
Photo 旭
SHISHAMO THE FINAL!!! 〜Thanks for everything〜 THANKS DAY
2026年6月13日(土)Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu (等々力陸上競技場)
高校卒業後に本格的なバンド活動をスタートさせ、2013年11月に1stアルバム「SHISHAMO」でCDデビューを果たしたSHISHAMO。「君と夏フェス」「明日も」などのヒット曲によって幅広い支持を集め、13年間に渡ってバンドシーンを駆け抜けてきた。
昨年9月に2026年6月をもって活動を終了することを発表。今年2月からラストツアー「SHISHAMO ファイナルツアー2026『さよならボヤージュ!!!』」を行い、ついにラストライブを迎えた。両日3万5000人の観客が足を運んだ「SHISHAMO THE FINAL!!! 〜Thanks for everything〜」。この大舞台で彼女たちは「これこそSHISHAMOだ!」と快哉を叫びたくなる、本当に素晴らしいステージを見せてくれた。
夏みたいな日差しを浴びながら会場のとどろきスタジアムに到着すると、まるで夏フェスのような雰囲気が広がっていた。フードエリアにはSHISHAMOゆかりの店、川崎フロンターレ戦でおなじみの店を含む全15店舗が出店。さらにイベントスペースではSHISHAMO縛りのカラオケステージや、SHISHAMOとゆかりのあるスポットを巡る企画「SHISHAMO かわさきスタンプラリー」など、会場に入る前からSHISHAMOを体感できるコーナーや企画が目白押し。バンドのロゴTシャツを着たオーディエンスたちもみんな笑顔、めちゃくちゃ楽しそうだ。
スタジアムに入ると爽やかな風が吹き抜けている。BGMはいつものようにTheピーズ。少しずつ席が埋まっていく様子を見ていると、女性のお客さんの「私たち、何回くらいSHISHAMOのライブ行ったかな?」という声が聞こえてきて、「これで最後なんだな」としんみりしてしまいそうになる。
Photo 編集部
そして17時過ぎ、ついにライブがスタート。スクリーンに映されたのは、宮崎朝子(Gt,Vo)と松岡彩(Ba)。朝起きて、ごはん食べて、着替えて、メイクして、外に出て、2人で待ち合わせて、散歩して、タンデム自転車に乗ってとどろきスタジアムへ……という姿が映し出される。お馴染みの登場SE(SAKEROCKの「URAWA-City」)が流れるなか、宮崎&松岡は自転車に乗ってスタジアムに登場。笑顔で手を振りながらアリーナをぐるりと1周(スクリーンに“すごっ!”と言ってそうな宮崎さんの表情が映ってました)し、そのままステージへ。宮崎、松岡、そして休養中の吉川美冴貴に代わってサポートドラムをつとめる歌川菜穂(el tempo / ex. 赤い公園、THE 2)が定位置に付き、宮崎がギターのイントロを弾き始めると、うわぁ!という歓声が起きる。「君と夏フェス」。この曲でSHISHAMOと出会った人も多いであろう、2014年の1stシングルだ。真ん中のお立ち台に立ってベースを弾く松岡もめっちゃ笑顔。いつものように元気いっぱい、楽しい雰囲気でライブは幕を開けた。
Photo 渡邉一生
続いては“これ以上好きになるのはヤバい”という感情を描いた夏ソング「夏恋注意報」。さらに宮崎がキーボードでイントロを弾き、切ないほどに真っ直ぐな恋人への思いを映し出す「君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!」、自分を輝かせることの大切さをテーマにした「笑顔のおまじない」を披露。SHISHAMOとオーディエンスをつないできた楽曲が次々と放たれ、大きな会場がゆっくりと一つになっていく。
Photo 渡邉一生
「とどろき!」。両手を突き上げた宮崎が笑顔で叫ぶ。「イエー!」と応える観客を見ながら、最初のMC。
「こんにちは、SHISHAMOです。本日は『SHISHAMO THE FINAL!!! 〜Thanks for everything〜 Day1“THANKS DAY”』にお越しくださって、ありがとうございます。無事開催できました!」
という挨拶から、まずはUvanceとどろきスタジアム by Fujitsu (等々力陸上競技場)公演について説明。2018年に予定されていたこの場所での公演は台風接近の為に中止に。さらに2020年に行うはずだったリベンジ公演もコロナ禍で実現できず、今回が“3度目の正直”だったのだ。この日のために初めて気象神社にお参りしたという宮崎と松岡。最後の最後にようやく開催できたこの公演を晴天で迎えられたことは、彼女たちにとって何よりの喜びだったはずだ。
