兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第83回[2021年7月前半]編

コラム | 2021.07.21 20:00

イラスト:河井克夫

 音楽ライター兵庫慎司が、生もしくは配信で観たすべての音楽のライブや演劇やお笑いなどについて、短いレポを書いて半月に一度のペースでアップしていく連載、その83回目・2021年7月前半編です。
 今回は全部で6本、そのうち生で観たのが5本で配信が1本、音楽が5本で演劇が1本。セットリスト、普段は書いたり書かなかったりなんですが、今回は書きたくなるライブばかりだったので、芝居以外はすべて付けました。他にレポを書いた杏子も、そこに飛べばセトリがわかるようになっています。

7月3日(土)18:00 空想委員会@渋谷GUILTY/mahocast

 2021年6月前半編で、初日の6月4日(金)千葉LOOKを観て書いた(こちら ≫ 兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第81回[2021年6月前半]編)空想委員会の『社会復帰』ツアーの4本目、渋谷GUILTY。Mahocastで生配信あり、そのチケットは税込2,000円で7月9日(金)23:59までアーカイヴ視聴可能。当初はこの日がファイナルだったが、あとから翌日に、渋谷LOFT HEAVENにて、アコースティック編成での追加公演が発表になった。
 で。1本目の千葉LOOKと、全然違うセットリストだったことに、まずびっくりした。なので、ネットで探してみたら、2本目の6月21日(木)名古屋CLUB UPSETも、これまた違うセトリだった。千葉LOOKとこの日のGUILTY、書いておきます。
 6月4日(金)千葉LOOK:1 エンペラータイム 2 純愛、故に性悪説 3 名前を呼んでくれ 4 難攻不落ガール 5 マフラー少女 6 春恋、覚醒 7 恋愛下手の作り方 8 サヨナラ絶望人生 9 マイヒーロー 10 波動砲ガールフレンド 11 切illing Me Softly 12 八方塞がり美人 13 完全犯罪彼女 14 空想ディスコ 15 単独飛行少年史 En. エール
 7月3日(土)渋谷GUILTY:1 マイヒーロー 2 マフラー少女 3 桜色の暗転幕 4 春恋、覚醒 5 エンペラータイム 6 名前を呼んでくれ 7 独占禁止法 8 難攻不落ガール 9 波動砲ガールフレンド 10 23:50 11初手、リーサルウェポン 12 恋愛下手の作り方 13 純愛、故に性悪説 14 サヨナラ絶望人生 15 八方塞がり美人 16 完全犯罪彼女 17 切illing Me Softly 18 空想ディスコ En. エール
 というように、同じ曲目で同じ曲順だったの、アンコールの「エール」のみ。「難攻不落ガール」や「恋愛下手の作り方」などの、両日でやっている曲も、置き位置が違う、つまりライブの中で担う役割を変えてある。そういえばサポート・ドラマーも、1本目はCIVILIANの有田清幸だったが、名古屋・大阪・この東京はHAZE/大宮洋介だった。
 という違いも含めて、「同じツアーを2本観た感」ゼロ、やたら新鮮で、とても楽しかった。全公演配信もやっていたからそうしたんだろうけど、再始動のツアーなんだから1本1本を大事な、特別なものにしたい、というのもあったんだと思う。
 で、その思い、お客さんたちにしっかり届いていた。いや、「届いていた」くらいじゃないな、「ぶち刺さっていた」と形容した方がいいくらいの強さだった。コロナ禍ルールで声は発せないし暴れたりする人もいないが、それでも見ればわかる、すんごい熱の高さ。三浦委員長、間奏のたびに何度も、ステージの前方まで出て、ギターを弾きながらフロアを見回していた。幸せそうな、泣きそうな、なんとも言えない表情をしていた、毎回。その気持ち、よくわかった。

7月4日(日)17:00 Caravan@草月ホール

 昨年は無観生客配信で行った、それより以前にも(コロナ禍じゃなかったので)普通に有観客で行ったことのある、リクエスト・ライブ、今年は入場者数を抑えて草月ホールで開催。こういう、ファンからリクエストを募るライブっていろんなミュージシャンがやっているが、たいていの場合は事前にウェブ等でリクエストしてもらって曲を決めてからライブに臨む。Caravanが違うのは、来場者に曲名を書いてもらった紙を抽選箱に入れて、ステージ上で1枚ずつ引いて、その曲をぶっつけで歌う、というところ。譜面台はあるとはいえ、バンドじゃなくてひとりでのステージとはいえ、こんなむちゃなことに挑んでいる人、僕はCaravanしか知らない。「自分の曲だから歌えるでしょ」というものではないんです、決して。アルバム2作くらいしか出してない新人ならともかく、100曲以上あるんだから、持ち歌。
 なので、本人の緊張感はどえらいもんだろうが、観ている方は、普段なかなか聴けない曲もたっぷり味わえる、とても贅沢な時間だった。
 セットリストは、以下のような結果になりました。あ、本人が曲を選んでいい「チャンスカード」があったり、引いた曲が「さっきもう歌った曲」だったのでもう一回引き直したりしながら、リズムマシンを使ったり、ギターをループさせて重ねたり、マイクにひとりでハモれるエフェクトをマイクにかけたりしながら、進んでいきました。
 1 Slow Flow(チャンスカード) 2 Message 3 台風 4 旅について 5 Free Byrd 6 Julian 7 サンティアゴの道 8 Heavenly 9 Over 10 Stay 11 Back To Roots Again 12 Changes 13 Esperanza 14 黄金の道 15 Standin' On The Road  16 No Reason Blues 17 ハミングバード 18 ripper's Anthem 19 Camp

