──2019年に「夜間航路」と「NEW ERA」を出して、その後にコロナ禍になるわけですけど、結果的にこのタイミングで新しいモードを前向きに打ち出せたのは良かったですよね。
岸本TAGO STUDIOを3日間とってて、初日に大規模イベントの自粛要請が出たんですけど、そのときはまだ世の中で何が起こってるのかわからない、みたいな状況で。なので、レコーディング3日あるからとりあえずやるかっていう。コロナ禍に関わらず、ちょうど制作モードではあったんですよね。
──ライブを主体にしてるバンドだったらどう活動していいか迷ったと思うけど、foxはすでに劇伴の仕事も多かったし、「じゃあ制作をしよう」と切り替えられたのは大きかったのかなと。
井上そうですね。ライブがなかった分、めちゃくちゃ劇伴をやってた気がします。

──2020年は単曲で歌ものも出していて、それも新しいバンドのモードを象徴していましたよね。
岸本そうですね。その頃にストリーミングが文化として広まって、僕たちもそこは受け入れるというか、どんどん貪欲にやっていこうと。歌ものは『DISCOVERY』には入ってないですけど、方向性というか、新しい要素をどんどん増やしていくっていう意味では、考えは一緒だったかもしれないです。

──『DISCOVERY』のリリース直後には東京国際フォーラムホールCでのライブがありました。
岸本いきなりフォーラムでライブ初披露、みたいな曲が結構あったけど、めちゃくちゃ時間はあったから、練習はやたらしてた気がします。
カワイそうだ。換気しなくちゃいけなかったんだよね。
岸本ライブが中止になってる人も多かったから、開催できてよかったですよね。
井上みんなライブがやれなくなった中で、ちょっと一本やってみるか、みたいなタイミングだった気がするんですよ。だから何人かに「コロナ禍に入って最初のライブはこのライブだった」って言われました。ストリングスとかいろんな楽器を大勢呼ぶのもコロナ禍的にどうなの?みたいな中で、でも新しいアルバムはいろんな楽器が入ってるし、一つの解決策として同期を試して、しばらく何年かやってましたね。今はもうやってないけど。
岸本同期をやったからこそ見えた部分もあって。同期でしか表現できないものと、クリックに縛られてないからこそ表現できるものと、いろいろ再発見した部分もあったかもしれないですね。今後もう絶対やらないっていうわけではないですけど。
──国際フォーラムでのライブは照明の演出も印象的なライブで、そういう演出があるときはまた同期を使ってもいいかもしれないですね。
カワイ映像をもっとしっかり作り込んだライブをやってもいいかもしれないですね。

