大槻ケンヂ 還暦祝いのライブに仲間や後輩が集結!満ち満ちる熱気の中で繰り広げた歓喜の祝宴をレポート

ライブレポート | 2026.04.23 18:00

そしてケラが退場すると、大槻の「OK、ケラさん逃げちゃったからやっちゃってください!」との号令で、サポートの長谷川浩二がドラムを激しく打ち鳴らし、「サンフランシスコ」から2026年一発目の筋肉少女帯ライブがスタート。ステージに提げられたバックドロップは、本公演のメインビジュアルから筋肉少女帯のロゴへと差し替わり、オーディエンスも一斉に立ち上がって、誰もが愛する筋少の真骨頂メタルチューンで狂乱の宴を繰り広げていく。メンバーカラーに灯るペンライトで一気にカラフルになった客席を前に、橘高文彦&本城聡章のツインギターはステージ上を右へ左へ軽やかに躍動し、アウトロでは橘高が三柴(サポートpf)に迫って接近戦で掛け合い。互いの急所に真剣を押し当てるような、はたまた、それを楽しんでいるような凄まじいバトルに鼻の奥が詰まって胸に激情があふれ出し、拳を突き上げる瞬間のカタルシスは、一度でも味わえば二度と忘れることはできない。しかし曲が終わったとたん、大槻が両腕を広げて「60過ぎてもー」とコールすれば、楽器隊は「バンドはアイドル!」と返し、この日が初披露(?)のポップチューン「60を過ぎてもバンドはアイドル」でユルく、愛らしく飛び跳ねるという筋少ならではのギャップも。3年前にリリースされた「50を過ぎたらバンドはアイドル」の進化形とも言えるナンバーで“みんな天国へ連れてくよ 遠くないし”の歌詞は説得力を増し、その日をダブルミーニングで楽しみにさせてくれるのだから感涙しきりだ。

ここで「還暦を迎えて、(誕生日の)2月6日から一滴もお酒を飲んでいない」と大槻がメンバーに報告し、結果、バンド内で唯一の飲酒者になった本城が「よし、これからもまだまだ飲むぜ!」と気合を見せる一幕も。以降は“還暦オーケンをお祝い帯”として、大槻を敬愛する後輩ボーカリストたちが順に登場し、まずは、えんそくのぶうが「歌えと言うから歌いますけど、俺はここで座って見てたいんですから!」とファン心を露わにしていく。そして大槻をドラム台に座らせて休ませ、えんそくでもカバーしている「僕の宗教へようこそ」を歌い始めると、大槻いわく「もう本人は何も覚えちゃいないわけですよ」という曲中台詞を完璧に歌唱!「まさに僕の宗教ですから!」と大槻に向かって言い切り、歌詞の“少年教祖様”は“還暦教祖様”、“僕”はすべて“この人”に歌い替えて大槻をひたすらに崇める、ぶうの信者っぷりには頭が下がる。

続いて、NoGoDの団長も、若い頃は「メンズノンノを片手に裏原に行ってドキドキしてた」と衝撃の告白をして、大槻に「裏切者!」と断罪されながらも、この場にいる理由として「大槻ケンヂという存在に憧れているからです。好きなことをただひたすら思いっきり突き詰める、これがバンドのフロントマンだっていう、そういう生き方を私はこの人から教わりましたよ!」と断言。「オーケンの歌をそのまま歌うことは、この人にしかできないので、私は私なりの解釈でこの曲をオーケンさんと一緒に歌いたい」と「機械」を熱唱した。いわゆるイケボを全開にした語り部のようなボーカルは、2番でエモショーナルに爆発し、大サビでは大槻のメインメロディよりも高音でコーラスを入れ、最後はハイトーンシャウトを轟かせる離れ業も。卓越した歌唱力でまるで1本の映画を観たようなドラマを作り出し、リハーサルで筋肉少女帯のメンバーが「この曲はこういう歌なんだと初めてわかった」と言ったというエピソードを、どこか納得させた。

