テクノDJ/プロデューサーの第一人者であり、現在も第一線で活躍するジェフ・ミルズが、オーケストラを招いたスペシャルパフォーマンス『爆クラ! presents ジェフ・ミルズ × 東京フィルハーモニー交響楽団』を、東京 Bunkamura オーチャードホールで披露する。
米デトロイトで80年代にDJ活動をスタートさせて以来、エレクトロミュージックにおける先駆的作品を多く発表してきたジェフ・ミルズ。電気グルーヴの石野卓球が主催する大型屋内レイブ『WIRE』への出演でも知られ、日本でも高い人気を誇るテクノ界の大物アーティストだが、近年は世界各地の交響楽団と共に楽曲制作に取り組んでいることをご存知だろうか?
テクノとクラシックの融合と聞くと、かなり実験的な試みのように思うかもしれない。しかし、ジャズやロック、ヒップホップとの親和性が高く、テクノとも非常に共通点が多いクラシックに新たな可能性を見出していたジェフは、数年前から積極的にオーケストラと共に制作活動を行っていたのだ。
そんな彼が同公演で披露するメイン楽曲としてチョイスしたのは、2013年に発表したオーケストラ楽曲の新作であり、宇宙飛行士・毛利衛氏(日本科学未来館館長)とのコラボ作品でもある「Where Light Ends」。
伝説的テクノ・ユニット「UR(Underground Resistance)」のメンバーだった活動初期から常に“宇宙”を意識してきたジェフだけに納得の選曲だが、2012年に日本科学未来館でジェフとトーク・セッションを行った毛利氏も、彼に対して次のようにコメントしている。
「私がずっと考えてきたのは、科学技術が地球生命や未来のために何ができるのかということです。しかしジェフは、まるで宇宙からやってきたかのような感覚で、音楽によって私たち地球人がともに未来について考える力を与えてくれていたのです」
今回の公演では同曲のほか、ジョン・ケージ「4分33秒」や坂本龍一「Anger – from untitled 01」など、時間や空間、音響をテーマにした楽曲を披露。オーケストラとDJの単なるセッションにとどまらない、クラシックファンとクラブミュージックファンが同じ場所で音楽を楽しむという、全く新しいシーンの創生に立ち会うことができるはずだ。