アメリカの実験音楽家、ジョン・ケージといえば「4分33秒」を演奏をせずに沈黙するという前衛的な曲でも知られるが、そんな「4分33秒」をデス・メタルバンドがカバーした映像が1週間で11万再生も記録し話題となっている。
「4分33秒」をカバーしたのは、デスメタルバンドのデッド・テリトリー。冒頭でドラムスのプレイに合わせてギター、ベースがリフを刻み、ヴォーカルがクビを振りながら神妙な顔で「沈黙モード」に。沈黙の間、存在しないビートに委ねるベースとギター。黙祷のように微動だにしないボーカリスト。4分33秒は意外と長いことに気がつかされる。
時間が過ぎたタイミングで何の情緒もなくそれぞれが楽器を離れるのはメタル風のリアクションか!?いずれにしてもこの珍カバー、4月末の公開以来、さまざまな音楽サイトで紹介され拡散され結果11万再生を記録するスマッシュ・ヒットとなっているのだ。
とは言え「デスメタルによるジョン・ケージ」、このアイディア5年前にやっていた男がいたのだ。ただこの時代を先取りしたカバーで、ドラマーが一人で演奏するものの忍耐が足りなく途中で音を出して頓挫。マヌケといえばマヌケだがこの「未完」という結果も、メタル的といえばメタル的か…。その他にも一人9パートで「4分33秒」など、思いのほかこの曲のカバーは多いことが判明。
前衛的な楽曲の中で最も有名なこの曲。全3楽章から成り楽譜にはTACET(休憩)と指定されているだけなので、オーケストラでもドラムでもキーボードでも演奏するのはどの楽器でも構わず、この「デス」カバーも正当な完コピ曲といえるのではないだろうか?
記事提供:AOL News