海や山と並び、すっかり新たなレジャーとして浸透した“夏フェス”が、早くも全国各地で開催されている。国内外のアーティストが集う豪華なラインナップはもちろん、非日常的なロケーションと、同じ体験は二度とできないというスペシャル感も、人気を集めている理由だろう。
そんな夏フェスだが、規模の拡大によって会場や周辺施設のキャパを超えてしまい、いわゆる“フェス難民”と呼ばれるオーディエンスが続出。夏フェス・フィーバーの裏では、狭い日本ならでは特殊な現象も生まれているようだ。
フェス慣れしている常連ならば、スケジュール管理や宿泊場所はもちろん、いざという時に便利なアウトドアグッズやトイレの場所の確認など、準備万端で当日を迎えることだろう。しかし「話題になっているから」「なんとなく楽しそう」「あのアーティストが出演するなら…」というビギナーが増えてきているのも事実。また「興味はあるけど、すごく混雑するんでしょ?」「ステージを移動するだけで疲れちゃいそう」「会場が遠い!」という、野外フェスの過酷なイメージに躊躇している音楽ファンも少なくないのでは?
そんな“夏フェス遠慮組”のためにDI:GA online編集部が提案したいのが、“楽に行けるフェス”、略して「楽(らく)フェス」!
ということで、6月以降に開催される音楽フェスの中から、東京近郊に住んでいる人にとっては誰でも気軽に、しかも思いつきでサクッと行けてしまう“楽フェス”を独断でピックアップしてみた。
都市型 楽フェス
まず“行きやすさ”というポイントで推したいのが、都内なら電車やバスはもちろん、自転車でも行けてしまう都市型フェス。ここ数年で大きな盛り上がりを見せているジャンルで、中には複数会場を使用して行う“サーキット型イベント”も含まれている。
■DISK GARAGE MUSIC MONSTERS -2016 summer
都市型フェスの中でも特に注目したいのが、渋谷のライブハウスを使って8月28日(日)に開催されるのが『DISK GARAGE MUSIC MONSTERS -2016 summer-』。いま都内のライブハウスを中心に人気を集めている旬の若手アーティストが多数出演するため、耳の早いリスナーや若いファンに支持されている都市型フェス。とにかくフレッシュな音楽を浴びたい! という人にも最適だろう。第1段出演者は、ウソツキ/EVERLONG/ENTH/カフカ/GIRLFRIEND/サイダーガール/NECOKICKS/ LUCCIの8組が決定。
■YATSUI FESTIVAL! 2016
同じく6月18日(土)~19日(日)に東京・渋谷のライブハウスやクラブなど、全11会場で開催される『YATSUI FESTIVAL! 2016』。その名の通り、主催者は人気お笑いコンビ・エレキコミックのやついいちろう。芸人でありながらDJ活動するほどの音楽好きとして知られ、ミュージシャンとの交流も盛んなやつい氏がキュレーションを務めているだけあって、ラインナップもかなり独特。ロックやヒップホップ、DJだけでな く、アイドルからお笑い芸人、セクシータレントまで揃った、まさに“ごった煮フェス”と呼ぶに相応しい内容だ。思い立ったらフェスにいけるのも楽フェスの魅力(チケットが売り切れの場合はご注意を!)。
野外型 楽フェス
「都市型もいいけど、夏フェスといえば野外でしょ!」という人には、関東地方の野外フェスをご紹介。さすがに都心からは少し離れているが、ほとんどのフェスが最寄り駅にシャトルバスを用意しているので車がなくても問題なし。むしろ駐車場の心配などが不要なので、行き帰りも遠足気分で気軽に参戦できちゃう。
■PEANUTS CAMP
8月20日(土)~21日(日)に千葉県市原市の広大なキャンプ場「一番星ヴィレッジ」で開催される『PEANUTS CAMP』にはサニーデイ・サービスやスチャダラパー、GOING UNDER GROUNDといったベテラン勢から、シャムキャッツ、Awesome City Club、never young beachといった若手まで、いわゆる“シティ派”にカテゴライズされる人気アーティストが大集合。いま最も注目を集めているシーンであり、かつ年齢を問わず楽しめるラインナップと言えるだろう。
■BAYCAMP 2016
9月3日(土)に神奈川県川崎市東扇島東公園で開催される『BAYCAMP 2016』は、川崎駅からシャトルバスで十数分という好立地ながら開放的な野外フェスの醍醐味も味わえる、おいしいとこ取りのオールナイト・フェス。現在決定しているラインナップだけ見ても、Dragon Ash、ストレイテナー、The BACK HORNといった超人気バンドから、キュウソネコカミや水曜日のカンパネラなど人気急上昇中の若手まで、振り幅の広いラインナップは大きな魅力。中でも、独自のスタンスで異彩を放ち続けているTHA BLUE HERBやgroup_inouのパフォーマンスは必見だ。
アニバ!楽フェス
■いとうせいこうフェス~デビューアルバム『建設的』30周年祝賀会~
毎年恒例となっている人気フェスはもちろんだが、9月30日(金)~10月1日(土)の二日間にわたって東京体育館で開催される『いとうせいこうフェス~デビューアルバム『建設的』30周年祝賀会~』も見逃せない。現在は作家・クリエーターとしてテレビ番組でもおなじみのせいこうさんだが、実は日本で初めて本格的なラップを取り入れたミュージシャンであり、HIP HOPカルチャーを浸透させた立役者でもあるのだ。そんな偉大な“先輩”のアニバーサリーに駆けつけるのは、スチャダラパーやRHYMESTERといった直径の後輩から、真心ブラザーズ、そして自身も参加する□□□(クチロロ)などなど、超豪華なアーティスト陣。さらに、盟友・みうらじゅん、竹中直人、高橋幸宏、高木完といった、キャリア初期から親交の深い大御所の参戦も決定しており、まさにせいこうさんだからこそ実現した、超スペシャルなフェスと言えるだろう。
……いかがでしょう? ここで挙げた他にも多くの楽フェスがあるが、場所やジャンルも様々ならば、楽しみ方だって人それぞれ。フェスで夏の思い出を作る権利は誰にだってあるんです! 好みのアーティストや行きやすい場所などを基準に、まずはハードルの低い楽フェスで音楽をおもいっきりエンジョイしちゃってください!