ZIGGY MORISHIGE,JUICHI BIRTHDAY LIVE「ならず者の悪ふざけ」
2024年8月28日(水)大手町三井ホール
東京都心のオフィス街に、ならず者たちがやってくる。2024年8月28日、大手町三井ホール、 ZIGGY MORISHIGE,JUICHI BIRTHDAY LIVE「ならず者の悪ふざけ」。今日は森重樹一の61歳のバースデー、今年はZIGGY結成40周年のアニバーサリー。ダブルのハッピーを祝うため、全国から駆け付けたのだろう。広いフロアは人でいっぱいだ。
「レディース・アンド・ジェントルメン、ウィー・アー・ZIGGY、カモン、トーキョー!」
ゼブラ模様の服でキメた森重樹一が叫び、マイクスタンドを高々と掲げ、拳を振り上げる。ショーの始まりを告げるのは「I’M JUST A ROCK’N ROLLER」だ。猛烈な速度のエイトビートからスウィングするブギーへ、「BOOGIE WOOGIE TRAIN」から「今夜LOVE SONGを」へ、1曲ごとにバンドのギアがぐいぐい上がってゆく。
森重は見るからに絶好調で、豪快に吠え、笑顔を振りまき、スタンドを振り回し、頼れるメンバーを紹介する。チャー坊ことCHARGEEEEEE…(Dr)、Toshi(Ba)、佐藤達哉(Key)、カトウタロウ(Gt)。ならず者の、ならず者による、ならず者のためのいかしたバンドだ。森重がギターを弾きながら、俺は走り続けると歌ってる。「崖っぷちの夜でさえ」、40年間走り続ける男のロックが身に沁みる。
「楽しめてますか。久しぶりの大手町だよ。平日にも関わらず集まってくれてありがとう」
どうやら佐藤が曲順を間違え、「今夜LOVE SONGを」を弾いてしまったらしい。言わなきゃわからないと笑いながら、3曲目にやるはずだった「CELEBRATION DAY」を森重がコールする。全然気づかなかったのは、突然の変更にもメンバーがまったく動じなかったから。アクシデントも燃料にして、百戦錬磨のバンドは勢いを増す。森重がブルースハープを吹きまくる。一緒に歌ってるファンを見つけてサムアップする。いい雰囲気だ。
ここから懐かしい曲の2連発。佐藤がキーボードの上に乗って、「それゆけ！R&Rバンド」のリフを弾きまくる。森重がマラカスを振りながら「I CAN’T STOP DANCIN’」を歌い、客席にマイクを向ける。DANCEはもう止まらないぜ。もちろんみんな歌ってる。さらにスピードを上げて「HAPPY GO LUCKY」へ。こうしたスウィング感たっぷりの、グッドでオールドでハッピーなロックンロールがやれるバンドは、今や希少だ。今日ここでたっぷりと、栄養を補給しておこう。
「今年で40周年を迎えられました。振り返って、とても恵まれていました。一瞬たりとも途切れることなく音楽活動をさせてもらって、この素晴らしいメンバーと巡り合えて、俺はとてもハッピーです」
年を食ったことをとても素晴らしく感じる。スティーヴン・タイラーが引退、わかった、アンタが辞めるなら俺がやる。明日のことはわからないけど、精一杯やる――。MCで言うことがいちいち沁みる。「月明かりの下で」から「この空の下のどこかに」へ、ドラマチックでエモーショナルな展開が胸を打つ。「俺がやる」の言葉通りの、真に鬼気迫る激唱にぶっ飛ぶ。還暦を超えてこの声を保つために、普段からどんな生活をしているんだろう。凄いパワーだ。
今日の森重はいつも以上に多弁で率直で、自然体な気がする。ZIGGY結成前の伝説のバンド、オフェリアの元メンバーを今朝見送ったこと。帰路に職質で止められたこと。10月23日リリース、40周年記念アルバムのタイトルが『For Prayers』に決まったこと。一人5枚買えと笑う森重。人生の悲しみも喜びもすべてロックンロールに乗せて、ZIGGYは40年間走り続けてきた。
自分が書いた曲の中で三本の指に入る大好きな曲。そう紹介した明朗快活ロックンロール「HEAVEN AND HELL」から、エイトビートとスカとダンスビートが交錯する「7th direction」、全員参加のクラップで盛り上がる「swanky☆boys&punky☆girlz」。バンドのグルーヴは最高潮だ。大歓声に包まれて、ライブはそろそろ後半だ。
