MYTH & ROID、10周年を目前に控えた国内ツアーでの手応えや、「ストレートに挑む」と語るファイナルの展望を聞いた

インタビュー | 2025.07.17 18:00

2015年8月にメジャーデビューして以来、数々の人気アニメの主題歌を担当し、日本国内のみならず世界各国でも熱い支持を集めているMYTH & ROID。現在はユニット史上最大規模となる国内ツアー「MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long"」を開催中。7月27日(日)にZepp Shinjuku (TOKYO)にて開催されるツアーファイナルには、ゲストにオーイシマサヨシ(from OxT)を迎え、MYTH & ROIDとOxTの活動10周年を記念したスペシャルステージを行なうことになっている。10周年突入を目前に控え、“ずっと愛されていた”というメッセージを掲げたツアーの手応えや、この10年間で生まれてきた変化、そしてツアーファイナルへの意気込みについて、KIHOWとTom-H@ckに話を聞いた。

今までで一番盛り上がっているし、みんなの熱量が高まっている感じも伝わってきます(KIHOW)

──ツアー「MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long"」の手応えはいかがでしょうか。
KIHOW日本国内でのツアーを始めてまだ3年経ってないぐらいなんですが、正直今までで一番盛り上がっているなって思いますね。そこはステージに立っていても感じますし、Myrror(ファン)から終演後の感想でいろんな言葉をいただいていて、みんなの熱量が高まっている感じも伝わってきますし。今回は新しいエリアにも行っているんですけど、その会場に8割ぐらい新しい人が集まってくれるなんてこともあったので、やっぱり自分たちが足を運んでようやく出会えるMyrrorがいて、みんなずっと待っていてくれたんだっていうことを10周年を直前にして感じたり。これからもいろいろ新しいアプローチを続ければ、きっと新しいファンが入ってきて、もっと大きなステージに行けるんじゃないかっていう希望が見えるというか、そういうことを今回のツアーでは感じています。
──素晴らしいですね。ステージで歌っていても、お客さんの熱をしっかりと感じているとのことでしたけども。
KIHOWずっと応援してくれている方たちが私たちのライブに慣れてきたというのもあると思いますし、“みんなでやりたいこと”が、ライブの中で形になって行く部分もあるんです。これまでのツアーを通して、みんなが自然とやりたいと思ったことをやるのが楽しさに繋がるのかなと感じたので、Myrrorがこの曲はこういうふうにしたいのかなって感じたら、自分はそれをみんなに広める役割をするようなこともあって。なので、私自身がしたいこともツアーの中には組み込まれているんですけど、みんなが自然と動き出すこともすごく大事にしていますし、それは今までのライブでも大事にしてきたことではあるので、その積み重ねがあって、今回のツアーはみんながすごく楽しんでいることがダイレクトに伝わってきますね。

KIHOW

(ライブが)どんどん形になっていっているツアーで、すごく心地よくなってきたんです(Tom-H@ck)

──Tom-H@ckさんは今回のツアーの手応えはいかがでしょうか。
Tom-H@ck基本的にはKIHOWちゃんが言ったようなことと類似していますね。これまで10年くらい活動してきて、KIHOWちゃんが入ってからは8年なんですけども、これまでは海外公演ばかりしていたんですよ。ヨーロッパ、アジア、アメリカとか、1ヶ月で5カ国に行くみたいな日々だったので。そこからこの3年間で日本のファンの皆様と顔を合わせることができて、それがどんどん形になっていっているツアーなのかなというのを強く感じますね。
──着実に積み上げてきているものがあって、という。
Tom-H@ckそうですね。最初に日本でワンマンライブをしたとき、みんなそうだし、僕たちもそうだったんですけど、どういうふうに盛り上がったらいいか分からないような状態だったんですよね。それがこの3年弱のライブで形作られてきて、この曲はこうなるんだなとか、僕たちがこういうパフォーマンスをしたら、みんなこういうふうに盛り上がるんだみたいなものが、合いの手みたいな感じで完成されていくのがすごく心地よくなってきたんです。そこは僕たちだけじゃなく、たぶん見ている人たちも同じなんだろうなというのを感じますね。

Tom-H@ck

ライブをするにあたって、自分の人格を変えて行く必要があった(KIHOW)

