
Photo 渡邉一生
SHISHAMO THE FINAL!!! 〜Thanks for everything〜 GOODBYE DAY
2026年6月14日(日)Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu (等々力陸上競技場)
まずは宮崎朝子と松岡彩がお出かけの準備をするオープニングムービー。真っ赤な2人乗り自転車で多摩川エリアをサイクリングしているシーンで映像が中継に切り替わり、自転車に乗った2人がスタジアムに登場した瞬間、凄まじい歓声が沸き起こる。ステージに上がった2人を待っていたのは、「THANKS SHISHAMO」と描かれた横断幕と、観客たちによるコレオグラフィー。客席全体で赤と白の用紙を掲げて会場全体で「SHISHAMO」のロゴを作り出すと、宮崎と松岡は満面の笑顔に。そして「すごい!何これ!びっくり、ありがとう!すごいプレゼントもらっちゃった(笑)。とどろき!SHISHAMOです!最後までよろしくおねがいします」(宮崎)という挨拶と「君と夏フェス」でライブは幕を開けた。
Photo 渡邉一生
Photo 旭
軽快なギターカッティングに導かれた超ピュアな片想い&告白ソング「好き好き!」、エッジーなギターリフ、“失恋しても一人で生きていく!”とがんばる女の子を生き生きと描き出す「生きるガール」。前日とは異なる楽曲も取り入れたセットリストからは、“2日間でできるだけたくさんの曲を演奏したい”というメンバーの思いが伝わってくる。
Photo 渡邉一生
曇り空を見上げながら「きれいな曇り……。とどろき!こんにちはSHISHAMOです」と挨拶する宮崎。「今日は“GOODBYE DAY”。みんなと最高のサヨナラができるようにこのステージに立ってます。いい1日にしましょう!」と声をかけた後、「量産型彼氏」を演奏。オーディエンスが“あ〜あ〜あ〜”のコーラスパートを合唱し、ステージと客席の距離がグッと近づいていく。
さらに、ふわふわと可愛いメロディラインと哲学的な歌詞が一つになった「ハリボテ」(松岡のハモリがきれい!)、松岡が家族を思って綴った歌詞を洗練されたポップチューンに昇華した「はなればなれでも」、“君”との恋愛によって変わってしまった“私”の感情を生々しく歌い上げた「真夜中、リビング、電気を消して。」を披露。恋愛という行為の奥深さ、多彩さ、複雑さを様々な角度から描いた歌詞、3ピースバンドの奥深さを感じさせるアンサンブル、あまりにもリアルな表情をとらえたボーカルなど、SHISHAMOというバンドの魅力がグイグイと迫ってくる。そのときに浮かんできたのは、「本当にいいバンドだな」というあっけないほど当たり前の感想だった。
Gt,Vo 宮崎朝子 (Photo 渡邉一生)
宮崎「CDデビューから13年。松岡は12年か。どうでした?」
松岡「いろいろありましたよ、本当に。振り返ると楽しいことを思い出しますね」
宮崎「そうなんだよ。パッと思い出すのが、何気ないことだったりするの。あのライブが……というよりサービスエリア楽しかったなとか。あと、うちら、何回演奏したんだろう?って考えちゃう」
という何気ないやり取りも「これが最後なんだな」と思うとジーンとしてしまう。
筆者が初めてSHISHAMOにインタビューしたのは2013年の秋、1stアルバム「SHISHAMO」のリリースタイミングだった。その後、松岡が加入し、2015年に初の野音、2016年に初の武道館、2019年にはさいたまスーパーアリーナ公演を実現した3人は、いい曲を作る、いい演奏をするというバンドとしての姿勢をしっかりと貫きながら、まったくブレることなくここまで活動を続けてきた。本当に芯が強いバンドだったのだ、SHISHAMOは。
Ba 松岡彩 (Photo 渡邉一生)
スタジアムが夕闇に包まれていくなか、子どもから大人になっていく時期の揺れを感じさせる「水色の日々」、宮崎が弾くアコギの音色と切ない歌声が夕方の空に溶けていった「夏の恋人」、さらに「ハッピーエンド」「夢で逢う」という珠玉の失恋バラードを連ねて、会場全体を豊かな感動で包み込む。「運命と呼んでもいいですか」における、美しくも激しいボーカルも本当に素晴らしい。
終盤戦の最初の曲は「狙うは君のど真ん中」。ステージには炎が立ち上がり、アグレッシブなサウンドを際立たせる。性急なビートに乗って観客が身体を揺らした「OH!」では熱いフレーズでテンションをさらに引き上げる。本編のラストは、ファンの間で支持されてきた「恋する」。かっこいいロックンロールと可愛らしい歌詞が響き合うこの曲は、まさにSHISHAMOの真骨頂だ。
Photo 渡邉一生
アンコールの1曲目はミディアムバラード「またね」。抒情的な匂いをたたえたメロディとともに広がったラインにまたしても胸を抉られそうになる。
「この1年半くらいかな、この人がいなければSHISHAMOは走り続けることはできませんでした」(宮崎)と紹介された歌川は、やっぱり感極まった表情。「SHISHAMOの存在と楽曲に日々、元気をもらっていました。13年間パワーを与え続けるのはホントにすごいことだと思っていて。自分もバンドをやってたから思うんですけど、同じ時代を生きたバンドマンとして、こういうピンチに力を貸すことができたのがとてもうれしかったです。大好き!」(歌川)と心のこもったメッセージを送った。
Photo 渡邉一生
「こんなにいい景色を見せていただいて、本当に感謝しています。SHISHAMOは今日で終わるんですけど、明日から、みんなに笑顔で生きていってほしいなと思ってます」(宮崎)という言葉に導かれたのは「メトロ」。そのフレーズには、観客ひとりひとりに向けられた宮崎の思いが強く刻まれていた。