7月7日(水)18:00 フラワーカンパニーズ@新代田FEVER/Streaming+

 フラワーカンパニーズが毎月新代田FEVERで行っている企画『月刊フラカンFEVER』、ゲスト・アクトを迎えて対バン形式で行うことが多いが、今回は『七夕ワンマンショウ』と銘打ってワンマン公演。Streaming+で生配信もあり、税込2,500円で7月13日(火)23:59までアーカイブ視聴可。
 七夕なので、「夜」をテーマにした曲、あるいは「夜」が出てくる曲、という趣旨による、レア曲多数の特別なセットリストだった。「この曲やるの20年ぶり」とか、本人たちも言うほど。僕が個人的に大好きな「世田谷午前三時六分」もやってくれたりして、うれしかったので、全曲書いておきます。
 1 星の祭り 2 夜をまるごと 3 こちら東京 4 丑三つのライダー 5 流れ星だよ人生は 6 産声ひとつ 7 夜の海 8 世田谷午前三時六分9 深夜高速 10 星の旅人 11 星を見ている 12 せんちめんたるお月さん 13 ライトを消して走れ 14 夜空の太陽 15 脳内百景 16 Mr.LOVE DOG

7月8日(木)18:00 杏子@Bilboard Live Tokyo

 5月の開催予定が延期でこのタイミングになった、大阪・東京のビルボードライブ・昼夜二公演ずつの、ニューアルバム『VIOLET』のリリース・コンサート。レーベルが発信するオフィシャルレポを書きました。BARKSにアップされたものを貼っておきます。終わって「かっこよかったあ…」と声が出たライブでした。ぜひ。

BARKS:杏子、ビルボードライブで『VIOLET』発売記念ワンマン開催

7月12日(月)18:30 『物語なき、この世界』@渋谷Bunkamuraシアターコクーン

 作・演出:三浦大輔の舞台に、7年ぶりに峯田和伸が出演。その7年前の『母に欲す』も観た。映像での俳優仕事はすでに経験があったが、演劇はこの時が初めてだった峯田は「舞台は大変すぎた、もうやらない」と言っていた。なのにまたやるんだ? という興味もあったし、峯田以外も、岡田将生・柄本時生・内田理央・宮崎吐夢・米村亮太朗・星田英利・寺島しのぶ、と全員「それは観たい」と思わせるキャストだし、何よりも映画も舞台も含めて、三浦大輔作品を観て「今回はダメだった」とか思ったことがないもので、発売開始時刻にスタンバってチケットを取った。
 期待のはるか上を飛んでいくような作品だった。ちょっと衝撃的なくらい、よかった。始まってしばらくは「うわあ、三浦大輔だなあ」と何度も思いながら観ていく→途中から「え? こうなるの?」とか「あれ? 新しい」とか思い始める→最後に「やっぱりすんげえ三浦大輔だった! まいりました!」という気持ちになる、という流れだった。
 タイトルがそのまま作品のテーマになっているのだが、それにも非常にグッときた、というか、観る者が傍観者でいることを許さない強さがあった、とても。これを書いている時点ではまだ公演中なので、ネタバレは控えておきます。もう一回観たい、と思ったが、チケット、もうなかった。8月に京都公演もあるので、チケット取れたら行こうかなあ、いや、でも他府県に行っていい状況になっているかどうかによるなあ……と、迷い中。

7月14日(水)19:30 真心ブラザーズ@Streaming+

 桜井秀俊の53歳の誕生日の6月6日(日)に開催された配信イベント『誕生会 オン・ザ・テラス』に続いて、YO-KINGの54歳の誕生日に行われたのが、この『誕生会 イン・ザ・ハウス』。視聴券は税込3,300円、プラットフォームはStreaming+で、7月17日(土)23:59までアーカイブ視聴あり。前回は、ビルの屋上にあるオープンカフェのテラスみたいな場所(だったのかどうか知らないが、そういうふうに見えた)だったので「オン・ザ・テラス」、今回は「とあるお家からの生配信です」(公式サイトより)というわけで「イン・ザ・ハウス」、ということですね。
 1曲目は桜井からのプレゼント、「あいつが夢所からやってくる」の新バージョン、YO-KINGを誉め讃える内容の「あいつが手ぶらでやってきた」でスタート。で、乾杯したり、桜井が買ってきたおつまみを食べたり、桜井が竈門炭治郎を知らないことにYO-KINGが(視聴者も)驚いたり、と、ゆるく、大変に楽しいMCを多数はさみながらの、全10曲でした。
 1 あいつが手ぶらでやってきた 2 かっこいいだろ 3 雲の形が変化をした 4 不良 5 のり弁女 6 のりこえるの歌 7 アイアンホース 8 Song of You 9 空にまいあがれ 10 OH MERCI〜Echo,delay & tremoloを添えて〜

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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