G-FREAK FACTORY主宰「山人音楽祭 2023」4年ぶりに聖地・グリーンドームへ帰還!熱演の初日をレポ

ライブレポート | 2023.10.06 15:00

撮影:青木カズロー

群馬出身・在住のロックバンド、G-FREAK FACTORYが主宰するロックフェス「山人音楽祭 2023」が、9月23日(土・祝)、24日(日)の2日間にわたって日本トーターグリーンドーム前橋で行なわれた。

2020年は新型コロナウイルスの影響で中止、2021年と2022年も例年とは形態を変えて12月に高崎芸術劇場で実施されるなどイレギュラーな状況が続いていた「山人音楽祭」だが、2023年は本来の秋開催に戻り、4年ぶりに念願の聖地・グリーンドームへと帰還。国内のロックシーンを代表するアーティストが2日間で計30組出演し、“赤城”“榛名”の2ステージで熱演を繰り広げた。本稿では初日の模様をレポートする。

前日に大雨が降ったことで天候も心配されていたが、「山人音楽祭 2023」初日はなんとか持ったという感じの曇り空で無事にオープン。グリーンドーム内に入ると、客席には親子エリアやキッズエリアが設けられていたりと、ファミリー層にもやさしい快適な空間が広がっている。そして、地元・群馬のラッパーであるNAIKA MCの開幕宣言からいよいよライブがスタート。

FOMARE

レッドカーペットが敷かれるなど鮮やかな赤色で彩られた赤城ステージにトッパーとして登場したのは、G-FREAK FACTORYと同じく群馬出身のFOMARE。3ピースとは思えない迫力十分な音を広いドームにガツンと響かせ、代表曲「Lani」で早くも熱気あふれるシンガロングを呼ぶ。一方で、切なく甘い歌やギターソロが立った「HANABI」のような夏の終わりに合うナンバーでは、清々しいムードを生み出してみせる。

赤城ステージ初出演となるメンバーは、「やっぱりデカいっすね」「最高!」と感慨深げに口を揃える。「GUNMA ROCK FESTIVAL」の時代を含めてずっと遊びに来ているというアマダシンスケ(Vo/Ba)が「山人音楽祭」への想いを語り、「群馬のバンドから始まるのは今年が初めてらしいです!」と報告すると、場内に盛大な拍手が沸き起こった。

喜びを噛み締めつつ、任された大切なトップをしっかりと担い、自分たちが新たな世代のリーダーとなっていく。そんな責任感も伝わるパフォーマンスが眩しい。群馬の街に漂う温かい雰囲気を歌った曲「夕暮れ」も素敵。「このフェスがずっと続きますように!」とアマダが叫んでいたが、続くために必要な姿勢をFOMAREが身をもって示してくれたライブだったと思う。

SHERBETS

続いては、B1Fにある榛名ステージへ移動。ライブ前から「ベンジー!」という待ちきれないオーディエンスの声も飛び交う中、SHERBETSが「山人音楽祭」初出演を飾る。切っ先鋭いギターサウンドが際立つ「HIGH SCHOOL」「カミソリソング」を筆頭に、縦横無尽にグレッチを弾き倒す浅井健一(Vo/Gt)は、「ハロー、エンジェルス! 朝まで騒ぐぞ。群馬、熱いね!!」とすこぶるゴキゲンな様子だ。

最新アルバム『Midnight Chocolate』のリード曲で、歳を重ねた自分の気持ちの変化を飾らずに綴った「知らない道」も披露。ここに来て円熟味がさらに増してきた今のSHERBETSをじっくりと感じつつ、従来からの妖しくサイケデリックなサウンドと世界観にググッと惹き込まれていくのがなんとも心地よい。青、緑、赤などで彩られた美しい照明もこのバンドにはよく似合う。

浅井のキーンと響くギターリフに、福士久美子(Key/Cho)が叩くタンバリン、仲田憲市(Ba)のベースラインがクールに絡み、途中で外村公敏(Dr)のワイルドなドラムソロも挟むキラーチューン「JJD(ジョーンジェットの犬)」で、再びフロアを踊り狂わせたSHERBETS。“手作りだから 光があるんだ”と歌う「わらのバッグ」でも、ベンジーの哲学と思考が無限に広がり、孤高の存在感を遺憾なく発揮していた。

ハルカミライ

13時半からの赤城ステージでは、ハルカミライがさすがのライブバンドぶりで大暴れ。鉄板の「カントリーロード」「ファイト!!」などを目の覚めるようなスピードでパンキッシュに畳みかけ、メンバーはアリーナ前方エリアに分け入るわ、着ていた服を脱ぎ捨てるわ……ずっと雪崩が起きているみたいな怒涛のテンションがたまらない。

橋本学(Vo)が突然しゃべり出して演奏が止まったり、ワンツーの合図でスッと再開させたり、相変わらず本能的な、段取りを好きに崩していくライブ運びは、いつ観ても痛快そのもの。本番中にセットリストを変えてしまうのも、どうやってコミュニケーションを取っているのか謎すぎる。

