DracoVirgo “Opportunity 2019~Rainbow Butterfly~”
2019年9月19日(木)Shibuya WWW
2017年11月29日に配信された1.5部シナリオ第4話『亜種特異点Ⅳ 禁忌降臨庭園 セイレム』のテーマ曲「清廉なるHeretics」が、iTunes総合チャートで連日1位を獲得し、一気にその名を多くの人に知らしめることとなったDracoVirgo(ドラコヴァーゴ)。彼らがファーストコンタクトを取ったのは2018年2月26日のShibuya WWW。ランタンが異空間に誘い込むその場所は、幻想世界と現実世界が交差する、とても不思議なものだった。そんなファーストコンタクトの場となったShibuya WWWのステージに、彼らは再び立った。『DracoVirgo “Opportunity 2019~Rainbow Butterfly~”』と名付けられたその空間は、前回の幻想世界と現実世界が交差する、とても不思議な場所の別の扉を開けたかの様な感覚だった。
虹色に包まれたステージ。中央に置かれた丸いフォルムの水槽。夢とファンタジーの間。彼らが連れて行ってくれる、ここから始まる現実逃避に胸が高鳴った。mACKAz(B)、SASSY(Dr)、そして、MAAKIII(Vo)の順にステージに姿を現し、MAAKIIIが、何か呪文をかける様な仕草をすると、水槽からうっすらと立ち昇っていたスモークがより濃く立ち昇った。
始まりは「“KALMA”」。大きく構えた4つ打ちのリズムと、キレのあるスラップがアクセントとなった、バンドサウンド色の強いダンスナンバーからの始まりは、オーディエンスの構えをとても自然にほぐしていった。
「会いたかった!」というMAAKIIIの純粋な言葉を挟んで繋げられた「ココニオイデヨ」では、彼らの放つ引力にオーディエンスがクラップで応え、盛り上げた。彼らの生まれ故郷である沖縄が、ふと匂う感覚がそこにあり、とても心地良かった。
間髪入れずに届けられた「阿弥陀の糸」で魅せたディープな世界観も、HIGH and MIGHTY COLORの元メンバーであるMAAKIII、mACKAz、SASSYの3人が軸として持つ個性の一つだ。どっしりと重く響くSASSYのドラムと、mACKAzが生み出した流れるベースフレーズの中でMAAKIIIの悲鳴を響かせると、オーディエンスは、その鬱血した想いに拳を高く上げて応えていたのだった。
オープニングナンバーから3曲で全くカラーの違うDracoVirgoを届けた後、さらに彼らは振り幅を感じさせる並びでライブを盛り上げていった。言葉遊びが光る「DASH!脱出!奪取!」のダンスでフロアを盛り上げたかと思えば、「清廉なるHeretics」では音を浴びるかの様に両手を左右に広げて天を仰いだMAAKIIIがドラマティックに曲の世界観を演出、mACKAzとSASSYによるインスト曲を挟むと、MAAKIIIは落ち着いた印象のオーロラカラーのドレスからチャイナドレス風のキュートかつセクシーなミニのワンピースに着替えて登場し、魅惑的な「××××」でオーディエンスを引き寄せた。
中盤戦から後半戦の頭までは、「いーじゃんっ!」や「hanaichimonme」「トリックスター」「kIRA○kIRA」で、さらに客席を近くに引き込み、1stオリジナルソングである「KAIBUTSU」で、圧巻のDracoVirgo力を見せつけた。DracoVirgo力。それは、激しくも美しい、そして誰一人として置いて行くことのない力強い優しさだ。
観る度に、さすがの歌唱力、さすがのパフォーマンス力、さすがの人間力を感じさせるMAAKIIIと、メタルをルーツとするmACKAzとSASSYの絶対的なスキルを誇るプレイは、“この3人である意味”という安心感を与えてくれる。
ライブ前のインタビューで、「こんな不器用な私たちでも、集まればこんなに楽しくてすごいこと出来ちゃうんだよ!っていうところを見せていけたらと思いますね。そういうところから、来てくれた人たちが、勇気をもらってくれたら嬉しいなと思います」と語っていたMAAKIII。この日のライブにも、そんなMAAKIIIの想いは常に溢れ出ていた。「SPAAAAAAAAAARK!!!」で歌われる“一人一人がSPECIAL”という言葉は、彼らが音を通じて聴き手に届けたい1番のメッセージなのだ。
後半戦までほとんどMC無く曲を届けた3人は、テレビアニメ『ありふれた職業で世界最強』のEDテーマとして作られた最新作「ハジメノウタ」の前にこの曲に込めた想いを語り、物語の主人公・南雲ハジメと吸血鬼のユエの想いを代弁するかの様に、ストーリーを音と歌に替えて届けた。改めて、さすがの表現力を感じた瞬間であった。
「Magma」でHIGH and MIGHTY COLORのボーカリストであったユウスケをステージへと迎え入れ共に声を重ね、最新シングルのカップリング曲として、“ユウスケとマーキー”の久々のツインボーカルを聴かせてくれた「ABRACADABRA」を披露し、古くからのファンを喜ばせた。音で築き上げてきた絆は永遠。そう感じさせてくれたあたたかな気持ちが、胸を熱くした。
全てを届け終えた彼らは、来年1月に開催される東名阪ツアーを告知した後、ステージにかかっていた虹を会場に移し、オーディエンスの上に大きな虹の橋をかけたのだった。
彼らが各地に虹の橋をかけ、2020年の1月25日に再びこの場所に戻ってくることを、心待ちにしているとしよう。