the shes LAST Girl
出演:the shes gone / This is LAST / reGretGirl
2025年3月4日(火)Zepp DiverCity(TOKYO)
今年2025年は、名古屋・大阪・東京のZeppを回るツアー形式で開催、この東京がファイナル。兼丸が発起人ではあるが、三者の関係は対等、ということで、会場によって出演順が変わる。このファイナルの日は、the shes gone、This is LAST、reGretGirlの順でステージに上がった。
the shes gone
それぞれの配置につく前に、まず兼丸(Vo&Gt)・マサキ(Gt)・熊谷亮也(Dr)・松田ナオト(Ba)、4人揃ってステージ前方へ出て挨拶。兼丸が、ひとりでギターを弾きながら歌い始めた「最低だなんて」で、the shes goneのライブがスタートする。
イントロからAメロへ移ったところで、リズムに合わせてオーディエンスのハンドクラップが響く。まるでワンマン、と思ったが、この“まるでワンマン”な感じが、このあと3アクト通して、ずっと続くことになる。
その「最低だなんて」と「嫌いになり方」、アップテンポな2曲を頭に並べてオーディエンスの熱を上げていくthe shes gone。「嫌いになり方」の中盤のブレイクでは、兼丸、イヤモニをむしり取りながら前へ出、フロアは「♪ラララ」のシンガロングでそれに応える。
このイベントが3年目となることや、This is LASTの菊池陽報(Vo&Gt)とreGretGirlの平部雅洋(Vo&Gt)、2バンドのボーカルのキャラクターのことに、兼丸がMCで触れ、the shes goneの最初の名刺になった「想いあい」へ。
ここから、今年1月17日(金)に出した「センチメンタル・ミー」、2月12日(水)配信の曲で、3月26日(水)にリリースが控えている最新ミニアルバムのタイトル曲である「アゲイン」、2021年5月発表の「ラベンダー」を演奏して、the shes goneの出番は終わった。つまり、後半もう一度盛り上げるのではなく、じっくり聴かせる曲を並べて終了した、その感じが、とてもよかった。というか、the shes goneならではの強さを感じた。
ラストの「ラベンダー」で、フロアに「歌える?」と呼びかけ、自分のギターでオーディエンスにシンガロングさせた兼丸は、このあと0時に“僕らのすべてをかけた”新曲である「ひらひら」(これも『AGAIN』収録曲)が配信になることと、ミニアルバム『AGAIN』が出ること、4月25日(金)恵比寿ザ・ガーデンホールで「シズゴの日」を開催することを伝えてから、ステージを去った。
This is LAST
「シラガの準備はいいかい? やれるかいシラガ!」という菊池陽報のアジテーションから始まったThis is LASTも、1曲目「恋愛凡人は踊らない」からオーディエンス、すごいボリュームのハンドクラップ。菊池陽報、歌の合間に「ありがとう!」と叫ぶ。曲の後半では菊池陽報の歌とオーディエンスのシンガロングの掛け合いになる。続く「もういいの?」も然りで、ハンドクラップもシンガロングも、さらにボリュームが上がっていく。(「シラガ」というのはこのイベント『the shes LAST Girl』の略称)。
「今日はシラガ、1曲1曲届くように、精一杯がんばりますので、最後までよろしくお願いします」と、MCをはさんでから、最新曲「Strawberry」と代表曲「#情とは」のバラード2曲へ。菊池陽報が丁寧にメロディに乗せる「当たり前なんてないと謳う/当たり前なんてないと笑う」というリフレインが、空気に染み込むように響いていく。
オーディエンスの体調を気遣ってから(そう言いたくなるのも頷けるくらいフロアはギュウギュウ)、「どのフロントマンも一緒で、いちばんよかったって言わせに来てると思う。俺たちもThis is LASTとして、全力でロック・バンドして帰ります」と、菊池陽報。その後ろでは、ドラムの鹿又輝直が、いつの間にか上半身裸になっている。
そこからギアをトップに入れ、「ディアマイ」「カスミソウ」と、まさに駆け抜けるように演奏し、歌う。その2曲の間に菊池陽報はギターをチェンジしたが、残響音の間にサッと持ち替えて曲間を作らないようにしていた。つまり、勢いを止めないようにしていた。
