兵庫慎司のとにかく観たやつ全部書く:第203回[2026年2月前半・Caravan、フラカン、真心、ドーパンとアート、ヒグチアイなどの6本を観ました]編

コラム | 2026.03.18 17:00

イラスト:河井克夫

音楽などのライター兵庫慎司が、基本的に音楽、時々それ以外(演劇とかお笑いとかプロレスとか)の、自分が生で観たライブ(たまに配信もあり)のすべてのレポを書いて、半月に一回アップしていく連載の203回目=2026年2月前半編です。2月は28日間なので、「1日から14日まで」と「15日から28日まで」に分けました。以下、その期間に観た6本です。

2月1日(日)18:00 Caravan @ CLUB CITTA'

毎年この時期のCaravanの恒例行事的ワンマン『新年祭』。今年も最高。DI:GA ONLINEにレポを書きました。
Caravan、ハンドクラップ&シンガロングが響き渡った恒例行事の新年祭

2月4日(水)19:00 フラワーカンパニーズ@下北沢シェルター

ツアー「フラカンのチョイナチョイナ’25/’26」の中の、二度目の東京公演にして、毎年恒例・上京記念日ライブ。32年前に上京したのがこの日で、毎年必ずなんかしらのライブをやっているが、2024年・2025年・2026年は、上京前からお世話になっていたシェルターでのワンマンが続いている。
というわけで、遠藤賢司「夜汽車のブルース」のカバーで始まったり、毎年この日にしかやらない「上京14才」を「上京32才」に変えて歌ったり、アコースティック編成でのツアー『フォークの爆発』以外でやることはめずらしい「下北沢へ出かけよう」を演奏したり、と、上京記念日ならではの、レア曲多数のセットリスト。
なお、この連載の前回でも書いたように、現在、膝などが不調なグレートマエカワは、この日も座ってベースを弾いていた。が、中盤の「モンキー」の途中で、ボーカル鈴木圭介が、激しく動いた拍子に左足を故障。イスを出してもらって座って歌おうとしたが、「いや、やっぱり歌いにくい」と、それ以降も立って、ただし身体はあまり動かさないようにして、歌った。
その日の深夜にアップされた公式ブログによると、体内でブチッと音がして激痛が走った、肉離れだと思う、明日整形外科へ行って来ます、とのこと。
終演後、楽屋で具合をきいた時も、そう言っていた。が、「でも、声は全然絶好調だから大丈夫」。強がりでそう言っているわけではなくて、過去に、ノドを酷使しすぎて声が出なくなって大変だった時期を、何度も経験しているので、それに比べたら足のケガで動きにくいぐらい、大したことじゃないんだと思います。確かに、2025年9月20日の日本武道館が終わって以降も、声、絶好調なまんまだし。

2月7日(水)17:30 真心ブラザーズ@ EX THEATER ROPPONGI

ツアー『have a nice TRIP!』のファイナル。今回のツアーは、ベースは、過去にレコーディングで弾いたことはあるが、ライブは初参加のレピッシュのtatsu。ドラムはおなじみウルフルズのサンコンJr.。
ファンはよく知っていることだが、もうかなり長いこと、真心の桜井秀俊はウルフルズのサポート・ギタリストを務めている。つまりお互いにサポートし合っているわけで、なるほど、いいシステム、それならお互いライブのスケジュール切りやすいよね、と、この体制が始まった時に思ったものです。真心はツアーによってサポート・ミュージシャンを替えるので、サンコンが叩かない時もあるんだけど。
で、このツアー、リリースに紐付いたものではない、というのもあってか、歴代の人気曲以外に、レアな曲もちょいちょい入るセットリストだった。特にうれしかったのは、5曲目に「ウジ虫以下」をやったこと。過激でトガッていた初期真心のアルバムの中でも、もっともその傾向が激しい1991年リリースのサード・アルバム『あさっての方向』の収録曲である。イントロで「うわあ!」となった、このアルバムもこの曲も大好きなもので。
当時の真心は、そのままの歌詞ではリリースできない曲も、よく作っていた。この「ウジ虫以下」もそうで、部分的に歌詞を直してレコーディングされた曲である。
なお、問題の部分を直すと曲の根底が崩れてしまうので、ライブで歌っただけでお蔵入りになった曲もある。これの1枚前のアルバム『勝訴』の5曲目、「幸福の瞬間」の間奏に、一瞬だけ別の曲の歌い出しが入っているのが、それです。「爆笑ワルツ」という曲でした。