トリは、お祝い帯の自称“サブカル担当”であるアーバンギャルドの松永天馬。突然、登場したテーブルと椅子で1つのレモンスカッシュを2本のストローで飲むという、大槻いわく「BL」なシーンも飛び出したが、それも「宇宙人が喫茶店でレモンスカッシュを頼んだから」という理由なのが彼らしい。そして「これはオーケンさんの人生の歌でもあり、僕たちボーカリストの歌でもあるなって。2番のBメロを歌ってると泣きそうになります」と前置き、座った状態のまま二人でデュエットしたのが「喝采よ!喝采よ!」。愛のよろこびを歌うために愛を失った男のリアルな想いを込めて二人は実直に歌い上げ、間奏で松永に手を取られて立ち上がり、クライマックスのBメロを歌い叫ぶ大槻の姿には、まさしく歌詞の通り“涙出る”ほかない。「機械」といい「喝采よ!喝采よ!」といい、大槻の綴る詞には時折、何かに邁進した人間の喪失が垣間見えることがある。それでも、己の道に進まずにはおれない哀しき人の性は時に強烈に人を惹きつけ、だからこそ、こうして熱い崇拝者たちを彼は生み続けているのだろう。

大槻へのリスペクトを示すため、それぞれが頬にヒビメイクを入れたお祝い帯の3人にXOXO EXTREMEが再登場し、ここで「踊るダメ人間」を大セッション。団長とXOXO EXTREMEの4人は橘高や本城らとも絡む一方、松永は大槻の隣から離れず、同じくぶうに至ってはラストの歌詞を引用して「家来は俺だー!」と宣言する。豪華メンバーでダメジャンプを繰り返し、最後に大槻が「それでも、生きておかざるをえない!」と力強く放てば、発表からの35年でこの言葉が一体どれだけの人間の命を救っただろうか?と頭をよぎり、その功績の偉大さに気が遠くならざるをえない。

そしてゲスト陣が退場して「もう、いっぱいやった。『釈迦』やって終わり!」となだれ込んだ「釈迦」では、なんとステージにケラが乱入!本城と一つマイクでコーラスを入れたり、前に出てきた三柴と一緒にモンキーダンスしたり、橘高のソロを邪魔しかけたりとやりたい放題で、苦手なはずの爆音を身体中で楽しんでいく。さらにブレイクでは「出れる人、出てきちゃって!」という大槻の誘いに、お祝い帯の3人やXOXO EXTREM、特撮のメンバーもステージに上がって“ドロロの ノウズイ”を大合唱し、最後にXOXO EXTREMの小日向まおがセンターでかき回してフィニッシュ。絵に描いたような大団円に、松永は「これがナゴムレコードの映画のエンディングですね!」と口にした。それが現実になる日が、いつか来てほしいものである。

アンコールでは「一時期、世界で一番有名な宇宙人遭遇者になったジョージ・アダムスキーという人が、初めて金星人や土星人に会ったというのが61か2なんですね。つまり、僕よりまだ上。だから僕は、まだアダムスキー的に言えば金星人にも会ってないんですよ。だから、つまり“まだまだ”だと思いますね。これからです!」と頼もしく言い切って、オーディエンスの拍手を受けた大槻。「これからどんなステージをやっていくのかわかりませんけどね、いろんな人のライブとかを見て勉強しようかななんて思ったり」と、飽くなき向上心を見せた。事実、筋肉少女帯としてはワンマン『幻~「サーカス団パノラマ島へ帰る」再現ライブ』(4月28日CLUB CITTA')に『想~「月光蟲」再現ライブ』(5月22日なかのZERO大ホール)、『#筋少の日』(6月21日KT Zepp Yokohama)のほか、打首獄門同好会、バックドロップシンデレラとの3マンライブ『幻と想』(6月18日LINE CUBE SHIBUYA)も決定。ソロとしても大森靖子との2マンライブ(6月10日SHIBUYA PLEASURE PLEASURE)等、ステージの予定は目白押しだ。

