ぜんぶ君のせいだ。新体制での全国ツアーがスタート!初日・Zepp DiverCity(TOKYO)をレポート!

ライブレポート | 2020.11.06 18:00

re:voke tour for 47
2020年11月3日(火・祝) Zepp DiverCity(TOKYO)

ぜんぶ君のせいだ。の47都道府県ツアー「re:voke tour for 47」が11月3日(火・祝)に幕を開けた。初日の会場は、彼女たちにとって初となる、そして、念願でもあったZepp DiverCity(TOKYO)。だが、かつてのインタビューで「患いさんたちをZeppで幸せにするからね」と約束したはずのメンバーの姿はなく、新体制による本格的な活動開始の場ともなった。

メンバーの脱退や加入には耐性がついているし、どんなに辛いことがあっても立ち上がり、ぜん君。を続けていく強い意思を見せてくれてきた彼女たちへの信頼はなくなってない。だが、あまりにも急展開でまだうまく事態が飲み込めず、混乱の最中にいることも確かだ。

ここで、少し整理しておくと、まず、2020年1月から始まった15都市18公演に及ぶ未開拓&生誕ツアー「未夢命TOUR 2020」がコロナの影響で中止を余儀なくされ、4月18日(土)に予定されていたZepp DiverCity(TOKYO)でのファイナル公演のステージに立つことも叶わなかった。その5ヶ月後の7月24日(金・祝)に中野サンプラザホールにて行われた有観客の単独公演「生鳴兆候(バイタルサイン)」のエンドムービーでは心音が停止。同日の深夜0時にグループが"一時"活動を休止することがアナウンスされ、翌週には一十三四と凪あけぼのがグループを脱退することも発表された。さらに、9月30日には、ステップアップに向けた変化を前向きに捉えているように感じていたましろも脱退。新メンバーとして甘福氐 喑(あまねちあん)、もとちか襲(もとちかかさね)、雫ふふ(しずくふふ)の3名が加入したことも発表されたが、これで2015年5月の結成時のメンバーは如月愛海だけとなった。

如月愛海

征之丞十五時

甘福氐 喑

もとちか襲

雫ふふ

そして、Zepp DiverCity(TOKYO)公演へ。会場の席についたときは、正直に言えば、不安が大きかったのだが、オープニングナンバー「インソムニア」のパフォーマンスを見た瞬間から、不安は期待へと変わっていった。新体制となって初の新曲。ヘヴィーなバンドサウンドに和メロが乗ったロックナンバーで、メンバーは涙や不安や葛藤を隠し、“君の声”だけが道しるべだと歌い、約束の手を真っ直ぐに掲げた。5人のバランスがよく、何より、既に立ち姿からして様になっているもとちか襲(かさね)のヴォーカルは、聴き手をハッとさせる力があった。もとちかから愛海へと歌い継ぐ「Cult Scream」では、如月がもとちかの肩に頭を載せる場面もあり、ハイキックを繰り出した征之丞十五時はぱっと見で、かなり身体を絞ってきていることもわかった。パワフルな愛海に、ピッチとリズム感の良いポップなもとちかの歌声が加わったことで、十五時のファルセットもより色彩が増した。もとちか、十五時、雫ふふのトライアングルによる「常花」から雫がセンターに入った「ロマンスセクト」、甘福氐(あまねち)が<変わりたい……>と呟いた「僕喰賜君ノ全ヲ」と、1曲ごと、1フレーズごとにそれぞれが全く異なる個性を発揮していく様にとても興味を惹かれた。

さらに、「オルタナティヴメランコリー」では、アイドルらしいキュートな両足ジャンプを披露した甘福氐がステージの中央で<好きだよ>と告白。「ねがねおじぇらすめろかおす改」では5人で星を作りながら、5声による大音量のユニゾンを響かせ、もとちかの安定した歌声が光る「世界にたった一人ちっぽけな君を」では愛海が十五時と手を合わせ、雫は君はうまく笑えてる?と問いかける歌詞を体現するかのような絶妙な表情を見せた。「君想ゐ花散りぬ」の<繋いだ手を/離さないでいて>と歌う甘福氐の表情もよかった。グループ加入からたった1ヶ月ほどではあるが、新メンバーがただ、歌って踊るだけでなく、楽曲の歌詞や世界観を深く読み込んできていることが伝わってくる思いがした。

