orange pekoe with the Big Band Party Night FINAL!!!
2026年3月1日(日)神奈川・KT Zepp Yokohama
KT Zepp Yokohamaに入ると、古き良きスウィングジャズが聴こえてきた。開演前のBGMはフレッチャー・ヘンダーソンのプレイリスト。ベニー・グッドマン楽団の編曲を手がけたことで知られる20世紀ジャズを代表する音楽家だ。
「orange pekoe with the Big Band Party Night FINAL!!!」とタイトルされたこの日のライブは、orange pekoeの最後の公演。全国から集まった観客で埋め尽くされた会場は、楽しさと寂しさで包まれている。
17時にライブがスタート。まずステージに上がったのは、森田真奈美Big Bandのメンバー(森田真奈美/pf、八巻綾/sax、石川周之介/sax、中園亜美/sax、吉本章紘/sax、宮木謙介/sax、張替啓太/tb、和田充弘/tb、上杉優/tb、笹栗良太/tb、赤塚謙一/tp、村上基/tp、谷殿明良/tp、石川広行/tp、古木佳祐/ba、工藤明/ds、Kan/per)。さらに藤本一馬(Gt)が姿を見せると、客席から「一馬!」と声がかかる。ギターの音色とともに聴こえてきたのは〈みつけて / happy valley sunny happy valley / 愛しい日々は側にあるの〉という歌声。歌いながらナガシマトモコ(Vo)が登場すると、会場は大きな歓声と拍手で包まれる。1曲目は「Happy Valley」。総勢13名のホーンセクションを擁するビッグバンドのサウンドとともに、温かく、解放的なボーカルが広がっていく。藤本のギターソロ、〈Happy Valley〉の大合唱も素晴らしい。
さらに心地よいスウィング感のなかでボーカルと管楽器の掛け合いが繰り広げられた「極楽鳥 〜Bird of Paradise〜」を披露し、「『orange pekoe with the Big Band Party Night FINAL!!!』へようこそ! みなさん、今日はビッグバンド“もりもり”です。どうぞ最後までついてきてください!」と挨拶。スキャットを交えた歌、管楽器隊のソロ演奏がゴージャズな雰囲気を生み出した「スウィート・ムービー」、ラテンジャズのエッセンスをたっぷりと散りばめた「Wonderful Soul」を続けて演奏し、orange pekoeの奥深く、色彩豊かな音楽の世界を描き出した。
ここでナガシマが“森田真奈美Big Band”を改めて紹介。「orange pekoeが始まったときは先輩とばかり演奏していたんですけど、気付いたら同世代とか後輩がサポートしてくれるようになりました。じゃあ、次はちょっと静かな曲をやろうかな」と美しいバラードナンバー「Beautiful Thing」へとつなぐ。ライブ前半のハイライトは藤本のギターソロからはじまったワルツ「輪舞」。エキゾチックなメロディと〈めぐり続く日は まわり続く 輪舞〉というフレーズが響き合い、豊かな感動へと結びついた。
ライブ中盤では、藤本とナガシマがじっくりトークする場面も。orange pekoeの活動のなかで印象に残っていることとして、藤本は“学生時代、自分の部屋で曲を作っていたときの風景”、ナガシマは“「やわらかな夜」のレコーディングで、クリックを外してもらったら、演奏が生き生きと輝き始めて、「やっぱり音楽はこれやな」と思ったとき”を挙げた。また“いちばん好きな曲”は「little mermaid」(藤本)「Landscape」(ナガシマ)。2人にとってのオレペコがどんなものだったのか、じんわりと伝わってくる。
さらにナガシマは「こうやって一緒に音楽を感じ合える、皆さんのなかで“こんなふうに響いてるんや”と感じられることがうれしいし、皆さんが私が歌ってる理由なんです。本当にありがとう」とコメント。会場から大きな拍手が送られた。
ここで披露されたのは、昨年リリースされた新曲「It’s Dawn」。ギターと歌が響き合い、美しく、切ないメロディがゆったりと広がる。このシーンもまた、観客ひとりひとりの記憶にしっかり刻まれたはずだ。