Gt,Vo 宮崎朝子 (Photo 渡邉一生)
「今日は“THANKS DAY”ということで、13年間の感謝を伝えるべく、このステージに立っています。最後までよろしくおねがいします!」(宮崎)という言葉に導かれたのは、2014年リリースのシングル「量産型彼氏」。ギター、ベース、ドラムの鋭利なフレーズがぶつかり合い、ラップのように言葉を詰めた歌詞とキャッチーなサビメロが響き合う「ひっちゃかめっちゃか」、タメをきかせたギターを軸にしたアンサンブルが心地いい「君の大事にしてるもの」、このバンドの特徴の一つである切ないポップネスが真っ直ぐに伝わってきた「かわいい」、疾走感と鋭さと可愛らしさが一つになった「きっとあの漫画のせい」へと続く。結成以来、スリーピースバンドであることにこだわってきたSHISHAMO。この日のライブからも、ギター、ベース、ドラム、歌による編成の可能性をポップに広げてきた彼女たちの軌跡をはっきりと感じ取ることができた。
Photo 旭
2度目のMCでは松岡が「楽しんでますか!とどろき!」とやっぱり笑顔で話しかける。
「カラオケ、熱唱するの聞こえてました。メンタル強くない?(笑)」(宮崎)「全力で楽しんでいるのが伝わってきました。ありがとうございます!」(松岡)というやりとりの後は、これまでの活動を振り返るトークへ。
“意外と何気ない瞬間を思い出すんですよね。ツアーの移動日に名所にいったり、温泉入ったり”“CDもいっぱい作って、レコーディングもたくさんして”と話し、「バンドやってるといろんな大変なこともあったり、背負うこともあったけど、そのおかげでいい作品が出来たと思ってます」(宮崎)という言葉に会場からは大きな拍手が送られた。
Ba 松岡彩 (Photo 渡邉一生)
さらに松岡が加入したときの合宿のエピソードも。
宮崎「思い出に残ってるのは、バーベキューとか温泉(笑)」
松岡「私、18歳だったんですけど。眠い時期だったんですよね」
宮崎「そうなの、すぐ寝ちゃって(笑)」
という何気ないお喋りを挟み、「みんなのおかげでいいバンド人生を送らせてもらってましたよ」とさりげなく伝える宮崎。楽しさのなかに少しだけ淋しさが入り混じる。
Photo 旭
叙情的なメロディと“もうどこにも行かないで”という切実な思いが溶け合う「花」からは、SHISHAMOの奥深い音楽性が感じられる時間が続いた。
まずはソウルミュージックのテイストを反映させたミディアムチューン「熱帯夜」。じっとりとした空気の夏の夜のなかで“私”は一人、“君”のことを思う。そこから浮かび上がる寂寥と焦燥もまた、SHISHAMOの本質だ。
宮崎がアコギを奏でた「夏の恋人」、失恋した後の日々と諦めきれない想いを綴った「夢で逢う」、そして、新曲「運命と呼んでもいいですか」へ。“何があってもあなたを選び続ける”という深い愛を歌ったこの曲は、宮崎自身が“恋愛ソングの集大成”と呼ぶ最後の名曲だ。
Photo 渡邉一生
宮崎「ここから終盤戦に行きたいと思います」→観客「えー!?」→宮崎「いつもありがとう。ここからもっともっと元気にいけますか!?最後までよろしくおねがいします!」という見事な連携プレイからアッパーチューン「最高速度」が放たれる。ステージには炎が上がり、スタジアム全体の熱気はさらにアップ。キレキレのギターリフに呼応してハンドクラップが鳴り響いた「ねぇ、」を挟み、ライブの定番曲「タオル」。10年以上“ぐるぐるぐるぐるぐる”してきたファンも多いだろうな……と思いながら、楽しそうにタオルを回す観客の姿に勝手にグッと来てしまう。
さらにSHISHAMO流のメロコアチューン「OH!」を披露、本編ラストの「恋する」へ。スクリーンには2014年〜2025年までのライブ映像が映されるなか、ポップで軽やかな宮崎の歌声が響き渡る。しんみり感はまったくない、華やかなステージングがビックリするほどSHISHAMOらしくて、またしてもグッと来てしまった。
Photo 渡邉一生
「ありがとー!」「SHISHAMO大好き」という声が飛び交うなか、メンバーが再びステージへ。アンコールの1曲目は「ハッピーエンド」。別れを肯定するようなーーたとえそれが本心でなかったとしてもーーこの歌は、これ以上ないほどラストライブに相応しい。
最後のオリジナルアルバム「SHISHAMO 8」の最後の曲として収められた「恋じゃなかったら」を披露し、メンバーがそれぞれの思いをゆっくりと話し始める。
Photo 旭