また、これまでは主に、愛海と一十三四が担ってきたデスヴォイスは、「ロマンスセクト」では愛海ともとちかが担当していた。この二人かと思いきや、「WORLD END CRISIS」では、抜けのいいファルセットが際立っていた十五時を含む全員が激しくシャウトし、観客が拳を上げ、回し、大きな盛り上がりを見せた「みすふぃっとらゔぁーず」でもチャーミングでポップな歌声から全員がスムーズにデスヴォイスへ移行。最後はみんなでジャンプする激しい曲ながらも、なぜか涙が誘われる楽曲となっていた。メンバーが何度もアイコンタクトをとっていた「Natural Born Independent」、もとちかが曲中に「はじめまして。これからよろしくお願いします」と挨拶した「キミ君シンドロームX」、お尻を突き出し、架空のバイクに跨って疾走した「メスゲノムフェノメノン」、慟哭とヘドバンが交錯する「Greedy Survive」と、時に激しくも美しく、時にエモくも可愛らしい歌声とパフォーマンスで会場の熱気を上げていった。

そして、新たな5人の歌声と高く掲げた手が1つになったラウドなパンクロック「Sophomore Sick Sacrifice」を経て、<いろいろあるけど笑っていこうぜ>というメッセージを込めたライブの定番曲で、中野サンプラザホールでは1曲目に歌った「When you 2 WANT」で本編は狂騒と興奮の中で締めくくられた。

しかし、アンコールが沸き起こるまで、約1分間ほど、フロアは静寂に包まれていた。この日ほど、ライブで声が出せない苦しさを感じたことはなかった。ライブ中に大声を張り上げていれば、心の中のモヤモヤも一気に晴れていたのかもしれない。患いさんたちにとっては、今さっき見たばかり。武道館を目指すグループとしての新たな一歩を踏み出した彼女たち、5人のぜん君。を消化する時間が必要だったのだろう。やがて、誰彼となく拍手が起き始め、メンバーが再登場。この日、初めてとなるMCで、十五時は「初Zeppやばい。テンション上がりまくりです」と話すと、愛海は「こんなに激動の1年…とは言え激動の年しか過ごしたことがないんだけど、この日を迎えられてよかったです。本当に来てくれてありがとうございます」と感謝の気持ちを伝え、11枚目のシングルとして「インソムニア」をTOWER RECORDS限定でリリースすることを発表した。そして、「第2章の1枚目。出発というか。(ぼの、よつ、ましろ)3人がととんと行ってしまったので、そういうのを全部込めたCDになってます。今まで何度も、いろんな時にこの曲を歌ってきたので、今日も大切に、今、この場で歌いたいと思います」と涙をこらえながら語り、「革鳴前夜」を熱唱。さらに、「ぜんぶ僕のせいだ。」では5人が膝を崩して倒れるフリを完璧なタイミングで揃え、再び5人でしっかりと立ち上がり、曲中で5人が手を重ね、円陣を組む「無題合唱」をもって、逆光の中でこの日のライブは幕を閉じた。

なお、「re:voke tour for 47」はこのあと全国47都道府県を周り、2021年3月27日(土)に東京・恵比寿LIQUID ROOMでファイナル公演を迎える。新たな5人体制となったぜんぶ君のせいだ。が突き進む道程に興味のある方は是非、足を運んでみて欲しい。

SET LIST

01. インソムニア
02. Cult Scream
03. 常花
04. ロマンスセクト
05. 僕喰賜君ノ全ヲ
06. オルタナティブメランコリー
07. ねがねおじぇらすめろかおす
08. 世界にたった一人ちっぽけな君を
09. 独白園
10. 君想ゐ花散りぬ
11. WORLD END CRISIS
12. Natural Born Independent
13. キミ君シンドロームX
14. メスゲノムフェノメノン
15. みすふぃっとらゔぁーず
16. Greedy Survive
17. Sophomore Sick Sacrifice
18. When you 2 WANT

ENCORE
01. 革鳴前夜
02. ぜんぶ僕のせいだ。
03. 無題合唱

公演情報

DISK GARAGE公演

re:voke tour for 47

2020年12月8日(火) 前橋DYVER
2020年12月9日(水) 千葉LOOK
2020年12月10日(木) club SONIC mito
2020年12月24日(木) eggman(渋谷)
2021年1月9日(土) HEAVEN’S ROCK Utsunomiya 2/3(VJ-4)
2021年1月10日(日)11日(月・祝) eggman(渋谷)
2021年1月23日(土) 西川口LIVE HOUSE Hearts
2021年2月13日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
2021年2月15日(月) 甲府KAZOO HALL
2021年3月27日(土) LIQUIDROOM

RELEASE

「インソムニア」

タワーレコード限定リリース!
NEW SINGLE

「インソムニア」

(コドモメンタルINC.)
2020年11月4日(水)SALE
  • 永堀アツオ

    取材・文

    永堀アツオ

  • 撮影

    Takaya Sekigami(コドモメンタルINC.)

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