音楽家・渡辺 翔が、活動20周年を記念して自身の楽曲しばりのフェス「Sho Watanabe 20th Anniversary Fes.2026 supported byリスアニ!」を開催

インタビュー | 2026.01.30 18:00

渡辺 翔の音楽家活動20周年を記念した、渡辺 翔の楽曲しばりのフェス「Sho Watanabe 20th Anniversary Fes.2026 supported byリスアニ!」が2026年4月19日、豊洲PITにて開催される。出演者は渡辺と過去に複数回タッグを組んでいる全11組。声優アーティスト、声優ユニット、ソロシンガー、アイドルグループ、ボーカルユニットと彼のキャリアを象徴する豪華ラインナップが実現した。
渡辺が「自分が提供した楽曲を、この人の歌で、どうしても生で聴きたい」と思ったことが、今回の開催のきっかけになったという。彼が目指すフェスや魅力的だと感じるライブとはいったいどんなものなのだろうか。フェスの話題を軸にしながら、提供アーティストとのコミュニケーションの取り方、関わりを持つなかで感じるアーティストの魅力や成長、自身の変わらないポリシーやメソッドなどを探っていった。
──渡辺さんがご自身の楽曲だけ披露されるフェスを思い描くようになったのはいつ頃ですか?

アイドル界隈やアニソン界隈で作家さんがフィーチャーされたイベントの存在を知って、興味が出てきましたね。でも飲み会すら開けないタイプの僕が、自分主催で自分の曲だけのフェスをやるなんて大きいことができるのか……?という恐怖はあって。でもそういう話題を出すと「観たい」「行きたい」と言ってくれる方もすごく多かったんですよね。それで「もしかしたら実現できるのかな?」と周りに相談をするようになって、今年の4月19日に「Sho Watanabe 20th Anniversary Fes.2026 supported byリスアニ!」を開催することになりました。

──渡辺さんは提供したアーティストさんのライブによく足を運んでらっしゃいますが、ライブの醍醐味はどんなところにありますか?

作家視点になってしまうんですが、ライブは答え合わせの場なんです。「この人のボーカルはレコーディングとどう変わるんだろう」と知りたいし、年月が重なるごとに曲がどんなふうに変わっていくのかを観たいんです。アンコールで歌われるポジションの曲になったり、トップバッターを任されるものになったり、ライブを重ねた歌唱だからこそ緊張が解けて曲本来の姿が見えるようになったり……そういう様々な変化を観られるのが好きなんですよね。あとお客さんの反応が観られるという意味でもライブはとても貴重で。

──「ライブでこんなふうに盛り上がってくれたらいいな」と思い描きながら制作した楽曲が、想像通りに成長したら感動的でしょうし。

逆に「あ、ここでみんなが歌うんだ!」「こんなふうに盛り上がるんだ!」という驚きもありますね。お客さんと演者さんの様子を観ることで、自分の今後の制作の糧にしていけるんです。ただ作家になる前はほとんどライブを観てこなかったので、ピュアな状態でライブを体験しておけばよかったなと思ったりもしますね。

──そんな渡辺さんが満足感を得るライブとは、どんなものでしょう?

アーティストさんの成長過程が見えたときに「みんながライブに通いたくなるのはこういうことなんだ」と実感しましたね。どんどん変化をしていく姿を見逃したくないというか。それを初めて実感したのがLiSAなんです。

──渡辺さんはLiSAさんの2011年リリース曲「oath sign」や、2012年リリース曲「crossing field」などの作詞作曲を務めています。LiSAさんが2010年にアニメの作中バンドのボーカリストの歌唱パートを担当し、2011年にソロアーティストとしてデビューしてから2015年1月に初の日本武道館公演2daysをソールドアウトさせた軌跡は、LiSAさんの物語の大きな第1章でした。

2006年から作家活動を始めて、いちばん最初に深く関わりを持たせてもらったアーティストが彼女なんです。だから強く印象に残っているし、あと彼女は周りの人間を引き込む力がある人なんですよ。

──そうですね。意思や感謝など、相手に伝えることに真摯な方という印象があります。

LiSAとタッグを組んでいたクリエイター陣は、彼女の思いを受け取って「もっといい曲を作りたい」と熱が入って、それがいい循環を生んでいるイメージがありましたね。一つひとつのライブにちゃんとクリエイティブな理由と背景があって、LiSAはそれをどんどん大きくしながら成長していって。自分もそこに楽曲というかたちで関わらせていただいたので、彼女やお客さんの涙と、会場が一体となって盛り上がる様子がすごく印象に残っています。大きくなっていく姿を見ていたいと思ったし、半分くらい1ファンの気持ちでした。これがライブの醍醐味なんだなと思いましたね。

──渡辺さんは2018年から2023年はsajou no hanaのメンバーとしてステージにも立たれましたが、そこでライブの捉え方に変化はありましたか?

