世の中には荒削りだが魅力的なDIY楽器が数多く存在する。
音楽エンジニアのジェレミー・ベルが開発した「ザ・スクラッチボード」は、最近再評価が進んでいるカセットプレイヤーをベースに独自開発された、遅すぎるアナログサンプリングマシーンだ。
今年の春、日本のNHKの番組で放送された際にも反響が大きかったこのカセットのテープ部分でスクラッチ音を奏でる「ザ・スクラッチボード」。カセットテープのテープをスクラッチしてスティール・ギターのように演奏する楽器で、ボードにはカセットデッキのヘッド部分が括りつけられおり、この可動式のヘッドを擦ることでレコードブレイヤーのようなスクラッチ音を再現できる。さらに左に配置されたベダル状のボタンを駆使することにより複雑なスイッチ交換が出来るのも特徴。
先日プロトタイプからライブ演奏に耐えうるレベルまで機材が進化したことを伝える最新映像も公開。ギター演奏をその場で録音しサンプリングソースにして演奏になだれ込むが、DJの卓越したスクラッチ演奏により近づいた鮮やかな演奏で、ギターループ2本を重ねたりと、多重録音などもお手のものだ。
実際のところデジタルサンプラーで簡単に出来そうなサウンドのような印象もあるが、アナログで敢えて演奏するというパフォーマンス的な要素もあるようだ。
当然ながらジェレミー氏専用機ということで演奏を習得するにはそれなりの練習が必要だが、アナログテープ全盛の時代に誰も思いつかなかったのは不思議でならない。近日中にライヴパフォーマンスも公開する予定というので、多いに期待しよう。
記事提供:AOL News