──残りの時間で、15周年を記念して行われた今年のライブを振り返っていただければと思います。まず6月に渋谷Spotify O-nestで初期曲のリクエストライブがありました。それこそテンポの速い、乳酸溜まる系の曲がたくさんあったと思うんですけど。
カワイ最初から飛ばしてすごい疲れた記憶がある(笑)。
岸本ちゃんと投票数が多い順に曲を選んだら大変なことになりました(笑)。
井上感慨深かったです。『trinity』のリリースライブを思い出しました。
岸本あの雰囲気は当時に戻れるというか、やっぱり原点ですよね。「このときこういう音楽聴いてたな」とか、初期衝動的なものを思い出しました。100人から300人ぐらいの箱は新しいカルチャーを発信する匂いみたいなのがあって、あれは好きですね。
カワイライブハウスは独特の雰囲気があるので、ライブハウスでライブをやるときは「バンドやってるな」っていう気がするんですよね。ホールとかだと「ミュージシャンとして立ってる」みたいな、同じ曲をやっても、空気感なのか、雰囲気なのか、感じ方が違う気はします。お客さんとの距離もあるかもしれないですね。ライブハウスはお客さんの顔もよく見えるし、後ろまで誰がいるかもよくわかるので。
2026/6/28(日)RE:FRAME-15th Anniversary- Vol.01@Spotify O-nest Photo by Takahiro Takinami
Photo by Takahiro Takinami
──8月はBLUE NOTE TOKYOとBLUE NOTE PLACEで2デイズがあって、8月20日はBLUE NOTE TOKYOで、ストリングスカルテットを迎えた編成でした。
井上ライブとしてすごく良かったと思います。全員じゃないですけど、ストリングスのメンバーはほとんど最初の頃から、「Butterfly Effect」のときから弾いてくれてる人たちなので、楽屋もわちゃわちゃして楽しかったです。
カワイストリングスを全曲入れたのは初めてかも。前は何曲かやって、2〜3曲トリオでやってっていうのが多かったと思うんですけど、ベタ付きでずっと降りずにやったのは初めてなんじゃないかな。友達も見に来てて、「ストリングス入りいいね」って言ってくれたり、 SNSでも書いてくれたりとかして、BLUE NOTEだし、ストリングスやっぱり映えるよなと思いました。チケットが売れるのも早かったし。
──お客さんからしてもストリングス入りを見たい人は多かったんでしょうね。
岸本BLUE NOTE TOKYOはストリングス込みの編成のベスト盤みたいなセットリストになったんじゃないかなって。『BUTTERFLY』のオープニングの流れで3曲やってから「Spread Out」に入るんですけど、それがまた怒涛のつなぎで。曲もより作り込まれてるのが多いから、独特の気が抜けない感じがあって、それが良かったですね。
2026/08/20(木)fox capture plan RE:FRAME -15th Anniversary- Vol.02 Day 01 : String Ensemble@Blue Note TOKYO Photo by Tsuneo Koga
Photo by Tsuneo Koga
──翌日にはBLUE NOTE PLACEで360度ライブ。また全然雰囲気が違ったかと。
井上ライブで初めてやる曲とか、ちょっとマニアックな曲をいっぱいやりました。
カワイ箱の鳴り方も違うので、予定してた曲をちょっとカットしたりもして。「ちょっとうるさすぎるかな」とか。
井上「Pain」です。いきなり一曲目バラードから始めたんですけど、それもいい感じでした。
岸本『BUTTERFLY』以降のピアノトリオ曲を中心にセレクトしたんですけど、それなりに個性ある曲があるなっていうのを改めて実感しました。
──おかもとえみさんがゲストで来て、「甲州街道はもう夏なのさ」もやったんですよね。
カワイ同じバーに行ってるんですけど、たまたま会ったときに、「そういえば、えみそんやんない?」って言ったら、「やりたい」って言ってくれて。2023年に北海道のフェス(GANKE FES)でたまたまえみそんがRIP SLYMEのサポートで来てて、「いるならやろう」ってなって、それ以来だったかな。
──いい意味での緊張感とリラックスしたムードと、二日間で全然別の公演になったでしょうね。
カワイ両日来てくれた方もいると思うので、お腹いっぱいになったんじゃないですかね。
2026/08/21(金)fox capture plan RE:FRAME-15th Anniversary- Vol.02 Day 02 : The Circle@BLUE NOTE PLACE Photo by Takahiro Takinami
Photo by Takahiro Takinami
──10月からは15周年を締めくくるツアーがスタートします。告知のポストには「バンドの歴史を総ざらい!」とありました。
井上まだちゃんとは決めてないけど、15周年の締めなので、セットリストはそういう感じで組みたいですね。ファイナルの東京に関しては、これまでだとゲストを呼ぶことも多かったけど、今回は潔く3人でやろうっていうことだけ決めてます。
カワイファイナルの東京はすごい年末だし、楽しくやりたいですね。次の日休みだから、乳酸が溜まっても大丈夫かな(笑)。
岸本ツアーも結構本数回るから、ツアーを回っていく中でいろいろブラッシュアップしていくだろうし、やる曲もですし、曲の並び方を変えてやっても面白いかもしれないですね。
──ファイナルは15周年の集大成でもありつつ、その先も見えるようなライブになる?
岸本何か布石は打ちたいですね。今年はリマスター盤の年ではあるんですけど、最新アルバムの『DEEPER』まで見直して、幅広い楽曲群の中からセットリストを選んでいけたらいいかなと思います。


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