先日、自分の地元である山口でG-FREAK FACTORYと対バンした際、「山口も群馬と似てなんもねえな」と言われたエピソードを話し、「今日はこっちから言わせてもらいます。群馬、俺の地元と似てなんもないっすね! だがしかし、こういうところで生まれる奇跡とか、あふれるパワーみたいなものはめちゃくちゃすげえって信じてる」と笑って返す橋本。G-FREAK FACTORY「ダディ・ダーリン」の一節を熱唱し、思わずステージに姿を現したボーカルの茂木洋晃と抱き合う場面も。そんなアドリブ満載のライブは、気づけば観客全員が肩を組んで歌っているかのような一体感が生まれていた。

HAWAIIAN6

「会場が広くてもよ、やることは変わんねえからな!」とHATANO(Dr)が強い意志を示して始まった、赤城ステージのHAWAIIAN6。その言葉どおりに臆さず、奇を衒ったことをせず、まっすぐに自分たちらしく、研ぎ澄まされた鉄壁の3ピースサウンドで堂々と勝負するバンドの姿は、シンプルにカッコよくて痺れるばかり。

勇壮に勢いよく駆け抜けるナンバーのほか、未来への希望を歌ったキラキラしたメロディが泣ける「STAND BY YOU」、明るい曲調で場内がグッと華やいだ「RAINBOW, RAINBOW」、最新EPの表題曲「Rusted」なども小気味よく聴かせる。

「山人音楽祭」に何度も誘ってくれるG-FREAK FACTORYに改めて感謝しつつ、コロナ禍のつらかった記憶をしみじみと振り返っては、「お前たちのおかげで潰れなくて済んだライブハウスがたくさんあった、やめなくて済んだバンドがいっぱいいた。本当にありがとう!」とオーディエンスにもお礼を伝えるHATANO。子供を連れている参加者も多い中、次世代の未来を明るいものに変えたいとも真摯に語り、その想いを乗せるように「I BELIEVE」へ。生きざまを映し出した音楽を、HAWAIIAN6は眩しいくらいに全力で届けてくれた。

フラワーカンパニーズ

再び榛名ステージに向かうと、軽快かつ骨のあるバンドサウンドをフラワーカンパニーズが颯爽と鳴らしている。聴き手の心に寄り添うポップな歌も素晴らしく、ハッピー極まりないロックンロールにたくさんのオーディエンスが笑顔を見せ、とても楽しそうにハンズアップする姿が印象的だ。8月にリリースされたばかりのシングル曲「気持ちいい顔でお願いします」は初めて聴く人が多かったはずだけど、まったく問題なしの盛り上がり。

鈴木圭介(Vo)が「やよいひめ(群馬オリジナルのイチゴ)色のカーディガンを羽織ってきました!」と挨拶して笑わせるシーンもあれば、イントロから沸いた名曲「深夜高速」では場内を締まった空気に変えてみせる。そこへ、「どこのおじさんが出てきたのかと思ったよ!」とグレートマエカワ(Ba)の言葉どおり、メンバーにもサプライズでG-FREAK FACTORYの茂木が飛び入りで歌いに来るというスペシャルも。鈴木、茂木の歌に重ね、フロアに“生きててよかった”の大合唱が巻き起こった。

なかなか実現しなかったジーフリとの対バンも来年にはやりたいとのこと。「フラカンは年がら年中ツアーやってます。どこでも来てください!」というマエカワの言葉が清々しい。「真冬の盆踊り」には茂木が再び登場し、心ゆくまではっちゃける大ヨサホイ祭りに。結成34年のキャリアをまざまざと感じさせるライブだった。

公演情報

DISK GARAGE公演

山人音楽祭 2023

2023年9月23日(土祝)、24日(日) 日本トーターグリーンドーム前橋

■出演者 ※50音順

・9月23日(土・祝)
KUZIRA / G-FREAK FACTORY / SHERBETS / SHANK / 四星球 / TETORA / バックドロップシンデレラ / ハルカミライ / HAWAIIAN6 / FOMARE / フラワーカンパニーズ / マキシマム ザ ホルモン / Rickie-G / LOW IQ 01 & THE RHYTHM MAKERS / ROTTENGRAFFTY

・9月24日(日)
亜無亜危異 / Age Factory / OVER ARM THROW / Creepy Nuts / G-FREAK FACTORY / SUPER BEAVER / 竹原ピストル / 10-FEET / NakamuraEmi / NUBO / BRAHMAN / HEY-SMITH / ヤバイTシャツ屋さん / RED ORCA / locofrank 

  • 田山雄士

    取材・文

    田山雄士

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  • 赤城ステージ撮影

    青木カズロー

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  • 榛名ステージ撮影

    半田安政

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  • マキシマム ザ ホルモン撮影

    ハマノカズシ

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