この1年半、SHISHAMOのサポートをつとめた歌川が伝えたのは、「私自身もSHISHAMOの曲にパワーをもらう日々でした。純粋にすごく楽しかったです」という感謝。そして松岡は、音楽を好きになったきっかけ、2014年にバンドに加入してからの日々、葛藤や不安を乗り越えられてきたのはファンの人たちのおかげ……と涙を浮かべながら話し、バンドに誘った宮崎に改めて感謝を伝えた。最後は宮崎。自分が成長していくのも面白いし、バンドが大きくなって、いろんな人に出会える、その繰り返しもすごく面白かった……と言葉を重ねいく。
「まさか最後にこんな景色を見せてもらえるとは思ってなくて。それはスタッフの皆さんだったり、ずっとついてきてくれた皆さんのおかげです。本当にありがとうございます」「SHISHAMOが終わるというのは、みんなとのお別れでもあって。ライブ中にみんなを見てるのが好きでした。バンドをやってくなかで、死にモノ狂いでがんばったこと、なんでこんなことしなきゃいけないんだ!?という瞬間とか、活動のなかでのしょうもない疑問の答えに、いつもみんなが答えになってくれました。活動の全部がみんなに向いてた。みんながいるからやり切れました。本当に最高。素晴らしいお客さんでした。いちばんかわいい、いちばん素敵。本当にそう思ってます。最高のお客さんでした大賞あげる!」
心を尽くした感謝の言葉に対し、客席からはこの日いちばん大きな拍手が送られた。
ここで演奏されたのは、「メトロ」。そのフレーズを手渡す場面はまちがいなく、観客ひとりひとりの胸にしっかりと刻まれたはずだ。
手拍子と歓声は鳴り止むことなく、宮崎と松岡がもう一度ステージに。「アンコールのアンコール、ありがとうございます。ドラム、吉川美冴貴!」と宮崎がコールし、吉川がステージに走り込んでくる。宮崎、松岡、吉川の3人で演奏されたのは、代表曲「明日も」。キレのいいビートが鳴り響き、SHISHAMOが戻ってきた!という感激と感動が押し寄せる。間髪入れず「明日はない」へ。しっかり前を向いて力強く歌い上げる宮崎の凛とした表情に心を揺さぶられる。
Photo 栗野果林
吉川は「ありがとうございます!こんばんは、お久しぶりです。ドラムの吉川です!」と元気よく挨拶。休養中の状況を丁寧に話し、「最後にどうしても、みなさんにありがとうとさようならを言いたくて。その一心で練習してきました!」「私のことを必死に支えてくれた家族、気にかけてくれた友達、いつもいつも私の話を聞いてくれたスタッフのみなさん。私が“もうダメだ”と諦めたときも、“いや、吉川と演奏したい”と一緒に演奏する事を諦めないでいてくれた朝子と松岡。たくさんアドバイスくれたり連絡をくれた菜穂さん。ずっと信じて待っててくださったみなさん。最後に、大好きなSHISHAMOに帰ってくることができました。SHISHAMOは私の青春です、2人は、みんなは、私の誇りです。本当にありがとうございました」と大きな声で伝え、会場からは心のこもった拍手と歓声が送られた。
Dr 吉川美冴貴 (Photo 旭)
「SHISHAMOです!最後にこの3人でステージに立てて、それをみんなに見てもらえて。本当にうれしいです」と宮崎が笑顔で話し、吉川が作詞した「僕に彼女ができたんだ」へ。シャープなギターリフ、しなやかなグルーヴを描き出すベース、心地よく疾走するドラムが共鳴するなか、ライブはエンディングを迎えた。
端から端まで移動し、しっかりと感謝を伝えてステージを降りた3人。そして空にはドローンによる“SHISHAMO THE FINAL”の文字が。「ありがとう!」という声が飛び交い、バンドとオーディエンスの“THANKS”が一つになったDAY1公演は幕を閉じた。
Photo 渡邉一生
Photo 旭
SET LIST
01. 君と夏フェス
02. 夏恋注意報
03. 君の目も鼻も口も顎も眉も寝ても覚めても超素敵!!!
04. 笑顔のおまじない
05. 量産型彼氏
06. ひっちゃかめっちゃか
07. 君の大事にしてるもの
08. かわいい
09. きっとあの漫画のせい
10. 花
11. 熱帯夜
12. 夏の恋人
13. 夢で逢う
14. 運命と呼んでもいいですか
15. 最高速度
16. ねぇ、
17. タオル
18. OH!
19. 恋する
ENCORE
01. ハッピーエンド
02. 恋じゃなかったら
03. メトロ
W ENCORE
01. 明日も
02. 明日はない
03. 僕に彼女ができたんだ
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