初演から60年以上世界中で愛されてきたミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』。360°回転劇場「IHIステージアラウンド東京」で10月27日には来日キャスト版が連日大好評の中、千秋楽を迎えた。そして、いよいよ11月から日本キャスト版が開幕。Season1ではWキャストで主役のトニーを演じる宮野真守と蒼井翔太の2人に、名作に挑む心境や見どころなどを聞いた。
──トニー役がお二人のWキャストだと知ったときはどう思われましたか?
宮野真守どなたとやることになるのかドキドキしていたら、まさかの蒼井翔太くんだったので衝撃が大きかった(笑)。驚きはしましたけど、よく知っている翔太くんがWキャストというのはすごく心強いですね。
蒼井翔太ありがとうございます。僕としてはこの上なく光栄なことですし、すごく楽しみです。今からワクワクしています。
宮野翔太くんがトニーと聞いて、全く違うトニーになるだろうということだけは想像できました。僕が若かりし頃に見た映画の『ウエスト・サイド・ストーリー』のトニーは、カチッとした短髪で翔太くんのイメージとは違うのかなと思うところがあったので。
蒼井僕も舞台とかでそういう役を演じたことはなかったので、そう思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。やっぱり自分としてもイメージがすぐには結びつかなかったです。
宮野だからこそ、我々なりの見せ方になっていくのは確実だなと思いました。イメージに左右されるのではなく、僕らが打ち出していく『ウエスト・サイド・ストーリー』はどういうものになるんだろうっていうところに向かっていけるんじゃないかと。
──トニー役を演じる上で大切にしたいと思っていることは?
宮野ブロードウェイ・ミュージカルのナンバーを歌わせていただくということにおいては、しっかり準備していきたいと思っています。自分がどこまで歌で表現できるのかというところにも、しっかりと向き合っていきたいです。声優として活動させていただいている中で自分が一番大事にしていることは、役に深く深くダイブしていくことなので、今回はいかにトニーの内面に深く入っていって心の機微をどれだけ表現できるかですね。長いスパンの公演になってくるので、毎公演、毎公演、新鮮に心を動かしていけるかというところは、すごく根気のいる作業になると思いますが、そこを逃げずにやっていきたいです。
蒼井自分とトニーは全く違いますし、まだ共感するところはないんですけど、これから稽古をしていくなかで徐々に共感するところが出てくると思います。でも時には頑張って無理やりにでも共感しなきゃいけない部分も出てくるかもしれないですね。
宮野役との向き合い方は人それぞれ違うからね。全く違うダイブの仕方になるだろうし。
蒼井そうですね。宮野さんだからこそのトニー、僕だからこそのトニー、作品を愛している人たちの思い描くトニーというものがもちろん芯にはあって、しっかり演じたいと思いますし、繊細な色付けという部分でそれぞれの違いが出てくるのかなと思います。とにかく今回、僕は共感という部分を大事にしていきたいと思っています。
──名曲の数々と激しく美しいダンスが魅力の今作。そこにどう臨んでいきますか?
宮野来日キャスト版を観せていただいて圧倒されました。表現力や技術力のレベルの高さに、「これがブロードウェイ・ミュージカルか」と半ば打ちのめされつつも、自分がやらせていただく中で、どれだけそれを表現できるかというところに向かっていけたらと思います。
蒼井キレのあるダンスはすごいですね。普段からライブなどで歌ったり踊ったりしていますが、いつもと違うキレのあるダンスを頑張りたいです。
──ヒロインであるマリアも北乃きいさんと笹本玲奈さんのWキャスト。どんなトニーとマリアにしたいですか?
宮野まだ具体的なことは言えないですが、改めて映画を見たり、来日キャスト版を観たりして、僕はどのようにアプローチできるのか、エスコートできるのかなと想像しています。
蒼井マリアもWキャストということで、人によって接し方を変えてはいけないなと考えてしまいます。どちらとも一緒にやることがあるんですよね?
宮野どちらともやるどころか、今回はアニータもリフもベルナルドもWだから、何十パターンあるんだ?というくらい組み合わせが多い。
蒼井トニーとマリアが出会うシーンが、映画版と来日キャスト版で印象がまったく違って。映画版はロマンス。来日キャスト版の印象は2人がすごくキュートだったんです。だから僕は北乃さんのマリア、笹本さんのマリアとどうなるのか。同時に宮野さん演じるトニーと、それぞれのマリアがどういう印象になるのかも想像します。キュートな宮野さんは見てみたいですね(笑)。
──IHIステージアラウンド東京での上演ならではの見どころは?
宮野この劇場は、場面転換がスムーズで映画的な演出ができるし、舞台セットの移動がないから大掛かりなものが作れる。来日キャスト版を観せていただく前からこの作品にぴったりだと思っていました。実際に観に行ったら、まさにそういう演出になっていて。大きな見せ方で、映画と舞台のいいところを盛り込めるステージだと改めて感じました。翔太くんはこの劇場初めてだけど、ドキドキしてきた?
蒼井宮野さんから「きっと走り回るぞ」というお話を聞いて、体力をつけないとなって真っ先に思いました。
宮野毎公演、バルコニーに登らなきゃいけないからね(笑)。
蒼井けっこう高さありますもんね(笑)。ステージに立つのは僕たちですけど、お客さんもその街の住人のような感覚で、本当に映画の中にポンって入ったような感じになれると思います。
宮野本当にそうだよね。豊洲にN.Y.があった(笑)。クオリティがすごいです。来日キャスト版を観たときに、そのN.Y.の街でキャストがダンスで入り乱れる映画の有名なシーンがそのまま再現されていて迫力がありました。
蒼井思い出しただけで、鳥肌が立ちますよね。
宮野でも、本当に裏で迷子になるから気をつけて。
蒼井僕だけ取り残されないか、それが一番不安です(笑)。