Base Ball Bear『天使だったじゃないか 』TOUR FINAL
2024年6月2日(日)Zepp Shinjuku(TOKYO)
2024年6月2日(日)、 Zepp Shinjuku (TOKYO)にて、Base Ball Bear『天使だったじゃないか』TOURの東京公演が行われた。2月28日配信&発売のミニアルバム『天使だったじゃないか』のリリース・ツアーで、3月6日千葉LOOKを皮切りに、17本を回った旅のファイナル。
Zepp Shinjukuを超満員札止めにした約1,500人が、本編16曲・アンコール2曲・Wアンコール1曲の全19曲・2時間にわたって、Base Ball Bearのパフォーマンスを楽しんだ。
『天使だったじゃないか』収録の6曲はすべて演奏。頭の2曲を「ランドリー」「_FREE_」で始め、MCと2曲をはさんで「Thousand Chords Wonders」をプレイし、1曲とMCを経て「Late show」を歌い──というふうに、『天使だったじゃないか』の収録順の間に、それ以前の曲を演奏していくセットリスト。
前述のように、オープニングの2曲が「ランドリー」と「_FREE_」だったり、二度目のMCでオーディエンスをさんざん笑わせた後にメロウな「Late show」でフロアの空気をスッと変えたり、本編最後のブロックの頭(11曲目)に「夕日、刺さる部屋」を持って来たり、本編のラストが「Power (Pop) of Love」だったり──つまり、ライブの重要なポイントとなる要所要所を、『天使だったじゃないか』からの曲が担うように組まれているセットリストだった、とも言える。
オープニングの2曲、堀之内大介のキック&ハンドクラップで始まってオーディエンスが即座にそれに追随した9曲目「Transfer Girl」から10曲目「SHIMAITAI」、イントロでリズムに合わせてコールが起きた13曲目「LOVE MATHEMATICS」、Aメロから大きなハンドクラップが響いた15曲目「ドラマチック」~荒々しい「Power (Pop) of Love」への流れ、などなど、ステージとフロアの熱がピークを迎える瞬間が、120分の間に何度もあるステージ。
ゆえに「決してまじめなことを言わない」もしくは「まじめなことを言う必要がある場合も、笑いにまぶしてからその流れで淡々と」という姿勢が貫かれている、小出祐介&関根史織&堀之内大介のMC(もちろん主に小出)と、楽曲との温度差が、それはもう激しい。というのも、ライブの大きな楽しさになっている。
関根がツアー全ヵ所で必ずやり抜くことを提案したという物販紹介(ここも笑いあり)→超初期の代表曲「SUNSET-KI・RE・I」→今の季節に歌われるのが、1年のうちでもっともぴったりな「BREEEEZE GIRL」でアンコールが終わり、客電がついて終演SEが流れても、フロアからの手拍子は止まらない。急遽3人が再登場、「ポラリス」が追加される。
小出→堀之内→関根がリレーでボーカルをとる、「3」がキーワードになっている、自身のレーベル(DGP RECORDS)からの最初の作品である──つまり、現在のBase Ball Bearの活動の指針(音楽性もポリシーも含めて)を表す、最初の決意表明だったこの曲を最後に聴けたオーディエンスは、ステージに大きな拍手と歓声を贈った。
『天使だったじゃないか』は、ギター・バンドとしての原点に向き合って制作した、とアナウンスされていて、確かにそう言われるのもわかる、シンプルで瑞々しい楽曲が並んでいる。
が、原点に戻ったから、いい作品になったし、いいライブになっている、のではなく、今の自分たちでなければできないセンスや技術や、タフさや頭の良さや、感覚の鋭さや判断力などを持った状態で原点に向き合ったからこそ、そうなっているのだ、ということが、よくわかるライブでもあった。
音源に関しては、聴く人によって好みが分かれるかもしれない。しかし、少なくともライブに関しては、Base Ball Bearはもうあきらかに、今がいちばんいい。と、自分が強く感じる理由は、そういうところにもあると思う。
なお、アンコールでは、ふたつ告知もあり。ひとつめはこの日ライブが終わった直後に放送されるテレビ朝日『EIGHT-JAM』に、関根史織が出演すること。そしてふたつめは、次回のワンマンライブを、9月21日(土)にLINE CUBE SHIBUYA(16年ぶりだそうだ)で開催することだった。
フロアの歓声は、そのライブの日付を言った時よりも、会場名を言った時よりも、ライブのタイトルが『SHIBUYA NONFICTION』であることを告げた時の方が、段違いに大きかった。
かつて日比谷野外大音楽堂でシリーズ・ライブ『日比谷ノンフィクション』を行っていたことを知っていて、渋谷で新たにその続きが始まることを喜ぶファンがこんなに多い、という事実が、Base Ball Bearというバンドの支持の根強さや熱さを、端的に表しているように感じた。
最後に、ライブレポとしては書く必要がまったくないが、自分がどうしても書きたくなった蛇足。
二度目のMCの時、ツアーが本当に楽しかった、もう一回最初からやりたいぐらい、昔はツアー先で一歩も部屋から出なかったのに──という話をする小出。で、楽しかった思い出のひとつとして、高松で行ったというサウナのエピソードを語った。
そのサウナ、一度刺青解禁にしたのだが、それによってお客のマナーがすさまじく荒れてしまったので、再び禁止にした、という告知が、店内の至るところに貼ってあったそうだ。
というMCで、会場内でいちばん喜んでいたのは、自分だと思う。そのサウナ、『MONSTER baSH』で高松へ行くたびに毎年行っていて、去年はその「再び刺青禁止」になった直後だったので、知っていたのでした。
ただし、小出曰く、「店で売っているTシャツやタオルなどのノベルティにまで『刺青禁止』とデザインされていた」そうですが、それは私、知りませんでした。
なんでしょう、何か、ちょっと負けた気分です。
SET LIST
01.ランドリー
02._FREE_
03.そんなに好きじゃなかった
04.抱きしめたい
05.Thousand Chords Wonders
06.WINK SNIPER
07.Late show
08.ホーリーロンリーマウンテン
09.Transter Girl
10.SHIMAITAI
11.夕日、刺さる部屋
12.Endless Etude
13.LOVE MATHEMATICS
14.DIARY KEY
15.ドラマチック
16.Power (Pop) of Love
ENCORE
17.SUNSET-KI・RE・I
18.BREEEEZE GIRL
W ENCORE
19.ポラリス