「カスミソウ」の後半で「歌える?」と呼びかけて大きなシンガロングを起こし、「もうreGretGirlに残すんじゃねえぞ、やれるか!」と突入したラストは「オムライス」。ブレイクの度にオーディエンスのハンドクラップがきれいに決まり、「オムライス食べたい」のシンガロングが広がる。何度もピークがあった7曲の中でも最大のピークを、彼らはこの曲で作った。
reGretGirl
「よっしゃ、みんなの声をきかせてくれよ! the shes LAST Girl、いけますか! 最高の締めくくり、一緒にやろうな! 今日もどこまでも一緒に行くぞ! 一緒に恋しようぜ!」
という平部雅洋の雄叫びで、トリのreGretGirlはスタート。1曲目の「純ラブ」のサビでは、フロアいっぱいに腕が左右に振られるさまが波のようである。
「今日ここZepp DiverCity(TOKYO)にお集まりの皆様の、自己肯定感が爆上がりする歌を歌います!」という宣言から、まるでプレゼントされるように歌われた「KAWAII」、疾走感という言葉そのままのような演奏の「after」と、矢継ぎ早に曲を放っていく3人。
「もうちょっと笑ってええんやで……今、スベったのを人のせいにしましたけど」「トリとかそういうの、もう大好きやからさ」などと、MCも演奏と同じスピード感で、次々と言葉を重ねていく平部雅洋。が、「さっきアキも言うてたけど、まわりの人がしんどそうにしてたら、ちゃんと助けを求めよな。だってみんな。見捨てられた経験とか、誰かに捨てられた経験があるから、ここにいてるんやろ?」と断言したのには、思わず声を出して笑ってしまった。決めつけますねえ。外れてはいない気もするけど。
去年のこのイベントの前に、兼丸とアキと3人で飲みに行った、普段頼りない兼丸が渋谷のオシャレなピザ屋に連れて行ってくれた、アキはなぜか舌磨きブラシを買ってくれた──という思い出話で笑いを取り、そこから一転して、「傷口に塩をべったり塗ろうと思うから。一緒に落ちるところまで落ちましょう」、と歌い始めた「デイドリーム」で、その言葉どおり、満員のオーディエンスを見事に突き落とす。サビではリリックに合わせて、赤一色の照明がステージを照らした。
後半は、“reGretGirlでいちばんやさしい歌“である「tear」。「このイベントのために、自分自身のために、みんなででっかい声で歌いたいんすけど、いけますか! あの2バンド、びびらそうぜ!」というアオリに応じて、歌い出しから平部雅洋のギター+オーディエンスのリードボーカル状態になった、そしてそれが曲の最後まで続いた「ホワイトアウト」。その「ホワイトアウト」を超える勢いのシンガロングとジャンプの嵐になった「Shunari」。
という3曲を固め撃ちして、reGretGirlのステージは終了した。「ありがとうな、最高に幸せでした また絶対会おうな」と、最後に平部雅洋が感謝を伝える。
そのあと、3バンド全員を呼び込んで、客席をバックにして、記念撮影……するはずが、一次会が終わった居酒屋の外みたいに、それぞれが思い思いに勝手なことをしている。みんなをステージ中央に集めようと四苦八苦する平部雅洋は、幹事、もしくは引率の先生のようだった。「ちょっとみんなほんまにさ、早うせえへん? ちょっと協調性なさすぎへん?」。わかります、お気持ち。
なお、先にも書いたように、この夜の日付が変わった時刻に新曲「ひらひら」が各種ストリーミングサービスで解禁になったthe shes goneは、4月25日(金)恵比寿ザ・ガーデンホールにて毎年恒例「シズゴの日」を開催、その後5月24日(土)さいたま新都心から7月11日まで11本、『AGAIN』のリリース・ツアーに出る。
This is LASTは、全国6都市を回るホール・ツアーの最中で、その1本目と2本目の間のライブが、この『the shes LAST Girl』だった。9月にはZeppツアーも決まっている。
reGretGirlは、初夏にリリースされるというサード・フルアルバムのリリース・ツアーが、6月19日(木)の千葉から10月4日(土)の松山までの22本、予定されている。
SET LIST
■the shes gone
01. 最低だなんて
02. 嫌いになり方
03. 想いあい
04. センチメンタル・ミー
05. アゲイン
06. ラベンダー
■This is LAST
01. 恋愛凡人は踊らない
02. もういいの?
03. Strawberry
04. #情とは
05. ディアマイ
06. カスミソウ
07. オムライス
■reGrertGirl
01. 純ラブ
02. KAWAII
03. after
04. デイドリーム
05. tear
06. ホワイトアウト
07. Shunari