──ベストアルバムには新録曲も収録。「二十歳の僕らは澄みきっていた」はふたりの共作だとか。
ハルカはい。もともとは別の曲だったんですけど、それぞれが書いたメロディを合体してみたら、不思議な感じの曲になって。最初から「共作しよう」と始めたわけではないけど、こういう作り方もおもしろいと思いました。
ミユキ一人で作ったら、それぞれのクセが出るじゃないですか? それももちろんおもしろいんだけど、ふたりのメロディを合わせてみたら、ふたりのクセも混ざって、いい意味でヘンな曲になったなって。これがふたりの強みだなとも思ったし、このやり方を追求していけば、ハルカトミユキとしてももっと強くなれるんじゃないかなと。
──歌詞は「17才」とつながっているんですか?
ハルカあ、そうですね。17才を過ぎて、でも、まだ大人にはなっていない挟間の時期を振り返って曲にしてみたかったので。あとは「Vanilla」で歌った「狂えない」というテーマを、もう一度書いたらどうなるだろう?と思って。
──20才の頃って、鮮明に覚えてます?
ハルカ歌詞のなかに“中央線”みたいな固有名詞が出てくるんですけど、当時乗っていた電車、駅や街の風景を引っ張り出してくると、「そういえばあのとき…」といろんなことが蘇ってきましたね。
ミユキハルカトミユキを結成した頃で、毎日が楽しかったんですよ。まだ「音楽でやっていこう」とはぜんぜん思ってなくて、練習して、曲を作って、お客さんがいないライブハウスでライブをやって。ぜんぜん悩んでなかったし、ただ楽しいだけでしたね(笑)。
──ベストアルバムをリリースした後のツアーの手ごたえはどうでした?
ハルカベストアルバムには自信を持って自己紹介できる曲しか入れてないし、ライブもいままででいちばん楽しかったです。オリジナルアルバムのツアーも好きなんですけど、それとはまた違う感覚でしたね。
ミユキバンドツアーだったんですが、サポートのメンバーに「何かあったの? 前よりも仲良くなってない?」って言われて(笑)。
ハルカステージ上の私たちが楽しそうだったみたいです(笑)。
ミユキ意識していたわけではないけど、そういえばよく笑ってたし、ふたりで会話もするようになったかもなって。そこも変化した部分かもしれないですね。
──そして2019年11月23日(土・祝)には日本橋三井ホールで「ハルカトミユキ Best Album Release Special Live “7 DOORS”」が行われます。
ハルカまずバンドツアーがあって、8月と9月にはふたりだけでアコースティック寄りのツアーをやるんですけど、そのファイナルであり、スペシャルなライブが11月23日の公演ですね。ベストを出した後のライブだし、初めてのホールライブでもあるので、この7年間を総括しながら、いまの自分たちを表現したいと思っていて。バンドのライブでもない、ふたりだけのミニマムなライブとも違う、ふたりだからこそできることを模索しているところです。たとえばほかの音を入れたり、ゲストミュージシャンに入ってもらったり。映像の使い方も含めて、総合的に空間を作っていけたらなって。ふたりじゃなきゃできないことをもっと自由に表現していいと思うし、そういうところにやっとたどり着けたんです。
──生楽器と打ち込みを融合したステージは、いまのポップミュージックの流れとも合致してますね。
ミユキそうかも。私も海外の音楽が好きだし、ジェイムス・ブレイクとかThe xxみたいな音を研究してみたいと思っていて。11月のライブまでに試行錯誤があるだろうし、負荷もかかると思いますけど、それを超えたときに新しいものが見えてくるんじゃないかなって。
ハルカ新曲もやれたらいいなと思っていて。まだモチーフの段階なんですけどね。
──ベストアルバムを経て、音楽的にも次のタームに入りつつあるのかも。
ハルカベストを出したことで、浄化された感覚もあって。真っ白な気持ちで新しい曲に取り組めているんですよね。曲を作り続けていると、昔の曲に引っ張られるというか、「これは前にもやったしな」という感じがあるんですけど、それが全部なくなって。リセットしたような感覚で、素直にいまの気持ちを表現できそうな気がしていてます。
ミユキふたりだからこその強さを踏まえたうえで曲作りをやってみたくて。大変だと思うけど、すごく楽しみですね。
──歌詞の内容も変わってきそう?
ハルカそうかもしれないですね。マインドが違えば出てくる言葉も違うだろうし。もうちょっとフィクションみたいな曲も書いてみたいんですよ。ずっと内向きだったというか、自分自身のことを見ながら作ることが多かったけど、少しずつ周りの人の存在も目に入るようになってきたので。
──以前は“他者にあんまり興味がない”って言ってましたけど、それも変わってきた?
ハルカいや、基本的には変わってないですね(笑)。でも、ラクに周りが見られるようになってきたのかなって。それは曲にも出てくると思いますね。
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