めた『HARVEST PARK』というフリー・イベントがあって。そこの景色から生まれた曲なので、最近の自分の居場所というか、今の自分のまんなかにある部分の曲でもありますね。初めてライブで歌ったのも、2024年の『HARVEST PARK』かもしれない。
──この曲のMV、2025年の『HARVEST PARK』での映像をそのまま使っていますよね。あれ、すごくいいなあと。
あ、本当ですか? よかった。
──この曲が伝わると同時に、『HARVEST PARK』がどんなイベントなのかも伝わるので。観た人が「こういう感じなのか、行ってみたいな」と思うんじゃないかなと。
これはね、石尾凌くんっていう、最近一緒に映像を撮ってる仲間が、ずっと『HARVEST PARK』で撮りたい、って言ってくれていて。だから、僕ではなくて、彼の発想から生まれたものです。
──じゃあ内容はおまかせ?
うん。信頼しているので、変なことにはなんないだろうと。でも、このイベントの雰囲気が伝わるものにはしてほしいけど、このイベントのプロモーション・ビデオみたいにはしたくない、楽曲のテーマに沿った画にしてほしい、という。それだけオーダーしました。
──で、2月1日には、毎年恒例の、川崎クラブチッタでの『新年祭』がありますよね。
はい。去年(2025年)の9月にこのアルバムを出して、いわゆるレコ発のライブをできていないので。それも兼ねつつ、せっかくなので、『HOMEWORKスペシャル』という感じにして。『HOMEWORK』の『#1』と『#2』、全部やると14曲だから、それプラス、今やりたい曲、このバンドで鳴らしたい曲を散りばめて、一本のショウにしたいなと思っています。
──『新年祭』は、毎年、お客さん全員に振舞い酒がありますよね。今回は?
「SummerFall」が協力してくれて(※このインタビュー&撮影も、渋谷・宇田川町にある「SummerFall」のバー、『SummerFall TAP COCKTAILS』が場所を貸してくださいました)。スパークリングの日本酒なんですけど、微発泡で口当たりがよくて。
「飲みやすい!」って思うんですけど、そこはやっぱり日本酒で。この『新年祭』をお知らせするので、インスタで生配信をやったんですけど、ラフな感覚でSummerFallを飲んでいたら、生配信の途中で「あ、これはちゃんとしよう」って思いました(笑)。
ぜひ、ゆっくり味わってほしいなと思います。
「飲みやすい!」って思うんですけど、そこはやっぱり日本酒で。この『新年祭』をお知らせするので、インスタで生配信をやったんですけど、ラフな感覚でSummerFallを飲んでいたら、生配信の途中で「あ、これはちゃんとしよう」って思いました(笑)。
ぜひ、ゆっくり味わってほしいなと思います。












