ぜんぶ君のせいだ。息つく間もない怒涛の2時間ライブ!そして新たな挑戦がはじまる

ライブレポート | 2022.04.28 19:00

単独LIVE~絵空事現~
2022年4月3日(日) TOKYO DOME CITY HALL

これほど息つく間もないライブに遭遇することはこの先ないだろう。それだけ怒涛の2時間だった。
ぜんぶ君のせいだ。の史上最大規模となる単独公演「絵空事現」。3月中旬に、メンバー2名がこのライブをもって脱退することがアナウンスされた。ライブ当日はアンコールまで7人体制でステージを走り切ると、その数分後のWアンコールで新メンバーが登場。6人体制で2曲パフォーマンスをし、来年3月に日本武道館の単独公演を開催することを発表した。

余韻に浸る間もなく次々と訪れる新しい情報に、混乱する観客がほとんどだったと思う。きっとぜん君。チームもこうなることは重々承知の上だろう。反発や拒絶があってもそれを押し通したのには、このライブでそうしなければいけない理由があったはずだ。この日の彼女たちは、一切立ち止まることなく常にフルパワーで走り続けていた。

暗転すると、会場に心拍音と「ぜんぶ君のせいだ。」のウィスパーボイスがひしめく。サポートバンドメンバーに続き、如月愛海(きさらぎめぐみ)、征之丞十五時(ゆきのじょうおやつ)、甘福氐喑(あまねちあん)、もとちか襲(かさね)、雫(しずく)ふふ、メイユイメイ、个喆(こてつ)の7人がステージに登場。警告音のあと7人が「ぜんぶ君のせいだ!」と身体を震わせて叫ぶと、不穏さとキャッチーさを兼ね揃えたラウドナンバー「SCAR SIGN」でライブはスタートした。「WORLD END CRISIS」ではメンバーが入り代わり立ち代わりで中央から伸びた花道に現れ、センターステージまでフルに使用し楽曲をアグレッシブかつドラマチックに彩ってゆく。

如月の「患いさん一緒に遊ぼうや!」という威勢のいい煽りから始まった「Cult Scream」は、サビで7人全員の声が重なる瞬間の迫力が心地好い。やはり1年間で47都道府県を2周したメンバーだ。序盤3曲で、ステージ上のパフォーマンス、ボーカルともに、7人のコンビネーションの強さを痛感する。「インソムニア」では祈るようにひたむきに歌唱し、「When you 2 WANT」では飛び跳ねる姿がアイコニックな振り付けで魅了。7人全員で「病みかわいいで世界征服! ぜんぶ君のせいだ。です」と自己紹介を挟むと、間髪入れずに「ねおじぇらす∞めろかおす」へとなだれ込んだ。

ぜん君。名物のMCなしライブはもちろんこの日も健在で、メンバーもバンドも熱量を絶やさない。それどころか疲れを見せることなく気高さを損なわないのは、いいステージを見せたいという強い精神力があるからに他ならないだろう。メンバー全員が臆せずセンターステージの縁まで花道を全力疾走できる思い切りの良さは、身体能力以上に覚悟がなければ成し得ない。

「キミ君シンドロームX」では少女のように可憐に舞い、高速ナンバー「Greedy Survive」では歓声の出せない観客と積極的にコミュニケーションを取る。「堕堕」ではバンドとともに濃厚なグルーヴを作り上げ、変拍子を取り入れた「Underscore」はコンピュータをモチーフにした映像とともに緊迫感で包み込むなど、楽曲の持つムードを最大限まで引き出していた。

「患いの諸君! まだまだ元気な人、手挙げて!」と如月が叫んで「Sophomore Sick Sacrifice」に入ると本編のラストスパートへとさらにギアを上げていく。観客が力強い拳を挙げてメンバーの思いにこたえ、それに感化されるようにメンバーたちもアドレナリン全開のパフォーマンスで攻め続けた。その熱量は高まることでより清涼感を増していき、「歩兵ディストピア」ではカオティックかつポジティブな空気が駆け巡る。「Heavenlyheaven」で止められない感情を体現するような鬼気迫るパフォーマンスを繰り広げると、本編ラストは「唯君論.」。甘福氐を如月がバックハグしたり、7人で何度もぎゅっと抱き合うシーンは、7人で過ごした時間を確かめているように見えた。