再びビッグバンドのメンバーがステージに上がり、濃密なグルーヴが渦巻くワルツ・ナンバー「空の庭」からライブは後半へ。藤本がイントロを弾き始めた瞬間に歓声と手拍子が響き、“ララララ♪”というシンガロングが沸き起こった「FLOWER」。orange pekoeのブレイクのきっかけとなった初期の名曲「やわらかな夜」。軽快なバンドサウンドとともに〈よろこびが奏でる 愛のことばを〉というラインが響き渡る「Joyful World」。ジャズとラテンが溶け合い、ミュージシャンたちのソロ演奏が色を添えた「Honeysuckle」。そして、ドラムとパーカッションのセッションから「空に架かるCircle」へ。“パイヤイヤッパッパエ”のコーラスはもちろん大合唱。藤本も大きな歌声を響かせ、愛に溢れたポジティブなムードが会場全体を包み込む。
約25年の活動を経て、昨年秋に“活動満了”を発表したふたり。キャリアを代表する名曲の数々をライブで堪能できるのはこれが最後と思うと、華やかな楽しさを存分に味わいつつも、どうしても寂しさが去来してしまう。
「最高! みんなに愛をいっぱい込めて歌うね」(ナガシマ)というMCに導かれたライブ本編の最後は「太陽のかけら」。オレペコに対する観客の愛、オーディエンスに向けられた二人の愛情が交差するシーンは、この日のライブの素晴らしさを象徴していた。
アンコールではまず、藤本、ナガシマが観客に向かってゆっくりと話しかけた。
「orange pekoeを満了すると発表したときに、“歌詞に助けられました”という声をいっぱいいただいて。僕自身も、ナガシマトモコという人が書く歌詞に助けられてきた部分があるんだなと実感しました。音楽を共有した経験は永遠で、どんなときも消えないもの。皆さんの大切な瞬間を僕らと過ごしてくれて、その感謝を伝えたいなと思いました。本当にありがとう」(藤本)
「この先の皆さんの人生のなかで、orange pekoeの曲がまた違った響きを持って聴こえてくる日もあるかもしれない。またあるときは、過去のことを思い出すかもしれない。いろんな形で皆さんのなかで響いてくれることを祈っています。“満了”だけど、歴史の新しい1ページ。藤本一馬もまだまだすごい曲を作るだろうし、私もTomoko Niaという名前でソロ活動をしていきます。またみなさんとこういう時間を持てるとうれしいし、それを楽しみにしています」(ナガシマ)
アンコール1曲目は「Selene」。凛とした強さ、大らかな優しさを伴った〈私のぜんぶ 君をあいしてる〉という歌詞に思わず涙腺が緩みそうになる。ラストは「LOVE LIFE」。大らかな解放感に満ち溢れたサウンドと歌によって、客席とステージの距離がさらに近くなる。“ありがとう”という言葉が飛び交うなか、ライブはエンディングを迎えた。
ジャズ〜ラテンを軸にしたオーガニックで躍動感に溢れたサウンド、心地よく跳躍するメロディライン、そして、愛の在り方を描き出すリリック。orange pekoeが達成したものを心ゆくまで味わえる最高のステージだった。
ナガシマトモコ(Vo) 藤本一馬(G)
石川周之介 (sax) 中園亜美 (sax) 八巻綾一 (sax) 吉本章紘 (sax) 宮木謙介 (sax)和田充弘 (tb) 張替啓太 (tb) 上杉優 (tb) 笹栗良太 (tb)赤塚謙一 (tp) 村上基 (tp) 谷殿明良 (tp) 石川広行 (tp)古木佳祐 (b) 工藤明 (ds) Kan (Per) 森田真奈美(P) &みなさん🫶!!! pic.twitter.com/dhaqHArlow— 🍊orangepekoeofficial (@orangepekoe_jp) March 3, 2026
SET LIST
01. Happy Valley
02. 極楽鳥 〜Bird of Paradise〜
03. スウィート・ムービー
04. Wonderer Soul
05. Beautiful Thing
06. 輪舞
07. It's Dawn(Duo)
08. 空の庭
09. FLOWER
10. やわらかな夜
11. Joyful World
12. Honeysuckle
13. 空にかかるCircle
14. 太陽のかけら
ENCORE
EN01. Selene
EN02. LOVE LIFE
