「とにかく60年間いろいろありましたけれども、これからですよね。まだまだひよっこ、これからだと思いますので、楽しくやっていきましょう」と伝えて、フィナーレを飾ったのは「Guru最終形」。痛いほどに透き通ったピアノの音色から幕開け、アコースティックな音像が静かに広がるなか、歌うというよりも言い聞かせるような、はたまた詩を読み上げるような大槻のボーカルがオーディエンスの胸に沁み、“ララララ…”の声と共に左右に揺れる満場のペンライトの赤がミルクドレスに滲む血を想起させて、なんとも言えぬ寂しさと感動を運んでくれる。終わりに向けてエモーションが高まる、けだし名曲のアウトロで、大槻は「まだまだ60歳、ズバリ言って、これからが始まりだと思います。どうかみなさん、よろしくお願いします!」と声をあげてステージを端から端まで渡り歩き、オーディエンスをしっかり見据えて祝宴を締めくくった。橘高も「次は古希だね。またやろう!」と10年後を約束。何度も“これから”と繰り返した大槻なら、ここからの10年でも、また多くの喜びを我々に与えてくれることだろう。10年後、オーケン大古希祭が開催されることを、今日、この場にいた全員が、心から願っている。

SET LIST

<特撮>
01. テレパシー
02. GO GO!マリア
03. 殺神

<大槻ケンヂと絶望少女帯>
04. ⼈として軸がぶれている
05. 林檎もぎれビーム!

<特撮>
06. ケテルビー

<空手バカボン>
07. 来るべき世界
08. 大もうけバカボン

<筋肉少女帯>
09. サンフランシスコ
10. 60を過ぎてもバンドはアイドル

<還暦オーケンお祝い帯>ぶう(えんそく) / 団長(NoGoD) / 松永天馬(アーバンギャルド)
11. 僕の宗教へようこそ
12. 機械
13. 喝采よ!喝采よ!
14. 踊るダメ人間

<筋肉少女帯>
15. 釈迦
16. Guru最終形(ENCORE)

公演情報

DISK GARAGE公演

大槻ケンヂ INFO

<LIVE>
■十九代目梅雨将軍2man series「新店長将軍 vol.5」
2026年5月27日(水)池袋LiveGarage Adm
【出演】大槻ケンヂ(弾き語り) / 早番 (from 氣志團)
チケット:予定枚数終了

■ムーンサルト!O! O!〜オーケン靖子ちゃんグレート弾き語り祭
2026年6月10日(水)渋谷PLEASURE PLEASURE
【出演】大槻ケンヂ / 大森靖子
チケット一般発売:2026年4月12日(日)10:00

イープラス

<BOOK>
大槻ケンヂ還暦記念書籍『幻と想 03-25 大槻ケンヂ自選詩集』
■著:大槻ケンヂ
■価格:3,200円+税
■発売日:2026年4月17日(金)
■出版者:百年舎刊 ≫ https://www.hyakunen-sha.com/

筋肉少女帯 INFO

<LIVE>
■幻~『サーカス団パノラマ島へ帰る』再現ライブ
2026年4月28日(火) CLUB CITTA’
【Support Member】Pf.三柴理 / Dr.長谷川浩二
チケット:予定枚数終了

■想~『月光蟲』再現ライブ
2026年5月22日(金)なかのZERO 大ホール
【Support Member】Pf.三柴理 / Dr.長谷川浩二
チケット:予定枚数終了

■渋谷「幻と想」
2026年6月18日(木)LINE CUBE SHIBUYA
【出演】筋肉少女帯 / 打首獄門同好会 / バックドロップシンデレラ
【Support Member】Pf.三柴理 / Dr.長谷川浩二
チケット一般発売:2026年4月25日(土)10:00

■#筋少の日
2026年6月21日(日)KT Zepp Yokohama
【Support Member】Pf.三柴理 / Dr.長谷川浩二
チケット一般発売:2026年4月26日(日)10:00

チケットぴあ
ローソン
イープラス

  • 取材・文

    清水素子

  • 旭 里奈

    撮影

    旭 里奈

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