1月29日に約2年半ぶりの新作EP『MOON』をリリースする04 Limited Sazabys。リリースの間隔こそ少し空いたが、その間も彼らは主戦場であるライブに明け暮れていた。筆者もその間何度かそのステージを目撃したが、今のフォーリミのライブは抜群にいい。どんな場所、どんな時間帯、どんなシチュエーションでも、自分たちの生み出してきた楽曲と演奏に確かな自信をもってステージに立っていることが、その堂々としたパフォーマンスからは伝わってくる。『MOON』に収められた4曲にも、その自信はみなぎっている。リード曲「magnet」から初挑戦となるカバー「mottö」(原曲はJUDY AND MARY)まで、それぞれに今のフォーリミが鳴らすべき直球をズバッと投げ込んでいるのだ。今4人はどんなモードでバンドに向き合い、音を奏でているのか、語ってもらった。
2024年はとくにアベレージが高いライブがたくさんできていた気がするんです(KOUHEI)
──今回、オリジナルの新作としては約2年半ぶりとなるEP『MOON』がリリースされます。アルバム『Harvest』以降の2年間というのは、フォーリミにとってはどんな日々でした?
GEN(Ba/Vo)今までの活動の歩みをちょっと振り返って確認しつつ、去年は特に自分たちのつながりを大切にして、呼ばれるライブに全部出たいなという感じで。本当にバンド活動がちゃんと身体に根付いた感じ、人生に根付いた感じがある数年だった気がします。
RYU-TA(Gt/Cho)でも2年半ぶりって気がしないんです。そんな経ったんだっていう。その間も活発にライブやって、フェスもいっぱい出て、ライブ力はつけてこれたのかなって。
──その中でとくに印象に残っているライブはある?
RYU-TAまあ全部ですけど、去年で言ったら「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」のひたちなかで5年ぶりにGRASS STAGEに立てたことは、俺の中ではすごく嬉しかったかな。
──KOUHEIくんはこの2年半、どうでしたか?
KOUHEI(Dr/Cho)2023年に武道館2デイズ(2023年11月に開催された15周年記念ライブ「THE BAND OF LIFE」)をやったんですけど、あのライブの感触が結構よかったんですよね。それがあったからなのか、それ以降、2024年はとくにアベレージが高いライブがたくさんできていた気がするんです。そもそものレベルが上がっている感じがしていて、ひとつ上に自分たち自身来ているのかなって。人気がどうとかはわからないですけど、ライブに関しては「うまくいかなかった」みたいな瞬間がほぼないんですよね。そういう年ってあんまりなくて。だいぶ完成されてきたのかな。
──それは技術的な部分もあるだろうけど……。
KOUHEIそれもあるだろうけど、それよりもメンタル的な問題。もう散々やってきたからこそ身についたものもあるし、あと武道館で得たものがたぶん大きかった。自分たちで大々的にやって、ちゃんとソールドアウトもさせて。自他ともに認めるじゃないけど、いいライブができたっていうのが、相当な自信になったんじゃないかなって。それが2024年にいい影響を与えたのかなって俺は思ってますね。
──確かに武道館はすばらしいライブでしたね。
KOUHEI演出も含めすごくバランスのいい、長くも感じないライブだったんじゃないかな。
──HIROKAZくんは最近のライブについてはどうですか?
HIROKAZ(Gt)最近も最近なんですけど、山形でライブをやったんです。それでやっと都道府県全部ひとまず行けたというのはすごく嬉しかったですね。まだ行けていない街もたくさんあるんで、もっといろんな土地に細かく行きたいなっていうのは思いました。47都道府県は達成したけど、そこからさらに細かいところに行けたら、もっとお客さんに喜んでもらえるんじゃないかなって思ってます。
──ツアーで山形はなかなか行かないもんね。
GEN最後まで残ってました(笑)。
HIROKAZ最後の砦でしたけど、あんなに入ると思っていなかったんで、「こんなにいてくれるんだな」というのは嬉しかったですね。
いつもどこでも余裕しゃくしゃくでいつも通り04 Limited Sazabysをできた1年だった (GEN)
──2024年は本当にたくさんライブをやっていましたよね。「MYSTERY TOUR」がありファンクラブ限定ツアー「YON TOWN tour 2024 ~新生活応援GIG~」があり、もちろん「YON FES」もあったし、フェスにもたくさん出たし。韓国のフェス(「LOVE CHIPS FESTIVAL 2024」)にも出演しましたね。
GEN出ましたねえ。
──ライブに明け暮れる一方で、結果的にリリースはない1年になったわけだけど、去年はどういうイメージでやってきたんですか?