アンコールは、脱退する2名の挨拶から始まった。加入前からぜん君。に救われていたという甘福氐は涙を堪えながらマイクを両手で握りしめて「ぜんぶ君のせいだ。の甘福氐喑になって、歌とライブで少しでも君のことを笑顔にできていたなら、甘福氐喑としてやりたかったことを成し遂げられたと思います。こんなに愛したのも愛されたのも人生で始めてです。ずっとずっとぜんぶ君のせいだ。と患いさんが大好きです」と語り、征之丞は言葉を詰まらせながら「みんなからのあたたかい言葉を読んで、こんなに愛されてたんだなってあらためて実感しました。3年間いっぱいつらいことも楽しいこともあったけど、それを乗り越えてこれたのは、患いさんのみんなと十五時の人生に関わってくれるみんながいてくれたからで。いつも支えられて、助けられてました。十五時は十五時になれて幸せでした」と一つひとつ気持ちを言葉にしていった。

この7人で最後のステージ。「ぜんぶ僕のせいだ。」では集中力の通ったパフォーマンスで7人の強い結束を見せ、「MONOLOGUE」ではメンバー全員が花道に出て観客の顔を見渡し、この場にいる全員でこの時間を抱きしめるようだった。7人で歌う最後の曲に選んだのは「世界にたった一人ちっぽけな君を」。穏やかな歌声にそれぞれの等身大の心情が表れていた。

Wアンコールではモニターに「2023.3.15」の文字が浮かび、白、灰色、紫、赤、緑、桃色のスポットライトが差し込む。すると新メンバー・寝こもちを入れた6人がステージに現れ、6人が日本武道館の前に立った写真が映し出された。
「今まで一緒に進んでくれてありがとう。これからも一緒に進んでいこう!」と如月が言うと、新体制で「無題合唱」と「僕喰賜君ノ全ヲ」を披露。強い眼差しを浮かべた如月は「驚いている人も多いと思います。たくさん考えて決めました」「またこの6人で、みなさんに愛してもらえるぜんぶ君のせいだ。を作って、この6人で武道館に立ちたいと思います」と告げ、星歴13夜と兼任で新メンバーとして加入する寝も「一人ひとりいろんな思いがあると思うし、もしかしたら今あんまり良く思わない人もいるかもしれないけど、こもちはぜんぶ君のせいだ。のメンバーとして本気で頑張っていくし、その姿をみんなに示していこうと思っています。この6人も死(ち)ぬほど愛してもらえるよう精一杯頑張っていきます」と頭を下げた。

新体制のぜんぶ君のせいだ。は4月27日に再録アルバム『Q.E.D.tri』をリリースし、5月5日より対バンツアー「GreedbygreeD TOUR」を開催する。最後に如月は「大舞台は決まりましたが、相変わらず泥くさいライブをしてみんなのことを愛して、みんなに愛されながら進んでいこうと思います」と晴れやかに決意を口にした。この日に新体制をお披露目したのも、この6人のぜんぶ君のせいだ。を1秒でも早く知ってもらうため、愛してもらうためだったのかもしれない。日本武道館公演まであと約11か月。6人の挑戦が始まった。

SET LIST

01. SCAR SIGN
02. WORLD END CRISIS
03. Cult Scream
04. インソムニア
05. When you 2 WANT
06. ねおじぇらす∞めろかおす
07. オルタナティブメランコリー
08. ものの恋あはれ
09. キミ君シンドロームX
10. みすふぃっとらゔぁーず
11. Greedy Survive
12. 堕堕
13. Underscore
14. Sophomore Sick Sacrifice
15. メスゲノムフェノメノン
16. 歩兵ディストピア
17. Heavenlyheaven
18. 唯君論.

ENCORE1
01. AntiIyours
02. ぜんぶ僕のせいだ。
03. MONOLOGUE
04. 世界にたった一人ちっぽけな君を

ENCORE2
01. 無題合唱
02. 僕喰賜君ノ全ヲ

公演情報

DISK GARAGE公演

ぜんぶ君のせいだ。7都市対バンツアー" GreedbygreeD TOUR "

2022年5月5日(木・祝) 宮城県 darwin
2022年5月7日(土) 北海道 SPiCE
2022年6月4日(土) 東京都 Spotify O-WEST
2022年6月5日(日) 広島県 広島セカンド・クラッチ
2022年6月11日(土) 大阪府 ESAKA MUSE
2022年6月18日(土) 愛知県 ElectricLadyLand
2022年6月25日(土) 福岡県 DRUM Be-1

チケット一般発売日:2022年4月17日(日) 10:00

ぜんぶ君のせいだ。もとちか襲 生誕SP

2022年5月4日(水・祝) eggman(渋谷)
17:00 開場 / 17:30 開演

チケット一般発売日:2022年4月17日(日) 10:00

DISK GARAGE presents【CURTAIN CALL】

2022年5月17日(火) CLUB CITTA’
17:15 開場 / 18:00 開演
出演者:ガガガSP / Muvidat / ぜんぶ君のせいだ。 / NEMOPHILA 【O.A】有り

チケット一般発売日:2022年4月17日(日) 10:00

  • 沖 さやこ

    取材・文

    沖 さやこ

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  • 撮影

    関上貴也

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