2月8日(日)18:00 ART-SCHOOL、DOPING PANDA @ LIQUIDROOM

ART-SCHOOLの25周年トリビュート・アルバム『Dreams Never End』のシリーズ・イベントで、そのトリビュート・アルバムに参加したバンド1組もしくは2組と対バンしていく、という企画。全部で7本あるうちの3本目が、この日である。
フルカワユタカと木下理樹、昔から仲がいいのは知っていたので、前者が後者のトリビュート・アルバムに参加したことにも、こうして対バンするのことにも、納得。だが、数曲演奏したところの最初のMCで、フルカワユタカ、「噛ませ犬じゃねえぞ俺は!」と叫ぶ。
え、なんのこと?と思ったら、この3日後に行われる同シリーズの4本目=同じリキッドルームでART-SCHOOLがストレイテナーと対バンすることを、言っていたのだった。そうだ、ストレイテナーのベースのひなっちこと日向秀和とギターのOJこと大山純は、もともとART-SCHOOLのメンバーで、その2組が対バンするというので、話題になって、チケットが完売したんだった。
そういえば、そのふたりが最後にART-SCHOOLで演奏したライブ、観てるわ、俺。2003年12月31日、その年が初開催だったCOUNTDOWN JAPANのGALAXY STAGEでした。演奏が終わって理樹とドラムの桜井雄一がはけたあと、最後にふたりがステージに残って、揃ってお辞儀してから去った、その姿を憶えています。
DOPING PANDAは、「beautiful survivor」で始まり、「Imagine」「The Fire」「I’ll be there」等々を経て、「MIRACLE」と「Crazy」の連打でアゲまくって終わる、それはもううれしい全12曲。だったが、イントロが始まった瞬間にもっともフロアが湧いたのは、8曲目=トリビュート・アルバムに提供した、ART-SCHOOL「foolish」のカバーだった。そりゃまあそうよね、この日は。
対するART-SCHOOLは、本編14曲アンコール2曲の全16曲で、昨年8月に出たばかりの最新作『1985』からの曲は、1曲目「We Are All Broken」、10曲目「1985」、12曲目「Outsider」の3曲。アンコールはDOPING PANDAがカバーした「foolish」と、出た、「あと10秒で」。
にしても、今のART-SCHOOLって最強だなあ、と、ライブを観るたびに思う。このメンバーになってもうだいぶ経つが、2022年に理樹が復調して活動再開したタイミングで、サポート・ギターのやぎひろみが加わってから、さらに強力になったし。
とか思いながら観ていたら、MCで理樹が「DOPING PANDAのライブ、今がいちばんいい」みたいなことを言った。いや、ART-SCHOOLもそうだと思いますよ、と言いたくなった。
あと余談。ART-SCHOOLとDOPING PANDAは、昔、同じマネージメントの同じ部署に所属していた。で、この日、最初にART-SCHOOL、次にDOPING PANDAのマネージャーだった、Kさんが観に来ていた。DOPING PANDAと離れてから別の会社に移り、今はそこの社長になっている方です。感慨深げに観ておられて、こっちまで何かしみじみしました。

2月9日(月)18:30 Redhair Rosy @ 渋谷LUSH

『【full house】presented by Zyypsshy』というイベントに、京都のバンド、Redhair Rosyが出るのを観に行った。前身バンド=the Mcfaddinの頃に、インタビューを一回、ライブレポを一回書いたことがある。それ以来、4年ぶりにインタビュー仕事の依頼があって「渋谷LUSHのイベントで東京に来るのでその翌日に」という話だったので、「じゃあぜひライブも見せてください」とお願いしたのだった。
メンバーにVJもいる6人編成で、the Mcfaddinの頃はサポートだったベーシストが正式メンバーになったこと以外は変わっていないし、音楽性も大きく変わってはいなかったが、ライブ・パフォーマンスが以前よりも陽性というか、積極的にオーディエンスを巻き込んでいこうとする感じになっていて、そして実際に巻き込んでいて、そのへんもバンド名を変えた理由なのかな、と思った。見た目も音もかっこいいし、楽しいし、伝わってくるものがとてもある。翌日に行ったインタビュー、アップされたら貼ります。
Redhair Rosy、EP三部作の最終章をリリース。前身バンド=the McFaddinを経て、2026年の今、目指していること──Vo.Ryosei単独インタビュー

2月13日(金)19:30 ヒグチアイ@ Zepp DiverCity(TOKYO)

ニューアルバム『私宝主義』のリリース・ツアー『ただわたしがしあわせでありますように』(いいタイトルだなあ、と、つくづく思う)、前半はひとりでピアノ弾き語りで全国8本回って、後半はバンド編成で東名阪と韓国と台湾を回る、そのバンド編の1本目がこの日。
なので、セトリ等のネタバレはしないでおくが、その『私宝主義』に入っている11曲はすべてやってくれたのがとてもうれしかったし、良かった。本当に好きなアルバムなので。このアルバムの特設サイトに彼女のインタビューが3本載っていて、そのうち2本は私なので、未読の方、ぜひ。
【ヒグチアイ】私宝主義 オフィシャル特設ページ
それから。弾き語りの時も、バンドの時も、アンコールで未音源化の新曲を歌うことが、この人、恒例になっている。このツアーもそうでした。で、いつもに増して、超強力な歌でした。

  • 兵庫慎司

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    兵庫慎司

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