Photo renzo
無数のスマートフォンのライトがスタジアムを彩るなか、宮崎と松岡が再びステージに上がる。「これはずるいよ!」とめちゃくちゃ嬉しそうな宮崎。そして「アンコールのアンコール、ありがとうございます。ドラム、吉川美冴貴!」という声とともに吉川が走り込んできて、お立ち台の上でSHISHAMOタオルを掲げる。宮崎、吉川、松岡の3人で放たれたのは、昨日と同じく「明日も」「明日はない」。シャープなビートを繰り出しながら大きな声で歌う吉川の姿を目の当たりにして、前日以上の感動で胸がいっぱいになる。
Dr 吉川美冴貴 (Photo 渡邉一生)
ここでメンバーの3人は、それぞれの思いをしっかりと言葉にしていく。まずは吉川。
「こんばんは、お久しぶりです。ドラムの吉川です。このたびはご心配をおかけしました。休んでる間、大好きだったドラムが思うように叩けなくなったり、音楽が聴けなくなってしまったり、心が折れちゃいそうなことがいっぱいあって。ステージに立つことを完全に諦めたこともあったんですけど、やっぱりどうしても、最後に皆さんにお会いして、『ありがとう』と『さよなら』を伝えたくて、その一心で今日まで練習してきました。今日こうやって2人と同じステージに立てて、皆さんにお会いできて、めちゃめちゃうれしいです。いろんなことが報われました」
「軽音部時代から遡ると16年間、ホントに私はずっとずっと幸せでした。もちろん楽しいことばかりじゃなくて、くじけそうになること、もうダメだと思うこともたくさんあったんですけど、移動中の車とかリハーサルスタジオとかで2人と他愛もない話をして、涙が出るほど笑ったりとか、今日もそうですけど、皆さんが見せてくれた景色とか、そういう一瞬一瞬がかけがえのない宝物になりました。SHISHAMOの音楽はこの先何年も何十年も皆さんの側にあり続けます。私たちが皆さんと過ごしたかけがえのない日々は宝物になって、私のなかにずっと残って、絶対に消えないです。その宝物を力に変えて、明日から新しい自分を生きていきます。みなさんにとってもSHISHAMOと過ごした時間、そして音楽が力になったら本当にうれしいです。生まれてきてよかったです。SHISHAMOに出会えてよかったです!」
続いては涙で顔をグシャグシャにした松岡。
「私はすごくラッキーな女だなと思っていて。だって私、高校生のときに普通にSHISHAMOを聴いていた人間ですから。みんなと同じように音楽を楽しんでいたんですけど、あれよあれよという間にメンバー、仲間として入れてもらって、こうやって3人で音楽を鳴らし続けられて、こんなことってないよなって思っています。でも、後から入ってるし、『私じゃなくてもいいんじゃないかな。自分がここにいていいのかな』と不安に思うこともたくさんありました。そんななかでも、みんながいてくれて、みんなが私を肯定してくれたから、ここまでくじけず続けてこれたと思ってます。いろんな出会いを、いろんな縁をいただいて、それは財産だし、宝物だと思ってます。今日でSHISHAMOとはサヨナラですけど、宝物は自分のなかに残っていくから、これからも大丈夫だって胸を張って言えます。私にとっては12年間、本当にありがとうございました」
そして宮崎が「私はSHISHAMOというバンドがホントに大好きです」と語り始める。
「このバンドのためならなんでもできるって心の底から思います。だけど、こんなふうに思える何かに、また、この先も出会えると思ってます。寂しく聞こえたらごめんね。人生は意外と希望ばかりだなと思っているんですよ。私は昔から何をやっても続かなくて、何もなくて、根性なしで。そんな私が、すっからかんになるまで自分のすべてを注げるものに出会えたんだから、SHISHAMOとは今日でお別れだけど、また何かに熱中して生きていきたいと思ってます。そう思わせてくれたのはSHISHAMOの存在のおかげです。みんなだってそう、何だってできるじゃないって思うんです。SHISHAMOという生命体として泳ぎ続けられて、本当に面白い13年間でした。SHISHAMOを愛してくれてありがとうございました」
Photo 渡邉一生
大きな拍手と歓声、そして、「もう1回言っていい?本当にありがとうございます!本当に本当にありがとうございました!みなさんお元気で。愛してるよ!SHISHAMOでした!」(宮崎)という言葉から始まったラストライブの最後の楽曲は「僕に彼女ができたんだ」。サビのフレーズと観客の強いハンドクラップが高らかに響き合う最高のフィナーレだ。
宮崎、松岡、吉川は観客に向かって何度も感謝を伝え、ステージの真ん中でがっちりとハグ。3人がステージを後にすると、夜空にはドローンによる「SHISHAMO THE FINAL!!!」「Thanks for everything」の文字とSHISHAMOのロゴが鮮やかに浮かび上がった。
Photo 旭
Photo renzo
SET LIST
01. 君と夏フェス
02. 夏恋注意報
03. 好き好き!
04. 生きるガール
05. 量産型彼氏
06. ハリボテ
07. はなればなれでも
08. 真夜中、リビング、電気を消して。
09. きっとあの漫画のせい
10. 水色の日々
11. 夏の恋人
12. ハッピーエンド
13. 夢で逢う
14. 運命と呼んでもいいですか
15. 狙うは君のど真ん中
16. 最高速度
17. タオル
18. OH!
19. 恋する
ENCORE
01. またね
02. 恋じゃなかったら
03. メトロ
W ENCORE
01. 明日も
02. 明日はない
03. 僕に彼女ができたんだ
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