表に立つのが苦手なので、本番中のことはほんと記憶がないんです(苦笑)。だからこそステージに立っている人たちの凄さを痛感して、尊敬がより増しましたね。作家は自宅で何度もやり直しをしながら1曲を仕上げていくけれど、ライブは1回きりの瞬間をどう表現するかが大事でもあるので、同じ音楽だけど全然別物だなと感じます。

──「Sho Watanabe 20th Anniversary Fes.2026 supported byリスアニ!」のオファーの基準というと?

何度も僕に楽曲制作をオファーしてくださった方は僕を信頼してくださっているということだと思うので、そういう方を中心にお声掛けしました。既にスケジュールが入っていて残念ながら参加が難しい方もいらっしゃったのですが、ありがたいことに想像以上にいろんな方から快諾いただきました。

──何度も楽曲提供ができるのは喜ばしいと同時に、「次はどんな楽曲を作るべきだろう?」という悩みも生まれるのではとも思いましたが、いかがでしょうか。

またお願いしていただけるのは前回が良かったと思ってくれたからこそだと思うので、前回の自分を超えなければいけないというプレッシャーはありますね。でも僕のもともとの性質として、過去とは違う方法で成功体験を得たいという願望があるんです。だから「今回はどうしよう?」と新しいアイデアを1から模索するのは大変でもあり、それを経ると自分のレベルも通常の制作より格段に上がっているんですよね。だからおかわりしていただけると気合いも入りますし、自分でも満足度が高いものになることが多いです。

──実際にタッグを組んで1曲制作すると、作家さんもアーティストさんもお互いの理解度が増すでしょうし、それにより新たな案も生まれそうです。

僕なりの解釈ではあるんですけど、回を重ねるごとに理解が深まっていたらいいですね。より良い一面を出したいし、常にアーティストさんだけでなくそのファンの方にもいいと言っていただけるものは作りたくて。新しい一面の引き出しであり、皆さんから喜んでもらえるポイントを探すのが毎回楽しいし、経験を重ねるごとにその探し方もうまくなってきているのかな……とも思います。求められた範囲内で、ちょっと先をやる。そのうえで喜んでいただけるものを作りたいですね。

──そのなかで渡辺さんが提供する楽曲に共通するポリシーというと?

子どもの頃から今もずっと日本の音楽が大好きで、たくさん聴いてきている自負があるので、そんな自分が気に入った曲ならば多数の方々に気に入ってもらえる曲になるという謎の自信があるんです。予想がつきすぎない、絶妙な裏切りのある曲をいい曲だなと思う節があるので、自分としてもそういうものは目指しています。なおかつそれぞれのボーカリストに合うオーダーメイドなメロディですね。その人が気持ちよく歌えて、その人の声がいちばん活きるメロディを考えています。でもいつも「翔さんの曲は難しい」とは言われるので……。

──確かに難易度は高いですが、渡辺さんの楽曲は歌えるとすごく気持ちよくて、エネルギーが湧いてくるなと感じます。斬新すぎないけれどいい裏切りがあるという絶妙なバランスや、常にレベルアップしていることが20年というキャリアにつながっているのかもしれませんね。

わかりやすくいい曲をちゃんと作れていた自負はありつつも、運が良かっただけだとも思うんです。あと僕の性質として、この仕事を仕事として捉えなかったことが大きかったかもしれません。お金のことは多少ちらつきますけど、それ以上に「ただいいものを作れたらうれしい」という気持ちが大きくて。たとえば僕はこれまで、いろんな人から編曲もやったほうがいいと言われ続けてきたんですけど。

──作詞作曲は印税収入ですが、編曲はギャランティなんですよね。編曲業は対価が約束されます。

編曲にそこまで強い関心が持てなかったし、自分は苦手なものに手を出すとこけちゃうタイプなんです。お話をいただいて「いい曲が作れそうだな。楽しそうだな」と思えたら受けるようにしてきて、お金主体で動かなかったことが自分にとっては良かったのかなとも思います。とはいえ何でもマルチにできることが当たり前の時代に、「自分の好きなことだけやればいいよ!」とは絶対言えないですけどね(笑)。そういう意味でも作詞作曲でこれだけ続けてこれたのは人に恵まれたということだし、やっぱり運が良かっただけという気もするんです。

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