──ちなみに、今回のツアータイトルはどんなところから付けたんですか?
KIHOWまず第一に、“ずっと愛されてきた”ということをタイトルだけで伝えたかったんですよね。このツアーが終わってから10周年を迎えることになるんですけど、やっぱり10年もアーティスト活動をするということは、本当に想像を絶するようなことがありますし、応援してくれる人がついてきてくれないと絶対に叶わないことだなと思っていて。なので、10周年は10周年でまた新たなことができたらいいなと思っているんですが、10周年を迎えに行くということと、それをみんなでお祝いしたいという気持ちから、このタイトルにしました。
──まさに今の状況であり、心境でもあると。ツアー中にちょっとしたハプニングはあったりしました?
KIHOW実はちょっと機材トラブルがありまして。その修復をするのが結構大変で、30分くらいかかってしまったんです。その場でMyrrorの方にも聞いてみたんですが、みんな「こういうライブは見たことない」って(笑)。
Tom-H@ckとんでもなかったんですよ(笑)。でも、不幸中の幸いなのか、観客の皆さんと話をする時間が偶発的に生まれて。それも意外と良かったというか、いい機会になったのかどうなのかは分からないけど、特殊な雰囲気になったんです。
──30分ステージに居続けたんですか?一回袖に戻るとかでもなく。
KIHOWTomさんだけほぼずっといました(笑)。
Tom-H@ckそう(笑)。KIHOWちゃんはちょっと裏に行ったりしていて。でも、みなさんから「あれはあれで良かった」みたいな感じのご意見もいただけて。
KIHOWその瞬間は大変だったんですけど、私はちょっと楽しかったんですよ。もちろんそういうことがないほうがいいとは思いますけど、その瞬間もみんなと楽しめるぐらい、自分たちがファンとの絆を深くしていけていたんだなということを感じたりして……なんていうか、ライブをしておきながらこんなこと言うのもおかしいんですけど、そもそも私はみんなで盛り上がるようなことがあんまり得意じゃない人間なんです(笑)。
──(笑)。そうなんですね。
KIHOW作品の世界観に入って行ったりとか、聴き入るようなライブが好きですし、静かに曲の世界観を繋げて進めていきたいと思っていたタイプで、そういったことを海外公演で続けてきていたんですよね。そういうライブをしたいときはまたすればいいんですけど、今はみんなと楽しむことが自分の中で一番やるべきことだなって、ツアーをしていく中で思うようになって。だから、ライブをするにあたって、自分の人格を変えて行く必要があったというか。
──自分自身を変えていこうと。
KIHOWそういったところから、たとえばそういう問題が起きてしまったときでも、感覚としては自然に過ごせるようになれたのは、自分にとっては嬉しいことだったし、みんながそれを受け止めてくれるだけの深い愛を持って会場に足を運んでくれていることを感じられて、アーティストとして逆に自信がつく瞬間だったというか。みんながいるから大丈夫なんだという気持ちを、みんなからすごくもらっていますし、何かが起こっても自分はどうにでもできるみたいな気持ちにもなれたので、機材トラブルは問題といえば問題だったんですけど(笑)、自分たちやライブのことを知れるいい機会だったかなと思っています。

──おっしゃっていた人格を変えていくということは、慣れないことをするのもあって、いろいろと大変だったと思うんですけども。
KIHOWたとえば、昔はプロモーションでいろいろなところでお話しさせていただくときも、今みたいにこうやって話すことが本当にできなかったんです。ただ、音楽を聴いてもらうことって、今や音楽の力だけでは難しいというか。もっといろいろな情報が外に出ていかないと、音楽にすら辿り着けないんだろうなということを、ライブをしていてすごく感じたんです。なので、もう少し自分の言葉で内側のことを語る必要があるんだなと思って。それは今までやっていなかったことだから難しさはあったんですけど、そうしていく中で、自分ってこんなことを思っていたんだとか、自分自身を知れたりすることもありますし、あとは話すときに自分の声が結構大きくなってきたりしていて(笑)。
──(笑)。シンプルに声が大きくなった。
KIHOW実はここ何年間かかけて、喋り方の発声を変えてみたんです。元々の自分の喋り方だと、伝えたいことが全部伝わらないかもしれないと思ったので。

なんかもう別の人なんじゃないかなっていうレベルですよね(笑) (Tom-H@ck)

──そこまで考えてのことだったんですね。Tom-H@ckさんは、KIHOWさんが人格を変えていく過程を見ていて、かなり変わったなという印象をお持ちだったりします?
Tom-H@ckなんかもう別の人なんじゃないかなっていうレベルですよね(笑)。人間ってそれぞれいろいろな悩みとか、苦難とか、楽しいこと、そうじゃないことを積み上げて歩いて行くと思うんですけど……こういう言い方は良いのか悪いのかちょっと分からないですが、僕もKIHOWちゃんくらいの歳の頃を思い出すと、苦しみだらけで(笑)。特に上の世代の人たちに対する憎しみがあったんですよ。僕の場合ですけどね。
KIHOW私は憎んでないですよ(笑)
Tom-H@ck大丈夫(笑)。僕の師匠で百石元さんという方がいらっしゃって、僕が弟子入りした当時のことを「Tomちゃん、あの時そうだったよね」っていまだに笑い話で言われることがあって。僕、百石さんに会うたびに「百石さん、あなたはここがダメだ!」って言ってたらしいんですよ(苦笑)。
KIHOWえっ!?(笑)
Tom-H@ckその理由もなんとなく覚えていて。当時、業界とはこういうものだとか、楽曲の作り方はこういうものが定石だとか、そういうことが嫌だったんでしょうね。「そんなもので世界は変えれないですよ」とか、そういうことを勢いよく言ってたねっていまだに言われるんです。ちょっと話が逸れちゃいましたけど、KIHOWちゃんにはKIHOWちゃんの歩みの過程があって、それを近くで見させていただいて、できる限り僕も一緒に悩めるものは悩みたいし、前に進める光が見えたらそれを一緒に辿っていきたいし、逆に見ていて僕も勉強させていただくこともたくさんあったと思うので。そういう日々だったかなと思いますね。

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