※このコラムは2020年3月下旬頃に執筆されたものです。
喜怒哀楽の最初と最後が抜け落ちたような私だから、私の歌はどうしても後ろ向きだ。怒りだとか哀しみやらが、私の歌の根本であることが多い。時々、『前向きな曲は作ったりしないのですか?』なんて聞かれるけど、今のところ私から、その手の曲は沸いてきそうにない。なかには『幸せになったら前向きな曲が書けるのかもしれませんね…』なんて素っ頓狂なことを言ってくる人もいる。私は今日までたくさんの歌に救われてきたけれど、それらは決して前向きな曲だったわけではない。むしろどちらかと言えば、言いたくても言えないこと、吐き出したくても吐き出せないような想いを代わりに歌ってくれる歌でした。だから私の歌は前向きな歌というよりも、どこかドロッとしたものを感じるのかもしれない。大それたことを言うけれど、歌手であるからには私も歌で私のような誰かを救いたいのです。
話は変わりますがライブが出来ないことは凄くストレスです。コロナウィルスの影響で、イベントの自粛要請の延長が続き、私のツアーも東京公演に続き、大阪公演も延期になった。このままでは地元の岡山公演やその先もどうなることやら…。作ったものを届けられないことも、終わりの見えない敵と戦うのもひどく憂鬱だ。こんなことが起きるなんて想像もしていなかったけれど、アルバムの中の『神頼み』という曲が今日の閉塞感にしっくりくる。ひょっとして神様はこの世界に飽きてしまったのだろうか?神様への八つ当たり的なこの曲、良かったらご拝聴ください。
突然訪れた季節外れの夜長、音楽と共に過ごしてみたら良いのかも。私も随分と聴いていないあの曲を聴いてみようかしら。