GENKOUHEIが言ったように、ライブのアベレージがすごく上がってる感じがあったし、RYU-TAの「ROCK IN JAPAN」の話だったり、HIROKAZの初めて行った山形の話だったりもそうですけど、そういうので成り立つバンドなんだなっていう。フェスでメインステージに出るのが当たり前みたいになってる感じの余裕感はすごいな、みたいな(笑)。センスのある若手がどんどん出てきている中でも、俺たちは全然余裕しゃくしゃくでここにいるんだなっていうのはたくましいなって。「COUNTDOWN JAPAN」でAge Factoryのライブをちょっとだけお酒を飲みながら観てたんですけど、(清水)英介に「これからトリでメインなのに酒飲んでるんすか?フルメンタルじゃないすか!」って言われて「ああ、そう?」みたいな(笑)。
KOUHEI「フルメンタル」ってどういう表現やねん(笑)。
GEN普通EARTH STAGEでトリってなったら結構バキバキな感じなんだろうけど、いつもどこでも余裕しゃくしゃくでいつも通り04 Limited Sazabysをできた1年だったので、そこはやっぱり強くなったなっていうのはありますね。無理に頑張らなくても、やってきたことで見せられているのかな、みたいな。
──2024年は結束バンドへの楽曲提供というのもありましたね。フォーリミにとっては初めての経験だったと思いますけど、あの「UNITE」という曲は逆にフォーリミではやらないくらいストレートなメロディックチューンで。
GEN難しかったし、やっぱり最初歌詞を書いて自分の中で納得したものを出したときに「ここはどういう意味ですか?」とか「ここは本人だったら言わないと思います」と一旦返答がきて、正直「思ったより大変だなぁ」と思ったんです。けどそこからちょっと噛み砕いて、その人が思うことってこういう感じかなって推敲して投げて「最高です」みたいになった時に、「あ、こういうのもできるんだな」って思いました。あくまで、自分のバンドを自分の言葉でやり続けてきた中で、そうやって誰かが求めるものを自分のフィルターを通して出して、納得してもらって喜んでもらえたというのは、それもひょっとしたら一個の自信になったかもしれない。
──そう、その求められる像に対して全力で応えるっていう感じが新鮮だったんですよ。キャラの設定だとか、フォーリミに求められているイメージだとか、そこに対してちゃんと直球で応えているというか。
GENだから昔みたいな、尖ったひねくれがなくなった。ひねくれてるところはひねくれてると思いますけどね。昔みたいに周りに嫉妬したり悔しくなったりっていうのも少なくなってるぶん、なんかみんなの成功を喜べて、幸せは増えてますよね。
──後輩に対しても、昔だったら、もしかしたら後輩が突き上げてくることに対して怒りとか焦りとかを抱いていたかもしれないけど。
GENうん。今は全然ないです。
──それってたぶんいいことなんだと思うんだけど、そういう変化が作品作りに影響を及ぼしているところもありますか?
GEN多少あるんじゃないですかね。それこそ今回の『MOON』でいえば、「Kick it」のリズムとかは、なんなら俺、Age Factoryっていう単語出したかもしれないし。Age Factoryと今すごく仲良くて、めちゃくちゃ近いんですけど、ずーっと可愛がってるけど、後輩だけどセンスあるなって思いますし、あの世代は取り入れ方も自由なんで。エモバンドだったらエモバンドとしての泥臭い道に行くのかと思ったら、オートチューン使ったりとか、ヒップホップ的な要素を入れたりするし、同期も使うし、ラッパーとも一緒にやるし、とか。Paleduskとかもそうですけど、あの自由度が高い感覚にはこっちも刺激もらえてる気がしますね。
──それこそAge Factoryとかは今まさにギラギラしているわけじゃないですか。
GENうん、彼らはずっと、「同世代をぶち殺さないといけない」って言ってますね(笑)。「あれは全然よくない」とか。
──そういうの見てどう思うんですか?
GENいや、もう「可愛いな」と思うんですよ。昔の自分を見ている感じも多少しますし。俺は今や、わりと何でも認めちゃうんですけど、後輩たちのエゴがある感じもいいなと思う。